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【医師監修】ADL(日常生活動作)とは?家族が知っておきたい評価方法と低下予防について|介護のコラム

【医師監修】ADL(日常生活動作)とは?家族が知っておきたい評価方法と低下予防について|介護のコラム

更新日:2017.05.24

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「箸を持つ手がおぼつかなくて、ごはんをよく落とすようになった」「トイレに行くのが間に合わなくて失禁してしまった」「ボタンを外せず着替えに時間がかかるようになった」...。これまでできていたことができなくなる親の姿を目の当たりにすると、多くの人がその老化を実感するのではないでしょうか。ある程度は仕方ないと思っていても、やはり受け入れ難いものです。

食事や移動、排泄などの日常生活のなかで生じる基本的な動作は、「ADL(Activities of Daily Living/日常生活動作)」と呼ばれ、一連の動きができるかどうかは要介護度を決定する要素の一つでもあります。

今回は、高齢者の介護をする家族が知っておきたいADLの概要や評価方法、注意点、低下予防などの基礎知識について解説します。

ADL(日常生活動作)とは?IADL(手段的日常生活動作)との違い

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ADLは、食事や移動、排泄などの日常生活で最低限行う動作を意味します。多くの場合、「高齢者や障害のある方がどれだけ他者の力を借りずに独立して生活できるか」を示す尺度として用いられます。

ADLの種類

ADLには2種類あり、BADL(basic ADL / 基本的日常生活動作)IADL(insturumental ADL / 手段的日常生活動作)に分かれます。BADLは一般的にはADLとほぼ同義と考えられており、以下の動作を指します。

  • ・決まった時間の起床・就寝、着替え、整髪、洗顔、食事、排せつ、入浴など
  • ・屋内や外出時の移動(歩行)など

加齢とともにこういった動作ができなくなる、もしくは時間がかかるようになると、「ADLが低下した」とみなされます。

また、ADLと似た言葉に、IADL(Instrumental Activities of Daily Living/手段的日常生活動作)があります。これは、ADLより高度な頭を使った判断が求められる動作のことで、たとえば以下のようなものを指します。

  • ・料理、洗濯、掃除、買い物、服薬管理、電話の応対、交通機関の利用など

在宅介護であれば、高齢者が一人になる状況もふまえ、ADLだけでなくIADLの状態も把握しておくと良いでしょう。

ADLの評価方法「FIM」とは

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ADLの評価は、家族や介護職員、ケアマネジャーが主観で決めるものではなく、きちんとした評価方法があります。なかでもよく知られるのが「FIM(Functional Independence Measure)」と呼ばれる方法です。

1983年のアメリカ合同リハビリ医学会の議論で生まれ、1990年から運用されている評価方法で、日本語では「機能的自立度評価法」と表記します。FIMではADLを大きく「運動項目」と「認知項目」の2つに分け、それぞれにどの程度介助が必要なのか、細かな採点基準を設けています。総合点数が高いほどADLが高い(=介護の必要性が低い)と判断できるのです。

以下で、FIMにおける評価項目を見てみましょう。

運動項目

●セルフケア
・食事
・整容
・清拭
・更衣(上半身)
・更衣(下半身)
・トイレ動作

●移乗
・ベッド・椅子・車椅子
・トイレ
・浴槽・シャワー

●排せつコントロール
・排尿コントロール
・排便コントロール

●移動
車椅子・歩行、階段
・車椅子・歩行
・階段

認知項目

●コミュニケーション
・理解(聴覚・視覚)
・表出(音声・非音声)

●社会的認識
・社会的交流
・問題解決
・記憶

上記の各項目について、下記のスコアに当てはめて採点を行います。

  • 〇自立
  • 7点 完全自立
  • 6点 修正自立

  • 〇部分介助
  • 5点 監視

  • 〇介助あり
  • 4点 最小介助
  • 3点 中等度介助

  • 〇完全介助
  • 2点 最大介助
  • 1点 全介助

このFIMによる評価によって適切な介助がわかるため、過介護(介護しすぎ)によるADLの低下を防げます。また、医療機関や介護施設にADLの評価を伝えれば、ケアや介護の基準にしてもらうことも可能です。

ADLの評価と低下予防で家族が注意したいポイント

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次に、ADLの評価と低下予防において家族が気をつけたいポイントについて解説します。

判定当日だけでなく日頃の状態をふまえた評価を行う

FIMは評価基準が明確で、専門家でなくてもADLを評価できるのが特長です。一方で、普段から見ている家族の正しい理解が大切になってきます。

一概に「できる」といっても、「少し背伸びをすればできる」こともあれば、「難なくできる」「その日の体調によってはできる」こともあるでしょう。さらに、FIMの実施直後にADLが低下するケースも考えられます。

一般的に医師や介護職員は、診察やサービス利用時の要介護者の状態しか知りません。そのため、日頃の本人の体調や能力について正しく評価をするのは家族の役割と言えるでしょう。一緒に暮らすなかで、長い目でADLを評価してケアにあたる必要があります。

高齢者の気持ちを尊重し、無理強いしない

ADLの維持は、人間としての尊厳を守るうえで大切です。ADLの低下を防いで本人がQOL(Quality of Life/生活の質)を高められるよう、なるべくできることは自分で取り組んでもらうように努めましょう。

ただし、難しい動作を無理に要求したり、時間がかかる動作を急かしたりするのは禁物です。今までできていた動作ができなくなった、または時間がかかるようになったことに一番ショックを受けているのは高齢者本人だと忘れてはいけません。高齢者の気持ちに配慮しつつ、ケアにあたるようにしてください。

ADLを維持してQOLの向上を目指す

ご家族は、たとえ要介護者本人が障害や加齢を理由にできないことが増えたとしても、人間らしく誇りをもって生活できるように支援するのが重要です。

残念ながら、医学の進歩や本人の努力だけでADLの低下を食い止めることはできません。しかし、周囲のサポート次第で、体が不自由になっても日々を穏やかかつ幸せに過ごすのは可能なのです。

ADLの維持とその先にあるQOLの向上を目指し、適切な評価と本人に寄り添った介護を心がけましょう。

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【監修者】木村 眞樹子医師

医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。

医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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