介護保険の基礎知識 介護保険の基礎知識

さまざまな介護サービスを、1~3割の自己負担で受ける
ことができるのが「介護保険」です。

【介護保険適用】特定施設と在宅介護の自己負担例

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介護保険では、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)といった市区町村から認定された特定施設が提供する「施設介護サービス」、ホームヘルパーによる「居宅介護サービス」などの支援を受けられます。この記事では、介護保険で施設介護サービスと居宅介護サービスを利用する場合の具体的な料金について詳しく見ていきましょう。

目次

特定施設とは?

特定施設とは、都道府県や市区町村へ届出を提出して事業指定を受けた、以下の4つの施設を指します。

有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅(有料老人ホームに該当するもの限定)
ケアハウス(軽費老人ホーム)
・養護老人ホーム

特定施設には公営のものと民営のものがあり、認定を受けるには、介護保険法の3つの基準である人員基準・設備基準・運営基準を満たす必要があります。

特定施設の利用に際しては、下記のようなメリット・デメリットがあげられます。

メリット

・介護が手厚い施設が多い
・要介護度ごとに負担額が決まっている
・看護師が配置されているため、健康管理の面で安心して暮らせる

デメリット

・介護負担が少ない被介護者の場合、自己負担額が割高になることもある
・介護保険を満額利用するため、ほかの介護サービスは自費での負担になる

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特定施設への入居では介護保険が適用される

介護保険とは、被保険者が保険料を納めることで、介護サービスを1割負担(一定以上の所得がある方は2〜3割負担)で受けられる制度です。特定施設でも居宅介護サービスでも適用されます。

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特定施設の自己負担例

特定施設は、要介護度が上がるにつれて利用料金が高くなります。介護保険を利用した場合、1か月分(30日)の利用料の目安は下記の通りです。

要介護1 18,541円
要介護2 20,685円
要介護3 22,973円
要介護4 25,050円
要介護5 27,351円

※1割負担の場合の金額

掲載金額はあくまでも目安です。施設の所在地やサービスの内容によって金額は変動するので、入居前に確認しましょう。

そのほか、多くのケースで食費やおむつ代など、別途生活費が必要になります。

居宅介護サービスの自己負担例

介護保険を利用した場合、居宅介護サービスは「要介護度」ではなく、「その内容や対応した時間」によって料金が決まります。時間当たりの料金は、特定施設での介護サービスに比べて割高です。

訪問介護

自宅に居ながら介護を受けられるサービスです。要介護者の食事や着替えの世話、排せつの補助など、日常生活における基本的な行動の支援と補助が主な内容になります。

訪問介護費の自己負担額
身体介護が中心 20分未満 167円
20分以上30分未満 250円
30分以上1時間未満 396円
1時間以上 579円
生活援助が中心 20分以上45分未満 183円
45分以上 225円
通院などのための乗車または降車の介助 99円

※1割負担の場合の金額であり、1単位10円とした場合

訪問看護

訪問看護とは病気や障害を抱えた要介護者の自宅で、療養生活のお世話や補助を受けられるサービスです。自宅に訪問する看護師やケアスタッフは主治医の指示(訪問看護指示)に従いながら看護を行います。また、ほかの介護事業者と連携してサービスを提供することもあります。

指定訪問看護ステーション
20分未満 313円
30分未満 470円
30分以上1時間未満 821円
1時間以上1時間30分未満 1,125円
病院または診療所
20分未満 265円
30分未満 398円
30分以上1時間未満 573円
1時間以上1時間30分未満 842円

※1割負担の場合の金額であり、1単位10円とした場合

通所介護(デイサービス)・通所リハビリテーション(デイケア)

通所介護(デイサービス)とは、特定施設などに入居せず、デイサービスの事業所に通って受ける介護サービスです。食事や入浴、レクリエーションなどが提供されています。

また、似たようなサービスに通所リハビリテーション(デイケア)があります。こちらは、老人保健施設や病院へ通ってリハビリを受けられる介護サービスです。

通所介護(デイサービス)
3時間以上4時間未満 要介護1 368円
要介護2 421円
要介護3 477円
要介護4 530円
要介護5 585円
4時間以上5時間未満 要介護1 386円
要介護2 442円
要介護3 500円
要介護4 557円
要介護5 614円
5時間以上6時間未満 要介護1 567円
要介護2 670円
要介護3 773円
要介護4 876円
要介護5 979円
6時間以上7時間未満 要介護1 581円
要介護2 686円
要介護3 792円
要介護4 897円
要介護5 1,003円
7時間以上8時間未満 要介護1 655円
要介護2 773円
要介護3 896円
要介護4 1,018円
要介護5 1,142円
8時間以上9時間未満 要介護1 666円
要介護2 787円
要介護3 911円
要介護4 1,036円
要介護5 1,162円

※1割負担の場合の金額であり、1単位10円とした場合

通所リハビリテーション(デイケア)
1時間以上2時間未満 要介護1 366円
要介護2 395円
要介護3 426円
要介護4 455円
要介護5 487円
2時間以上3時間未満 要介護1 380円
要介護2 436円
要介護3 494円
要介護4 551円
要介護5 608円
3時間以上4時間未満 要介護1 483円
要介護2 561円
要介護3 638円
要介護4 738円
要介護5 836円
4時間以上5時間未満 要介護1 549円
要介護2 637円
要介護3 725円
要介護4 838円
要介護5 950円
5時間以上6時間未満 要介護1 618円
要介護2 733円
要介護3 846円
要介護4 980円
要介護5 1,112円
6時間以上7時間未満 要介護1 710円
要介護2 844円
要介護3 974円
要介護4 1,129円
要介護5 1,281円
7時間以上8時間未満 要介護1 757円
要介護2 897円
要介護3 1,039円
要介護4 1,206円
要介護5 1,369円

※病院または診療所の例。1割負担の場合の金額であり、1単位10円とした場合

特定施設入居者の福祉用具は自費で支払う?

特定施設入居者は、基本的に介護保険における国からの介護給付分の全額を特定施設に支払っています。そのため、福祉用具を利用する場合、すべて自費での負担になってしまうのではと不安に思う方もいるのではないでしょうか。

制度上は自費負担になりますが、ほかの介護サービス事業者と提携し、福祉用具の貸与を行っている施設もあります。入居時に確認しておくとよいでしょう。

短期入所(ショートステイ)の自己負担例

一般的にショートステイと呼ばれる短期入所は、居宅介護支援サービスの一つで、短期入所生活介護と短期入所療養介護に分けられます。また、要支援・要介護度や受けるサービスによって自己負担額が異なります。次で、サービスごとの具体的な金額を見ていきましょう。

短期入所生活介護

短期入所生活介護では、要支援・要介護の認定を受けた方がショートステイ専門の施設や特別養護老人ホーム(特養)などに短期入所することで、食事・入浴などの生活支援や機能訓練を受けられます。これには、家族の介護負担を軽減する役割もあります。

費用は、居室のタイプによって以下のように変動します。また、介護保険の適用対象は介護サービス費のみであるため、ショートステイの利用に際して必要となる食費、施設費、日用品代などは自己負担です。この場合、利用料の総額は1泊2日で4,000~10,000円程度が目安となります。

従来型個室(1日あたり)
要介護1 638円
要介護2 707円
要介護3 778円
要介護4 847円
要介護5 916円
多床室(1日あたり)
要介護1 638円
要介護2 707円
要介護3 778円
要介護4 847円
要介護5 916円
ユニット型個室・ユニット型個室的多床室(1日あたり)
要介護1 738円
要介護2 806円
要介護3 881円
要介護4 949円
要介護5 1,017円

※1割負担の場合の金額であり、1単位10円とした場合

なお、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などが独自にショートステイサービスを実施している場合は、要支援・要介護認定を受けていない高齢者でも利用できる反面、介護保険の適用外となります。

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ショートステイとは?

短期入所療養介護

短期入所療養介護は医療型ショートステイとも呼ばれ、要介護認定を受けた方が保健施設や診療所、病院などに短期間入所することで、医師や看護職員、理学療法士による医療サービスや機能訓練、日常生活の支援を受けられます。医療行為が付帯するため、料金はそのぶん割高になるケースが多数です。また、居室のタイプによっても負担額は異なります。

従来型個室(1日あたり)
要介護1 752円
要介護2 799円
要介護3 861円
要介護4 914円
要介護5 966円
多床室(1日あたり)
要介護1 827円
要介護2 876円
要介護3 939円
要介護4 991円
要介護5 1,045円
ユニット型個室・ユニット型個室的多床室(1日あたり)
要介護1 833円
要介護2 879円
要介護3 943円
要介護4 997円
要介護5 1,049円

※1割負担の場合の金額であり、1単位10円とした場合

自己負担額を確認してサービスを上手に活用

今回は介護保険制度下における、施設介護サービスと居宅介護サービスの自己負担額について解説しました。居宅介護サービスは、自己負担例からわかるように、利用するサービスの内容によっては割高になるケースもあります。

長年親しんだご自宅での介護をご本人が希望するのであれば、サービスにかかる料金と対応してもらえる時間、要介護度などを考慮して、施設の利用と在宅での介護を上手に使い分けることが大切です。

 
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