有料老人ホームの費用 有料老人ホームの費用

まずは入居費用のしくみを理解し、
資金計画を立てることが大切です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用を解説

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用を解説

サービス付き高齢者向け住宅 (サ高住)は、安心安全で快適に生活できる高齢者向けの賃貸住宅です。サービス付き高齢者向け住宅への住み替えを検討する際、とくに気になるのが入居時や月々の費用でしょう。今回は、サービス付き高齢者向け住宅の費用面について詳しく紹介します。

目次

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは

サービス付き高齢者向け住宅は、公的施設である「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」、「介護療養型医療施設(2024年3月末で廃止が決定)」などとは異なり、民間の事業者が運営する高齢者向け施設のひとつです。「サ高住」「サ付き」などと略して呼ばれることもあります。

比較的安価な費用で利用できることの多い公的施設は、入居希望者が多く、空室待機に時間がかかるケースがあります。そうした方々の受け皿として、サービス付き高齢者向け住宅への住み替えを検討する方が増えている状況です。

サービス付き高齢者向け住宅の特徴や入居条件、提供されるサービスなどの詳細は、下記の記事で解説しています。

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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?

サービス付き高齢者向け住宅の種類

サービス付き高齢者向け住宅では、ご高齢者が安心して暮らせるように配慮された住環境と安否確認・生活相談などのサービスが提供されています。定義上、介護サービスの提供義務はありません。しかし、在宅介護や訪問介護などの介護サービスを行う事業所を併設していたり、厚生労働省から「特定施設」に指定されている施設の中には、介護付き有料老人ホームに見劣りしない介護サービスを受けられるものもあります。

したがって、サービス付き高齢者向け住宅は大きく次の2つのタイプに分けられます。

  • ・自立度が高い方向けの自立・支援型の施設(一般型)
  • ・介護を必要とする方向けの介護・認知症型の施設(介護型)

それぞれ費用の仕組みや必要額が異なるため、後ほど詳しくみていきましょう。

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「特定施設入居者生活介護」とは? 条件やサービス内容などを解説

サービス付き高齢者向け住宅の入居に必要な費用

サービス付き高齢者向け住宅へのご入居を検討するとき、まず気になるのが費用面です。入居の際には、どの程度の費用が必要になるのでしょうか。

施設によって費用に差がありますが、大まかな相場は下記の通りです。

初期費用 月額費用
自立・支援型(一般型) 0~数十万円 約5万円~25万円
介護・認知症型(介護型) 0~数十万円 約15万円〜40万円

入居にかかる費用(初期費用)

入居にかかる初期費用は施設によって大きく異なり、なかには無料のものもあります。入居にかかる初期費用の内訳は、大きくわけて下記の2つです。

  • ・家賃の前払い金(主に2か月程度が一般的)
  • ・敷金・保証金

「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が2011年に改正されて以降、礼金は認められないことになったため、含まれていません。

サービス付き高齢者向け住宅の多くは、賃貸借契約方式を採用しています。つまり、入居に際しては、一般住宅の賃貸契約と同様に、1か月分の家賃と、家賃の数か月分の敷金が必要です。家賃に関しては、周辺の賃貸マンションの賃料の相場とほぼ同等です。そのほか、敷金ではなく、「保証金」と表現される場合もあるため、契約に際しては注意が必要です。また、サービス付き高齢者向け住宅では、家賃の一部を前払いして月額の費用を低く抑えられる支払い方式もあり、事業者によってさまざまな料金プランが設けられている状況です。

また、特定施設の認定を受けている介護型のサービス付き高齢者向け住宅では、入居一時金が必要となる場合が多くなっています。

月々にかかる費用(月額費用)

サービス付き高齢者向け住宅では、家賃以外にも月々にかかる費用が発生します。主な費用は自立・支援型と介護・認知症型で異なりますが、下記が一般的な費用の例です。

自立・支援型の月額費用 介護・認知症型の月額費用
約5万円~25万円 約15万円〜40万円

基本的な家賃の他、主に以下の項目が内訳に含まれます。

  • ・管理費:約2万円
  • ・食費:1日あたり1,000〜1,500円(3食の場合)1か月で3万〜5万円程度
  • ・光熱費・水道費:1,500〜2,000円程度(実費/施設によっては5,000~1万5,000円)
  • ・介護サービス費:0〜10万円程度
  • ・生活支援サービス費:1万5,000〜8万円程度

管理費

管理費は施設管理に必要な費用や、居室以外の共有空間の管理・維持にかかる費用です。事業者によっては、安否確認サービスや生活相談のサービスの料金もこの管理費に含まれます。また、レクリエーションの費用などが管理費に含まれることもあります。プールや温泉などの豪華な設備がある施設では、管理費が高額になるケースが多いでしょう。

食費

サービス付き高齢者向け住宅での食事は、居室で自炊を行ったり、施設が食事を提供したりと、利用者の状態に応じた形態がとられています。食費は、その月に実際に食べた分が実費として請求されます。例えば、体調不良などで自炊しない期間だけは食事の提供を予約することも可能です。一日の食費は、三食サービスを受けた場合でも、1,000円~1,500円程度に設定されていることが一般的です。

光熱費・水道費

光熱費や水道費は居室で利用したぶんを個別で清算するケースが多いようです。ただし、施設の位置する地域の気候や環境によって暖房費が高くなることもあります。これらの料金は、一般的な自宅での生活とほぼ変わらないと考えてよいでしょう。

介護サービス費

介護サービス費は、自立型のサービス付き高齢者向け住宅では、介護サービスの利用分に応じて支払うケースが多いですが、介護型では定額に設定されているケースが多く見られます。

介護サービスが含まれているぶん、月額費用は自立・支援型と比べて高くなる傾向があります。一方、自立・支援型の場合は介護サービスが付いていないため、利用する際は別途外部の業者や施設の提携業者などと契約する必要があります。介護型のサービス付き高齢者向け住宅を利用するよりも費用が高くなるケースもあるので、介護サービスを必要とする度合いに応じた慎重な施設選びが必要と言えるでしょう。

生活支援サービス費

サービス付き高齢者向け住宅では安否確認と生活相談サービスが必ず提供されています。これらの費用は管理費に含まれているところもあれば、「生活支援サービス費」として扱われています。

そのほか、毎月かかる定額の費用の他にも別途費用として下記の費用がかかることもあります。

  • ・おむつや日用品など消耗品
  • ・アクティビティやサークル活動の参加費用
  • ・医療費や薬代
  • ・家事代行や外出送迎費用

詳しくは、ご入居を検討しているサービス付き高齢者向け住宅に確認してみてください。

サービス付き高齢者向け住宅の契約方式と支払い方式

サービス付き高齢者向け住宅の契約形態と支払い方式には複数の種類があり、主に下記の項目に分けられます。

契約形態 支払い方式
自立・支援型(一般型) 建物賃貸借契約 月払い方式
終身建物賃貸借契約 月払い方式
介護・認知症型(介護型) 建物賃貸借契約 月払い方式
終身建物賃貸借契約 月払い方式
利用権契約 月払い方式
入居一時金方式

自立・支援型はそれぞれ契約形態が建物賃貸借契約、支払い方式は月払い方式のみとなっています。一方の介護・認知症型の場合は、利用権契約と入居一時金方式が可能です。
これらの支払い方式は、各施設によって決められているものなので、事前に確認しておきましょう。

それぞれの契約形態と支払い方式を解説します。

契約形態(1)建物賃貸借契約

賃貸マンションの賃貸契約と同様に、建物を借りて住むための契約形態で、なかには終身建物賃貸借制度を設けているサービス付き高齢者向け住宅もあります。

契約形態(2)終身建物賃貸借契約

終身建物賃貸借契約は、借家人が亡くなった場合にのみ契約が終了する形態です。

契約形態(3)利用権契約

居室や共有部分がある居住部分を借りて住むための契約と、サービス利用の契約を兼ねた契約方式です。

介護型のサービス付き高齢者向け住宅にみられる契約形態で、介護サービス利用の契約も結べます。

支払い方式(1)月払い方式

賃貸マンションのように、月毎に定額の費用を支払う方式です。

家賃や生活費のほか、サービス費も含まれる場合があります。

支払い方式(2)入居一時金方式

入居時にまとまったお金を一時金として支払い、その入居一時金を月額費用の一部に充てるため、月払い方式と比較すると月額費用を安価にできる支払い方式です。施設によって具体的な制度設計は異なるものの、一時金に対して一定の償却期間が定められており、予定よりも早く退去することになった場合は未償却分が返金されます。

(償却や返金の規定について、詳細は施設との契約内容をお確かめください)

どの支払い方式がお得?

では、月払い方式と入居一時金方式を比較した場合、どちらの支払い方式を選ぶのがお得でしょうか。その答えは、居住期間に応じて決まります。

月払い方式は1か月あたりの支払い金額が入居一時金方式より高いものの、初期費用は低く設定されています。しかし1か月あたりの支払い金額が高いため、居住期間が長期になるほど、金銭的な負担は重くなっていきます。

一方、入居一時金方式の場合は、入居時に支払うためにまとまったお金が必要ですが、月額費用は月払い方式と比べると安くなります。そのため長期的にみると支払い総額を低く抑えられると言えるでしょう。

初期費用 月額費用 長期入居の場合
月払い方式 安い 高い 金銭負担は重くなる
入居一時金方式 高い 安い 金銭負担は軽くなる

このように、入居する際の年齢や居住期間などを想定して、自分に合う施設のタイプや支払い方式を選ぶと良いでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅とそのほかの高齢者向け施設との費用の違い

サービス付き高齢者向け住宅以外にも、高齢者が利用できる施設は多くあります。高齢者向け施設への住み替えを検討している方に向けて、それぞれの施設との費用面の違いを解説します。

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)との費用の違い

特別養護老人ホームの費用の特徴として、入居時の費用が安いことがあげられます。入居時費用がかからず、月額費用のみで入居が可能な施設が多いです。

また介護保険の負担限度額以上の金額は払う必要がないため、要介護度が高い方に合った選択肢であると言えます。一方で自立度が高い方の場合には、結果としてサービス付き高齢者向け住宅の方が安くなるケースもあるでしょう。

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特別養護老人ホーム 費用・料金

有料老人ホームとの費用の違い

通常、有料老人ホームなどでは入居一時金が必要になりますが、サービス付き高齢者向け住宅の場合は不要となることから、初期費用を抑えられます。また、有料老人ホームは施設によって月額費用に大きな差があります。

サービス内容や暮らし方も異なりますので、よく比較しながら選ぶと良いでしょう。

【関連記事】
老人ホームの費用相場は?月額や内訳について

サービス付き高齢者向け住宅への入居を検討する際の注意点

実際にサービス付き高齢者向け住宅への入居を検討する際、どのような点に注意すればよいでしょうか。

条件を満たせず、入居できないケースがある

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者単身・夫婦世帯が安心して居住できる住まいですが、誰でも無条件に入居できるわけではありません。高齢者住まい法では、入居対象者本人は「60歳以上の高齢者」または「要介護認定を受けた60歳未満の方」のいずれかでなければならないと定められています。また、施設によっては「認知症ではない」「身の回りのことができる」といった独自の条件が設けられている場合もあります。

また、入居してすぐに要介護度が上がったり、施設が提供可能な介護サービス以上の手厚いケアが必要になった場合、せっかく入居したサービス付き高齢者向け住宅から退去せざるを得ないこともあります。

特定施設の場合は入居一時金が発生するケースも

サービス付き高齢者向け住宅は、有料老人ホームに比べて、自由に生活ができる、初期費用が安く抑えられるというメリットがあります。一方、サービス付き高齢者向け住宅のなかには、厚生労働省から介護付き有料老人ホームに相当する「特定施設」の認定を受け、スタッフが介護サービスを提供する施設も存在します。このような施設の場合には、有料老人ホームと同様に入居一時金が発生するケースもあるため、注意が必要です。

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長期的な視点で施設選びをしよう

最近では認知症になっても入居できる、認知症対応型のサービス付き高齢者向け住宅や、看取りにも対応する施設も増えてきました。ただし、認知症が原因で暴言や暴力をふるうようなトラブルがつづいたり、医療行為が必要になったりした場合に、退去せざるを得ない状況も考えられます。将来、ほかの高齢者施設へ住み替える可能性も念頭に置いて、長期的な目線でサービス付き高齢者向け住宅を選ぶことが大切です。

自宅での暮らしに近いサービス付き高齢者向け住宅を選ぶか、認知症や身体状況などの変化を見越した安心度の高い介護施設を選ぶか。費用面や本人の意思など、総合的に考えて決めていくことをおすすめします。

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