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知っておきましょう。

療養病床(介護療養医療施設)とは?

詳しく解説!【慢性期の人も安心】療養病床(介護療養医療施設)とは?

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2000年の介護保険法施行、そして2001年の医療法改正により療養病床が創設され今日に至ります。
しかし、今後、療養病床の中でも特に介護療養病床(介護療養型医療施設)に大きな動きがありそうなことをご存知でしょうか。今回は療養病床について説明していきます。

目次

大きく分けると2つ。療養病床とは?

療養病床は、急性期治療を終え一般病棟を退院したものの、長期的に医療ケアが必要な要介護者のための病床です。

療養病床は、医療保険法のもと医療保険が適用となる「医療療養病床」と介護保険法のもと介護保険が適用される「介護療養病床」(介護療養型医療施設)の2つに分けられます。

①医療療養病床

医療療養病床は、より症状が重い人のための病床です。入院と同等のケアや処置が必要な人が多いので、手厚いケアが必要です。利用者4人に対し、看護職員、介護職員が1人の割合で配置されています。

②介護療養病床

一方、介護療養病床(介護療養型医療施設)は、医療療養病床よりは症状は落ち着いているものの、医療ケアが必要な状態にある要介護者向けの施設です。利用者6人に対し、看護職員、介護職員が1人の割合で配置されています。
そのため、条件は緩和しつつもしっかりと医療ケアが受けられる体制が整っているといえるのではないでしょうか。

このように同じ「療養病床」であっても、担う役割や利用している人はだいぶ異なっています。 しかし、介護療養病床(介護療養型医療施設)は2023年度末で廃止されることが決定しているのです。詳細は後ほど説明しますが、まずは介護療養病床(介護療養型医療施設)がどのような施設なのかをみていきましょう。

介護療養病床(介護療養型医療施設)の特徴とは?

介護療養病床(介護療養型医療施設)は主にどのような人が利用しているのでしょうか。

介護療養病床(介護療養型医療施設)の入所対象者の基本条件は「医学的な管理が必要な要介護1以上の高齢者」とされています。
しかし、実際の利用者は要介護度4以上、そして80歳以上の高齢者が大部分を占めているのです。そのため、基本条件を満たしていても、介護度が低い人は利用しづらくなってしまっているという現状があります。

また、慢性期とはいえ、容態が急変するリスクが高い人が多く利用しています。

介護療養病床(介護療養型医療施設)のメリットとは

メリット①:一時金が不要

これまで説明してきた「充実した医療ケアを受けられること」に加え、民間の有料老人ホームなどと比べると金銭的負担が少ない」ことがメリットとして挙げられます。
民間の有料老人ホームでは入居金として数千万円~1億円以上必要になることもありますが、介護療養病床(介護療養型医療施設)では、一時金は不要です。

メリット②:利用料が低い

介護療養病床(介護療養型医療施設)は1カ月、約10~20万円で利用できます。介護老人保健施設(老健)や介護老人福祉施設などと比べると同額程度ですが、介護療養病床(介護療養型医療施設)の場合は、医療ケアも含まれた金額なので割安といえるでしょう。

また、民間の有料老人ホーム(月額約10~40万円)の場合は、利用料も加味すると利用料はとても安いといえます。

また、介護療養病床(介護療養型医療施設)は入院加療のような側面もあるため、大部屋で複数の人が一緒に生活する多床室もあります。そのため、個室型の施設に比べると月々の利用料も低めに抑えることができるのです。

介護療養病床(介護療養型医療施設)のデメリットとは

デメリット①:長期的にどうなるのかが不透明

最大のデメリットとしては、介護療養病床(介護療養型医療施設)は今後、廃止されることが決まっているので、長期的にどうなるのかが不透明という点です。

現時点で受けられるサービスはいつまで受けられるかわからないため、最悪な場合、急遽、退去せざるを得ない状況になる可能性もあるといえるでしょう。

デメリット②:終身制ではない

民間の有料老人ホームなどの他施設と異なり、終身制ではないこともデメリットとのひとつといえます。
医療ケアの必要がないくらい、状態がよくなれば退去する必要があるのです。

デメリット③:入院的な側面があること

介護療養病床(介護療養型医療施設)は入院的な側面もあるので、一般的な介護施設とは異なる面に戸惑う人もいるかもしれません。

例えば、レクリエーションなど利用者同士や職員と交流できるような行事があまりないこと、また、多床室を利用する場合は、プライバシーが確保しづらい点も気などが挙げられます。

介護療養病床(介護療養型医療施設)は2023年度末に廃止が予定されている!

冒頭で触れた通り、介護療養病床(介護療養型医療施設)は2023年度末に廃止される予定です。
当初は2017年度末に廃止される予定でしたが、2017年6月に公布された法改正により2023年度末に6年間延長された経緯があることから、聞いたことがある方がいるかもしれませんね。

希望してもなかなか入れないほどニーズがあるのに、廃止になるのはなぜでしょうか。理由はさまざまですが、国庫と医療現場の2つの負担を減らすためといわれています。

上でも説明しましたが、医療ケアが含められる分、介護療養病床(介護療養型医療施設)は介護老人保健施設(老健)や介護老人福祉施設より費用が高めです。
また、重症度に応じて医療療養病床と介護療養病床に分けるという前提ではありますが、現状は線引きが難しいこともあり、症状が重くないのに医療療養病床に入院している人もいます。
そのため、さらにコストがかさむ上、看護師など医療現場の負担が増大してしまっているのです。

上記のようなさまざまな負担を減らし、より適切な形に移行していくために、廃止が決定されたのです。

介護療養病床(介護療養型医療施設)は縮小している

廃止の決定が通達されたこともあり、そして、2011年以降は介護療養病床(介護療養型医療施設)の新設が認められなくなったこともあり、病床数は年々減少していっています。
厚生労働省の「病院報告」によると、2006年には12万7,000床あったものが、2016年4月には5万8,686床と10年ほどで約半分になっているのです。

反面、廃止にはならない医療療養病床は2006年には263,742床だったものが、2016年は280,171床と微増していることも同資料から読み取れます。

療養病床(介護療養型医療施設)はどうなっていく?

このように、介護療養病床(介護療養型医療施設)は規模が小さくなっています。しかし、 現在も介護療養病床(介護療養型医療施設)を利用している人はいるので、施設だけが減ってしまったら受け入れ先がなくなってしまうといえるでしょう。

そういった人たちの受け入れ先として、「介護医療院」という介護施設の新設が進められています。
これは「医療を提供する介護施設」として、日常的な医学ケアや看取り・終末期ケア、生活施設としての機能を備えている施設です。
介護医療院に関しては、今後、随時新しい情報が発信されますので、注目しておくようにしましょう。

療養病床(介護療養型医療施設)の今後を見守ろう!

これまで療養病床(介護療養型医療施設)の現状、そして廃止後の受け皿となる介護医療院についてみてきましたがいかがでしたか。

療養病床(介護療養型医療施設)は今後どうなっていくか不明瞭な部分が多いため、不安を覚える方もいるかもしれません。
しかし、現在、医療ケアと介護の双方において、最も手厚いケアを受けることができる施設といえます。 最善の決断ができるよう、動向を見守りつつ、積極的に情報収集するようにしましょう。

 
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