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床ずれを防ぐ、体位交換のコツ-寝たきり介護では必須の技術!|介護のコラム

床ずれを防ぐ、体位交換のコツ-寝たきり介護では必須の技術!|介護のコラム

更新日:2017.02.20

要介護度の高い高齢者は、一日の多くの時間をベッドの上で過ごすことになります。穏やかな表情で眠っているからといって、声もかけずに長時間放置しておくのは、実は大変危険です。寝たきりの高齢者が、長時間同じ体勢のままでいると体に大きな負担を与え、特に皮膚や体の機能に思わぬ悪影響を与えてしまうことになります。 今回は、家庭でおこなう高齢者ケアのもっとも基礎的な「体位変換」について、基本的な動作やタイミング、そしてその重要性についてご説明したいと思います。

家庭での介護で特に注意したい床ずれ予防

pixta_15875412_m 寝たきり高齢者の介護で特に注意したいのが「床ずれ」です。床ずれとは、体の一部が持続的な圧迫を受け、皮膚組織に循環障害が起こり、その結果皮膚の一部が壊死してしまう症状のことです。 床ずれが起こりやすいのは、ほとんど意識がなく自分で体位変換ができない人や、まひなどで知覚障害があり体の圧迫に気づかない人。もともとやせ型のうえ皮膚の老化と骨の突出が著しく、長時間の圧迫に耐えられない人などが挙げられます。また床ずれのリスク以外にも、同じ姿勢を長時間保ち続けることによって筋肉の委縮、関節の拘縮や変形が生じて体のあらゆる機能が失われていくことになり、より重度の介護を必要とする状態になってしまいます。 このような床ずれを防ぐためには、定期的に体位変換をおこなうことが重要です。体位変換をすることで、床ずれができやすい(荷重がかかりやすい)部位への負担を分散させることができます。完全に自力で体を動かすことができない(寝返りも打てない)高齢者は、2時間に1回は体位変換をおこなうことが望ましいとされています。 それでは具体的に、どのような頻度で、どのように体位変換を行えばよいのでしょうか? 以下に、各体位の名称や、体位変換のタイミングやポイントをまとめてみました。

各体位の名称について

%e5%b0%be%e9%aa%a8 以下に紹介する各体位の名称は、介護の世界で一般的に使われている言葉です。普段から訪問介護サービスなどを利用している家族にとっては、ホームヘルパーとの日常的な会話の中で出てくる可能性もあるため、できる限り覚えるようにしておくようにしましょう。 ●仰臥位(ぎょうがい) 仰向けの状態を指します。多くの寝たきり高齢者はこの状態でいる時間が一番長いでしょう。 床ずれができやすい部位:肩甲骨部、ひじ、仙骨(脊椎の下部にある骨)、尾骨、かかと など ●腹臥位(ふくがい) うつ伏せの状態を指します。清拭(体を拭く)や治療の際に必要となるケースがあります。 床ずれができやすい部位:頬、肩鎖関節部、ひざ関節部、つま先、乳房(女性)など ●側臥位(そくがい) 横向きで寝た状態を指します。不安定なため、手や足の位置に注意しバランスを取らないとベッドから転落するリスクも高まります。 床ずれができやすい部位:耳、肩鎖関節部、側胸部、大転子部、膝関節外側部 など ●長座位(ちょうざい) 両足は伸ばしたままで、上半身のみ起きた状態を指します。リクライニング付きのベッドならば、本人の意識や力がなくともこの状態になり食事をとることが可能となります。上半身をほぼ90度直立させた状態を起座位。45度前後に起こした状態を半座位(ファーラー位)と呼びます。 床ずれができやすい部位:臀(でん)部 ●端座位(たんざい)  上半身は直立し両足は曲げた状態、つまりベッドの端に腰かけた状態を指します。移動などで車椅子を利用する高齢者によく見られる体位です。 床ずれができやすい部位:臀部、ひじ関節(車椅子などに長時間座っている場合)

体位変換(仰向け→横向け)の具体的な方法

pixta_8737078_m では次に、体の拘縮(関節を動かさないため、関節が動かなくなること)や床ずれ予防のために有効とされる体位変換について説明しましょう。複数ある体位変換の中でも、仰向けで寝ている人を横向きに変え、再び仰向けに戻す基本的なパターンをご紹介します。この体位変換は、排せつ介助(おむつ交換)の際に必須となるため覚えておきたい動作です。 まず、介護者は、高齢者に向かせたい方向の手(横向きにしたとき身体の下になる方の手)を上にします。このとき肘を曲げた状態で挙手のようなポーズになります。次に、向かせたい方向と逆側の足をもう片方の足の上に乗せ、足を組んだような状態にします。この状態で高齢者の肩と腰を手のひらでやさしくつかみ、介護者の方向へ引き寄せ横向きにします。体位変換をおこなう前に、腕と足の位置を調節しておくことで、横向きの状態でも安定が確保されます。 また、枕の位置を変換方向へ少しずらしておくと、横向きになった後に枕から頭が落ちてしまうことも防げます。それでも体位が不安定な場合は、毛布やクッションなどを当てがい、被介護者にとって無理なく楽な姿勢がとれるよう工夫してみましょう。 可能であれば、仰向け→右横向き→左横向き→仰向け のように、ローテーションをつけることが望ましいです。ただしこういった一連の動作をマニュアル的にこなすのではなく、必ず体位変換のあとに、現在の姿勢が苦しくないか、またどこか不快なところや痛いところがないかなどを確認するようにしてください。

寝たきり介護における3つの注意事項

pixta_20552666_m 常時、体位変換を必要とする高齢者の多くは寝たきりの状態にあります。ここで、清拭や着替えなども含めた体位変換時に注意しておくべきポイントを3つまとめました。

1.事前の声かけ

高齢者の体に触れる前に、必ず声かけをおこなってください。誰でも寝ているときに急に体に触れられると驚くはずです。特に認知症が進んでいる高齢者に対して急に体に触れると、家族といえども大きな不信感を与えてしまうことになります。相手の意思を確認したあとでも、「首の下に腕を通します」「体を右(左)に動かします」など語りかけてください。

2.皮膚の状態を確認する

着脱衣や排せつ介助の際は、皮膚に異変がないかを確認するようにしてください。裸の状態は床ずれを発見しやすくなります。特に身体の片方がまひしている場合、まひのある部分の皮膚に異変が起きていても本人は気づくことが難しいため、介護する家族は特に気をつけなくてはいけません。また、体位変換時におむつ交換をすることも多いですが、排せつ物で濡れたおむつを長時間着用するのも、皮膚の炎症を引き起こすため注意が必要です。

3.シーツはピンと張った状態で敷く

ベッドにいる時間が長いほど、汗や油分、垢などでシーツや枕カバーは汚れがちになります。定期的に交換することをお勧めしますが、シーツはしわを作らず、ピンと張った状態で交換するようにしてください。高齢者は皮膚が老化しているため、小さなしわでも体重が圧迫され、床ずれの原因になるのです。

相手にとって最適な体位交換を

自ら意思を訴えることが難しい重度の要介護者にとって、長時間体を動かさずにいることは、体を自由に動かすことのできる私たちでは想像できない苦しみをともなうものです。 しかし長年一緒に暮らしている家族ならば、意思疎通が難しい場合でも、相手の表情などからその気持ちを察することができることでしょう。機械的に体を動かすだけでなく、見せる表情や体の状態、特徴なども確認したうえで、相手にとって最適と思われる体位変換を提供してあげるようにしてみてください。

参考文献 『介護技術の基礎と実践』日本医療企画
 

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