介護のお役立ちコラム

「特定施設入居者生活介護」とは? 条件やサービス内容などを解説|介護のコラム

「特定施設入居者生活介護」とは? 条件やサービス内容などを解説|介護のコラム

更新日:2021.10.08

家族や自身の介護がスタートすると、聞き慣れない言葉を度々耳にすることかと思います。介護サービス事業者のパンフレットやホームページ上に掲載されている「特定施設入居者生活介護」もそのうちの一つかもしれません。一体「有料老人ホーム」などとはどのような違いがあるのでしょうか? 今回は、法令上定義された「特定施設入居者生活介護」について解説していきます。

主に介護付き有料老人ホームが「特定施設入居者生活介護」に該当

介護施設の様子

「特定施設入居者生活介護」とは、厚生労働省の認可を受けた「特定施設」に入居する高齢者を対象に提供される介護サービスで、身体介助や身の回りの世話、リハビリなどの機能訓練、食事、入浴といったサービスが提供されます。

「特定施設」に該当する施設は以下の4つ。

・介護付き有料老人ホーム
・「特定施設」に指定されたサービス付き高齢者向け住宅
・ケアハウス(軽費老人ホーム)
・養護老人ホーム

詳しくは次章で説明しますが、特定施設入居者生活介護の認可を受けるには介護士の人員体制や建物の設備面などクリアしなければならない条件が多々あります。そのため、同じ有料老人ホームでも、基本外部の訪問介護サービスを利用する「住宅型」の有料老人ホームは含まれません。

同じように、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)も基本的には特定施設入居者生活介護に該当しません。ただし、24時間体制で介護職員が常駐するタイプのサ高住では、介護付き有料老人ホームと同等の管理体制で手厚いケアが望めることから、特定施設入居者生活介護として認可されているケースもあります。

頭打ちのケアハウスと養護老人ホーム

ケアハウスについては、かつては自炊など身の回りの世話を自身でできる高齢者を対象としていた施設(サービス)ですが、近年、高まる介護ニーズに合わせて、有料老人ホームなどへ鞍替えする事業者も多く見受けられます。

ケアハウスも有料老人ホームと同じく、介護付き(介護型)と介護が付かない(一般型)タイプに大別できますが、特定施設として認定されるのは介護型のみで、一般型と比較してその数が少ないのが現状です。なおケアハウスの全体数も、介護保険制度がスタートした2000年以降横ばいで、有料老人ホームや後に登場するサ高住の数と比較して、大きく差が開いてしまっているのが現状です。

要介護1~5で特定施設入居者生活介護の対象に

介護士と高齢者が会話をしている様子

特定施設入居者生活介護の対象となるのは、ほかの入居型介護サービスと同様、要介護1~5に認定された65歳以上の高齢者となります。また、要支援1、2については「介護予防特定施設入居者生活介護」という区分けになります。

要支援の場合、あくまで介護予防、つまり重度の要介護状態になるのを防ぐことが目的です。個人差はありますが、日常的な機能訓練をはじめ、利用者一人ひとりに見合った介護計画(ケアプラン)をもとに、あらゆる介護サービスが提供されます。

特定施設入居者生活介護の人員基準と設備基準

特定施設入居者生活介護に認定されるためには、厚生労働省が定める規定を満たす必要があります。大まかには人員に関する基準と設備(建物)に対する基準です。

人員基準

管理者⇒1名。ただし、他職種との兼業可。

生活相談員⇒常勤1名以上。利用者:職員の比率は100:1。

看護・介護職員⇒利用者:職員の比率は要介護者で3:1、要支援者で10:1。夜間帯は最低1名配置。

このうち看護職員については、利用者が30人までは1名、30人を超える場合は50人ごとに1名。

機能訓練指導員⇒理学療法士や看護師などの国家資格取得者1名以上。ただし他職種との兼業可。

ケアマネジャー⇒1名以上。ただし、他職種との兼業可。利用者:職員の比率は100:1を標準とする。

設備基準

居室⇒原則個室でプライバシーが保護されていること。介護サービスが提供できる十分なスペースがあること。地階(地下)に設けないこと(採光が取れず、避難経路が確保できないため)。

一時介護室⇒介護サービスが提供できる十分なスペースがあること。

浴室⇒身体が不自由な人が使用するのに適したもの。

トイレ⇒居室のある階ごとに設置。非常用設備を備えること。

食堂⇒機能を十分に発揮できるスペースを確保すること。

機能訓練室⇒機能を十分に発揮できるスペースを確保すること。

バリアフリー⇒利用者が車いすで円滑に移動することが可能な空間と構造。

生命の安全や人権を守るため、施設単位で決めるべきこと

クリアすべき条件は人員配置や設備だけではありません。利用者の尊厳を第一に考えた、各事業者の行動指針(理念の共有など)も、特定施設入居者生活介護を提供する者として常に念頭に置かなければならない事項です。

最低限の生活の保障という意味では、毎日3食の提供はもちろん、最低週2回の入浴などが規則で定められています。人権擁護の観点からは、時々ニュースなどでも耳にする、体をベッドに固定し身動きを取れないようにする身体拘束も、正当な理由なくやった場合は立派な違反行為となります。

また、急病時に応対してもらえるよう、提携する医療機関を決めておくことも求められます。最近は医師や看護師が常駐する手厚い医療体制を売りにする老人ホームも増えてきています。これにより、慢性的な病気を抱えている人や、人工透析やインスリン注射などでこまめな通院を必要とする利用者でも安心して施設暮らしができるようになります。

このほか、介護の質の向上や事故防止に向けた、職員たちによる勉強会や事例検討など研鑽の機会を設けることも、いまや当たり前の取り組みになったと言えるでしょう。

終わりに

あまり聞き慣れない「特定施設入居者生活介護」も、高齢者が安心して施設で暮らせるために定められたルールということがわかりました。超高齢社会の現在、多くのシニア世代が老人ホームへの入居を検討していることかと思いますが、理想のホームへ入居できるよう、今から少しずつ情報を集めるようにしましょう。

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