介護のお役立ちコラム

【医師監修】前頭側頭型認知症とは?同じ行動を取るのは認知症のサイン|認知症のコラム

【医師監修】前頭側頭型認知症とは?同じ行動を取るのは認知症のサイン|認知症のコラム

更新日:2017.05.29

【最終更新日:2023/02/20】

高齢化社会の今、「認知症」への関心も非常に高くなってきています。その認知症にもいくつか種類があり、中でも「前頭側頭型認知症」は、特に言葉に関係する脳部位に影響する認知症です。 この認知症はほかの認知症と比べて気づきにくいため、注意が必要です。「同じ言葉を意味もなく繰り返す」「話していることがわかっていない気がする」......家族にそのような傾向が見られる方は、この記事でチェックしましょう。


【監修者】
木村 眞樹子医師

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医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。


前頭側頭型認知症とは

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前頭側頭型認知症とは、神経に異常が生じてしまう認知症のひとつで、とくに脳の「前頭葉」や「側頭葉前方」の萎縮が生じるために起こります。 この部位は、「言葉を発すること」や「理解すること」に関係しているため、こちらに障害が表れることで、感情をコントロールしたり、理性的な行動ができなくなったり、計画を立てたり、状況を把握したりする機能が少しずつ失われていくのです。その人の「人間らしさ」が失われてしまうという言い方もできます。

また、前頭側頭型認知症は若年性認知症(65歳未満の方が発症する認知症)の一種であり、若い人でも発症する認知症です。特に50~60代に発症しやすく、緩やかに症状が進行していきます。進行するにつれて徐々に活動能力が低下していき、最終的には寝たきりとなってしまうケースもあるのです。

前頭側頭型認知症の症状と対処法

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ここでは、前頭側頭型認知症の症状と対処法についてまとめました。当てはまる場合は要注意です。

常同行動

【症状】
決まった行動をとるようになります。家の中を歩きだしたり、机の上をたたき出したり、足をバタバタさせたりといった行動が見られます。外へ出て同じ道をぐるぐる回って帰ってくることもありますが、徘徊とは違って迷子になってしまうことなくしっかりと家に戻ってきます。

【対処法】
毎日同じ行動をとる高齢者に対して不安になる気持ちもわかりますが、強引に止めてしまうと急に激怒し暴力を振るったり反社会的な行動を起こしたりしかねません。できる限り本人の意思に任せて自由にさせてあげましょう。また、デイサービスなどの外出を時刻表的行動の中にうまく取り入れられれば、介護の負担を減らすことも可能です。

異食

【症状】
さまざまな食行動の異常が見られます。同じメニューばかりを食べたがったり、異常に濃い味つけを好むようになったり......。机の上に置いておいた砂糖を全部食べてしまったという症例もあります。食欲も異常に旺盛になり、深夜に冷蔵庫の中から食べ物をあさることも。

【対処法】
意味もなく食事を続けてしまうことを防ぐため、テーブルに食べ物を置かないようにしましょう。戸棚や冷蔵庫をあさることもあるので外から鍵を付けてロックするのも有効です。

急激な感情変化

【症状】
感情の変化が乏しくなったり、あるいは突然ニコニコしたり不機嫌になったりと落ち着きません。また、周りの環境や音、ものに影響されやすいので、いきなり怒りっぽくなってしまうこともあります。

【対処法】
イライラしている原因を探り、場所を変えてあげたりする工夫をしましょう。こちらまでつられて感情的にならないことが大切です。笑顔で接するようにしましょう。

反社会的な行動

【症状】
万引きや痴漢など、社会のルールから外れるような行動を平気でするようになります。信号無視などもしてしまい、命の危険にさらされることもあります。前頭側頭型認知症は、ほかの認知症と違って物忘れはあまり見られません。その代わり、上記のように一般的な行動から外れるようなことをする場合が多いため、精神疾患と間違われて診察されてしまうことも少なくありません。

【対処法】
専門機関と相談をするようにしてみましょう。万引き、痴漢、いきなり暴力をふるうなど、本人が悪いことだと理解せずに起こしていることもあるため、そこに注意喚起してもあまり効果はありません。外に出るときにはできる限り付き添うとよいですが、毎日は難しいと思います。そういうときは、デイサービスなどの利用も検討してください。

また、繰り返し同じお店で万引きしている場合には、お店に事情を話して、先にお金をいくらか預けるか、後でまとめてお金を支払うなどの対策をとってもよいでしょう。

前頭側頭型認知症の治療法

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前頭側頭型認知症は進行がゆっくり進むので診断が遅れ、気がついたら重度になっていることがあります。アルツハイマー病などほかの認知症と比べると、患者数が少なく、原因もまだあまりよくわかっていないため有効な薬はありません。

進行をできる限り遅らせるには、脳に刺激を与えることが大切です。一緒に付き添って歩いて、普段見ない景色などを見せて刺激を与えましょう。 食事もバランスよく、いろんな味や匂いを感じられるものを用意するようにしてください。

介護ストレスを感じたら相談を

前頭側頭型認知症の患者さんは、反社会的行動や常同行動など常識はずれの行動が見られるため、介護者は不安やストレスを感じることも多いでしょう。 ただし、そのストレスをそのまま相手にぶつけてしまっては悪循環を生むだけです。極力笑顔で接し、不安・ストレスは専門機関や頼れる周りの人間に相談するようにしましょう。

【参考記事】
前頭側頭型認知症とは?原因と症状|相談e-65.net

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