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介護をするうえで知っておきたいADL(日常生活動作)の基礎知識|介護のコラム

介護をするうえで知っておきたいADL(日常生活動作)の基礎知識|介護のコラム

更新日:2020.09.29

「お箸を持つ手がおぼつかなくて、ごはんをよく落とすようになった」「トイレが間に合わず失禁してしまった」「ボタンを外せず着替えに時間がかかるようになった」......。高齢者のケアにあたる家族にとって、今までできていたことができなくなるのを目のあたりにすることは、家族の老化を痛感する瞬間ではないでしょうか?ある程度は仕方ないと思っていても、受け入れ難いものです。

こういった日常生活のなかで生じる基本的な動作を、ADL(Activities of Daily Living)と呼び、一連の動きができるかできないかは、その人に必要な介護サービスの内容を決定する要素にもなります。

今回は、老後の暮らしを占うキーワードでもある「日常生活動作=ADL」についてご説明します。

ADL(日常生活動作)とIADL(手段的日常生活動作)とは

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ADLは、これから高齢者の介護を始める方にはまだなじみの薄い言葉かもしれませんが、介護施設やリハビリテーションの世界では一般的に使われている言葉です。介護を受ける人が「どれだけ他者の力を借りずに独立して生活できるか」を示す尺度として用いられています。具体的には3つの観点があります。

●身の回りの動作
決まった時間の起床・就寝、着替え、整髪、洗顔、食事、排せつ、入浴など

●移動動作
屋内や外出時の移動(歩行)など

●そのほか生活関連動作
家事動作(料理、洗濯、掃除など)、交通機関の利用など

これらがADLにあたります。齢をとるとともに、こういった動作の一つひとつができなくなる、もしくは時間がかかるようになると「ADLが低下した」とみなされます。

また、ADLと似た言葉に「手段的日常生活動作=IADL(Instrumental Activities of Daily Living)」があります。これは、同じ日常的な動作でも、たとえば買い物や服薬管理、電話の応対のように、より頭を使った判断を求められる動作のことです。

とくに在宅介護をしている世帯ならば、高齢者ひとりを家に残して外出する機会も考え、ADLだけでなくIADLの状態も把握しておかなければなりません。

ADLの評価方法、「FIM」

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ADLの評価は、決して家族や介護士、ケアマネジャーの主観で決められるものではなく、きちんとした評価スケールがあります。そのなかでも、特によく知られるFIM(Functional Independence Measure)と呼ばれる評価方法です。

1983年のアメリカ合同リハビリ医学会の議論から生まれ1990年発表から運用されているADL評価法で、日本語では「機能的自立度評価法」と表記します。FIMではADLを大きく「運動項目」と「認知項目」のふたつに分け、どの程度の介助が必要なのか、細かな採点基準が設けられています。総合点数が高いほどADLが高い(=介護の必要性が低い)という結果になります。

以下でFIMにおける評価項目を見てみましょう。

運動項目

●セルフケア6項目
食事、整容、清拭、更衣(上半身)、更衣(下半身)、トイレ

●移乗3項目
ベッド・車椅子、トイレ、浴槽

●排せつコントロール2項目
排尿、排便

●移動2項目
車椅子・歩行、階段

認知項目

●コミュニケーション2項目
理解(聴覚・視覚)、表出(音声・非音声)

●社会的認知3項目
社会的交流、問題解決、記憶

このFIMで点数を算出することで適切な介助がわかり、"過介護"(介護しすぎ)によるADLの低下を防げます。また、広く認知されている評価方法のため、複数の医療・介護施設で介護をする際の基準とすることも可能です。

ADLを考えるうえで注意すべき2つのポイント

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FIMはADLを測るうえでは専門家でなくてもできる非常に便利な評価方法ですが、その際に大切なのは、普段から見ている家族の正しい理解です。

ADLで一概に"できる"といっても、少し背伸びをすれば"できる"こともあれば、難なく"できる"こともあります。その日の体調によってできる日・できない日もあるもの。また、FIM を実施したあと、気づかないうちに症状が悪化するケースも考えられます。 医師や介護士は、診察やサービス利用の時間しかその人と一緒に過ごしません。

そのため、体調や能力について正しい情報を把握しておくのはやはり家族の役割です。評価判定日だけのその場限りではなく、日々の暮らしのなかで、長い目でADLを見てケアにあたる必要があります。

高齢者の気持ちを尊重し、無理強いしない

QOL(Quality of Life=生活の質)は、残存している能力を極力維持し、最期まで人の手を借りずに生活するためにも、人間の尊厳を守るうえでも大切なことです。そのため家族としては、ADLを保てるよう自分できることは自分でやってもらうように努めましょう。

ただし、難しい動作を無理に要求したり、時間がかかる動作を急かしたりすることは禁物です。今までできていた動作ができなくなった、または時間がかかるようになったことに一番ショックを受けているのは高齢者本人であることを忘れてはいけません。高齢者の気持ちを忘れずにケアにあたるようにしてください。

ADLを維持しながら、QOL(生活の質)の実現を

たとえ障害や高齢が理由でできないことが増えたとしても、人間らしく誇りをもって満足に生活していこうという概念です。

残念ながら、医学の進歩や本人の努力だけでADLの低下を食い止めることはできません。しかし、周囲の手厚いサポート次第で、多少体が不自由でも満足のいく老後を迎えられます。

体が動くうちは自立できるように努めてもらい、失われた能力については家族や専門のスタッフが、適宜おぎなう。ADLの維持とその先にあるQOLの充実を視野に入れたケアの体制を築いていくことが、質の高い介護を実現するためのポイントとなってくるでしょう。

参考文献 FIMについての資料(医療法人だいな)

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