介護のお役立ちコラム

老後の自立度をはかる指標「IADL」とは?「ADL」との違いは?|介護のコラム

老後の自立度をはかる指標「IADL」とは?「ADL」との違いは?|介護のコラム

更新日:2018.08.09

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介護の世界でよく耳にする言葉で「IADL(Instrumental Activities of Daily Living)=手段的日常生活動作」というものがあります。これは日常生活の基本的な動作の中でも、より高度な運動や記憶力を必要とされる動作について、どれだけ独力でできるかを図るための指標となります。


高齢者だけで暮らす世帯が右肩上がりで増加する現在、働き盛りの若い世代と同様に、日常生活における行動・管理を高齢者自ら実践していかなければならないケースが増えていきます。今回は、一般のADL(Activities of Daily Living)との違いも含め、IADLの内容について触れてみたいと思います。

IADLとADLの違いについて

ADLとIADLは、介護やリハビリテーションの世界では一般的に使われている言葉です。「初めて耳にした」という人もいるかもしれませんが、福祉や介護関連のメディアでも、近年よく登場する言葉なので、これから介護を始める人はぜひ覚えておくとよいでしょう。


ADLは「日常生活動作」と訳され、起床から着替え、移動、食事、トイレ、入浴など日常的に発生する動作を指します。

●介護するうえで知っておきたいADL(日常生活動作)の基礎知識


IADLは、日常的な動作の中でも、より頭を使って判断することが求められる動作になります。例えば、買い物や服薬管理、電話の応対などが該当します。買い物の場合、メニューに応じて何を買うべきか理解することが必要で、会計時の判断力(=金銭の管理能力)も求められます。


電話の応対では、誰宛てに電話がかかってきたのか、家族が不在の場合どのように対応すべきかといった認知・コミュニケーション能力が求められます。在宅介護の場合、単純なADLだけで済むことはなく、より高度な応対や判断が必須となることでしょう。高齢者一人で留守を預かるケースも出てくることでしょうし、高齢者と同居されている方はIADLの状態も把握しておくことで、心身機能の衰えを早期に察知することが可能になります。

8つの項目からなるIADLの評価方法

pixta_20729759_M.jpg IADLは、アメリカの心理学者M・パウエル・ロートンらによって1969年に発案されました。以下の8つの項目から成り立ち、それぞれの項目について、どういった範囲であればできるかなども細分化されています。最終的にスコアが高いほど自立に近いという結果になります。

【IADLを評価する8項目】

* 電話使用
* 買い物
* 食事の準備
* 家事(清掃、身の回りの片づけなど)
* 洗濯
* 移動
* 服薬管理
* 財産の取り扱い・管理



上記のうち、食事の準備、家事、洗濯の3項目については、男性は除外されます。

IADLと要支援・要介護の関係性について

次にIADLのスコアと要支援・要介護の判定との関連について触れてみます。確かにIADLの項目は一つ一つが日常的に重要な項目であり、生きていくには避けて通れない行動であります。しかし最終的なスコアがそのまま要介護度を決定するとは限りません。一つの目安として捉えてください。


●要支援1・2
身の回りのことがほぼ独力でできる状態です。IADLの各種項目については、必要に応じて周囲のサポートが必要です。


●要介護1
生活の一部に介助が必要となるケースが多く、認知機能の衰退はさほど見られないものの、歩行能力に衰えが見られる高齢者が多くいます。IADLに照らし合わせると、買い物や移動にスコアが入らないことが想定できます。


●要介護2
要介護1に比べると、より手厚い介助が必要となる高齢者が多く、屋内の移動にも介助が必要となることが想定されるため、IADLに照らし合わせると家事や食事の準備にスコアが入らないことが想定できます。


●要介護3
特別養護老人ホームのへの入所基準を満たすことからも、独力で身の回りのことの多くができなくなることが想定されます。多くの高齢者に認知症が見られるようになり、電話の応対や服薬管理も望めなくなるでしょう。


●要介護4
身の回りの世話を独力でおこなうのがほぼ100%不可能で、より重度の認知症が見られます。そのためIADLの全項目すべてにおいてスコアがつくことは望めません。


●要介護5
寝たきりでベッドの上で過ごす状態が続き、意思の疎通も難しくなります。要介護4と同様にIADL全項目においてスコアは望めないでしょう。

日々起きることに関心を持ち、小さな行動を毎日積み重ねていくことが大切

高齢者のIADLについて、一番深く知っているのは家族です。一緒に暮らしているからこそ、日々の微妙な変化にも気づくことができるはずです。しかし高齢者の場合、日常的に難なくできることもあれば、無理に少し背伸びをすればできることもあるため、その見極めも重要です。また一つの行動についても、その時々の体調によってできる日、できない日があることも知っておかなくてはなりません。


同時に、毎日の習慣のように繰り返している行動についてはIADLに大きな衰えが見られず、比較的長く能力を維持できます。厚生労働省が発表したIADLに関する調査研究の報告書(平成24年度)によると、「新聞(または本や雑誌)を読んでいる」「健康についての記事や番組に関心がある」と回答した高齢者は全体の80%近くにまで達しました。


健康や世の中で起きている現象に興味があり、自ら知ろうとする行動は気持ちにメリハリを生みます。また自らページをめくる行為そのものも、指先を使う運動になるため認知症の予防や健康維持にもつながることでしょう。


同時に「若い人に自分から話しかける」と回答した高齢者も70%を超えました。人とふれあい、コミュニケーションを日々続けていくことも心の活性化につながり、元気に健康で老後を迎えるために必要なことなのかもしれません。

終わりに

IADLは普段から寝食をともにしなければ把握しづらい内容であり、また正確な判定を下すことも難しいはずです。日常の何気ない変化を汲み取れるのは、やはり一緒に暮らす"家族"以外に他なりません。在宅介護を続けていくにあたり、今後の要介護度の変動や適切なケアに影響を及ぼす可能性があるだけに、日ごろから高齢家族とのコミュニケーションは大切にしたいところです。

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