介護のお役立ちコラム

老人ホームに入るベストなタイミングとは?入居者と介護者の2視点から解説!

老人ホームに入るベストなタイミングとは?入居者と介護者の2視点から解説!

更新日:2025.05.01
老人ホームに入るタイミングについて解説

「そろそろ母を老人ホームに入れた方がいいのだろうか...」。

親の介護に直面したとき、多くの方がこのような悩みを抱えます。まだ何とか自立して生活できているようでも、日に日に体力が衰えていくのを感じると、将来への不安が募っていくものです。かといって、本人が老人ホームへの入居を望んでいなかったり、タイミングが早すぎると感じたりして、決断に踏み切れずにいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、老人ホームへの入居を考えるべき明確な判断基準を、「入居者(親)の視点」と「介護者(子)の視点」の両面から解説します。さらに、入居を検討すべき身体状況のチェックリストから、入居を拒否された場合の対処法まで総合的にご紹介します。

この記事を読むことで、「いつ老人ホームに入居させるべきか」という判断に迷いがなくなり、親と自分の双方にとって最適なタイミングで老人ホームに入居する決断を下せるようになるでしょう。




【入居者編】老人ホームに入るタイミング|3つの明確な判断基準

親にとって最適な入居タイミングを見極めるには、いくつかの客観的な判断基準があります。以下の3つのポイントは、入居を検討する明確なサインとなります。


自立した日常生活が困難となってきたとき

運動機能の低下などにより自立した日常生活を送るのが困難になってきている場合は、老人ホームへの入居を検討すべきタイミングといえます。

高齢者の日常生活レベルは「ADL(Activities of Daily Living)」という指標をもとに測ることが可能です。ADLとは日常生活を送るための最低限必要な動作のことで、具体的には以下の8つの基本動作を指します。

  • ・起居動作(寝起きや立ち座りなど)
  • ・移乗(ベッドから車椅子へなど)
  • ・移動(歩行や車椅子での移動)
  • ・食事
  • ・更衣(着替え)
  • ・排せつ
  • ・入浴
  • ・整容(洗顔、歯磨き、整髪など)

これらの動作が自力で行えなくなってきたり、援助が必要になってきたりした場合は、専門的なケアが受けられる環境への移行を検討するタイミングです。例えば、以下のような状況が続くようであれば注意が必要です。

  • ・転倒が増えた
  • ・食事の用意ができなくなってきた
  • ・服薬管理ができなくなった
  • ・入浴が1人では困難になった
  • ・家の掃除や整理整頓ができなくなった

ADLの低下は緩やかに進行することも多いため、「まだ大丈夫」と思っていても、客観的に見ると生活の質が著しく低下している場合があります。定期的に親の生活状況を確認し、ADLの変化に注意を払いましょう。

参考:健康長寿ネット「自立生活の指標:日常生活動作(ADL)とは 」

関連記事:老後の自立度をはかる指標「IADL」とは?「ADL」との違いは?|介護のコラム


認知症の症状の進行が見られるとき

認知症が重症化してから施設を探すのは遅く、希望条件が合わなかったり、高額な施設しか入居できなかったりする可能性があります。そのため、早期の段階で老人ホームへの入居を検討しておくべきでしょう。

認知症の初期症状は主に以下のような兆候が見られます。

  • ・何度も同じ話をする
  • ・おつりの計算やお金の管理ができない
  • ・家事が困難となる
  • ・人付き合いが減少する
  • ・何もないのに道に迷う
  • ・感情の起伏が激しくなる

これらの初期症状を見逃してしまうと、日常生活が困難となるだけでなく、詐欺被害や事故、徘徊、介護拒否などのリスクが高まり、家族の介護負担が一気に増大します。そうならないうちに、専門知識を持った介護スタッフによる適切なケアを受けられる環境を整えておくことが重要です。

認知症は進行性の病気であるため、初期段階での対応が本人と家族双方の生活の質を大きく左右します。症状が軽いうちに環境を整え、専門的なサポートを受けることで、認知症の進行を遅らせる効果も期待できます。



生活環境に適応できなくなってきたとき

自宅のバリアフリー対応が不十分、近隣に医療機関や生活支援サービスがないなど、身体状況が住環境に適応できなくなってきたタイミングも老人ホームへの入居を検討すべき時期です。

まだ自立して生活が送れていたとしても、以下のような環境的なリスク要因がある場合は注意が必要です。

  • ・階段の多い家に住んでいる
  • ・トイレや浴室が狭く、手すりなどの設備がない
  • ・近くに病院や薬局がない
  • ・買い物に行くのが困難
  • ・緊急時に駆けつけられる親族が近くにいない

高齢者は転倒によるケガなどのリスクが高まります。また、賃貸への引っ越しなども審査に通りづらいため、生活環境があまりにも合わない場合は、何か事故が起きる前に老人ホームへ入居することも重要な選択肢となります。

バリアフリーリフォームという選択肢もありますが、大規模な改修には高額な費用がかかり、その費用を老人ホームの入居費用と比較検討する必要があります。 また、リフォームしても医療機関へのアクセスや緊急時の対応といった問題は解決しないケースも多いでしょう。


【介護者編】老人ホームに入るタイミング|2つの明確な判断基準

親だけでなく、介護する側の状況も老人ホーム入居の判断に大きく影響します。以下の2つのポイントは、介護者の視点からの入居検討のサインとなります。


介護負担が限界に達しそうなとき

家族の介護疲れが限界に近づいてきており、健康や精神状態に影響がある場合も、老人ホームへの入居を検討すべきタイミングです。無理をしていると共倒れとなってしまいます。

介護者の以下のような状態は、介護負担が限界に近づいている警告サインかもしれません。

  • ・睡眠不足が慢性化している
  • ・自分の健康管理ができなくなっている
  • ・社会的な孤立感を感じている
  • ・イライラや怒りをコントロールできなくなっている
  • ・憂うつ感や無力感がある
  • ・仕事や家事との両立が困難になっている

介護は24時間365日続く重労働です。「自分がしなければ」という責任感から無理を重ねてしまいがちですが、介護者自身が倒れてしまっては元も子もありません。 仕事や生活と介護の両立ができない状況になっている場合は、自分や家族のためにも専門的なケアが受けられる老人ホームへの入居を考えましょう。


介護力の限界が見えてきたとき

家族の介護力で対応しきれなくなってきている場合も入居を検討すべきです。特に以下のような状況になった場合は、プロによるケアが必要なサインといえます。

  • ・24時間の見守りが必要になった
  • ・医療的なケアが必要になった
  • ・認知症の症状が悪化し、対応が難しくなった
  • ・介護者自身が高齢となり、健康問題がある
  • ・複数の家族で介護を分担しても足りない状況になった

在宅での介護には限界があります。特に医療的なケアや認知症ケアなど、専門知識が必要な場合は、無理に在宅介護を続けるより、専門スタッフのいる環境に移行する方が、親にとっても適切なケアを受けられる可能性が高まります。


老人ホームに入れるべき?身体状況チェックリスト

身体状況チェックリストについて解説

親の身体状況を客観的に評価するために、「地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメント(DASC-21)」を参考にしたチェックリストを活用してみましょう。 複数の項目に当てはまる場合は、老人ホームへの入居を真剣に検討すべき時期かもしれません。

【記憶に関する項目】

1.物の置き場所がわからなくなることがある
  • 2.短時間前の話を思い出せないことがある
  • 3.自分の生年月日がわからなくなることがある
  • 【見当識(時間・場所)に関する項目】

    4.今日が何月何日かわからないときがある
  • 5.自分のいる場所がどこだかわからなくなることがある
  • 6.道に迷って家に帰ってこられなくなることがある
  • 【問題解決・判断力に関する項目】

    7.電気やガスや水道が止まったときに、自分で適切に対処できる
  • 8.1日の計画を自分で立てることができる
  • 9.季節や状況に合った服を自分で選ぶことができる
  • 【家庭外のIADL(日常生活を送るために必要な動作)に関する項目】

    10.1人で買い物はできる
  • 11.バスや電車、自家用車などを使って1人で外出できる
  • 12.貯金の出し入れや、家賃や公共料金の支払いは1人でできる
  • 【家庭内のIADLに関する項目】

    13.電話をかけることができる
  • 14.自分で食事の準備はできる
  • 15.自分で、薬を決まった時間に決まった分量を飲むことはできる
  • 【身体的ADLに関する項目】

    16.入浴は1人でできる
  • 17.着替えは1人でできる
  • 18.トイレは1人でできる
  • 19.身だしなみを整えることは1人でできる
  • 20.食事は1人でできる
  • 21.家のなかでの移動は1人でできる
  • このチェックリストは21項目あり、各項目1〜4点で評価します。合計点が高いほど介護の必要性が高まっていることを示します。

    • ・21〜42点:自立度が高く、在宅生活が可能な状態
    • ・43〜63点:軽度、あるいは中等度の支援が必要。介護サービスの利用検討段階
    • ・64〜84点:中等度、あるいは重度の支援が必要。施設入居の検討が必要な段階

    ただし、点数だけでなく、以下のような状況も老人ホーム入居を検討すべきサインです。

    • ・3〜4点の項目が多く見られる
    • ・身体的ADL項目(16〜21)で介助が必要になっている
    • ・家族の介護負担が大きい
    • ・安全面での不安がある(転倒リスクや火の不始末など)

    このチェックリストで心配な点が多く見られる場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーなどの専門家に相談することをおすすめします。

    参考:dasc.jp「DASC-21とは」


    費用面から考える老人ホームに入るべきタイミング

    費用面から考える老人ホームに入るべきタイミングについて解説

    介護費用が月額10万円を超えたタイミングで老人ホームへの入居を検討すべきでしょう。特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設では月額10万円前後での入居が可能ですが、待機期間があるため早めに動き始めることが重要です。

    在宅介護でも、訪問介護や自宅のリフォームなどでまとまった費用が必要となるケースも少なくありません。例えば以下のような費用がかかります。

    • 訪問介護:1回1〜2時間で数千円〜1万円程度
    • バリアフリーリフォーム:数十万円〜数百万円
    • 福祉用具のレンタル・購入:月数千円〜数万円
    • 配食サービス:1食500円前後×毎日

    これらの費用を合計すると、月に10万円を超えることも珍しくありません。老人ホームの費用と自宅介護の費用を比較し、費用対効果の高い選択をすることも大切です。

    老人ホームの種類によって費用は大きく異なります。

    • 特別養護老人ホーム(特養):月額約8~14万円
    • 介護老人保健施設(老健):月額約8~14万円
    • 介護付き有料老人ホーム:月額約23万円(入居一時金が別途必要な場合も)
    • サービス付き高齢者向け住宅:月額12万円前後

    費用面だけで判断するのではなく、親の状態やニーズに合った施設を選ぶことが最も重要です。ただし、費用負担が大きくなりすぎると家族の生活にも影響するため、バランスの取れた判断が求められます。

    参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」

    関連記事:特別養護老人ホームとは? 入居条件や費用、メリット・デメリットを徹底解説!



    【5 Steps】老人ホームの入居までの流れ

    老人ホームへの入居を決断したら、以下の5つのステップで進めていきましょう。スムーズな入居のためには計画的な準備が大切です。


    Step 1.入居者や家族との話し合い

    入居者や家族と話し合い、どんな施設が良いのか、費用はどのくらいまでか、希望する立地や重視するサービスは何かなどを明確にしましょう。

    老人ホームといっても特養や有料老人ホームなどさまざまな種類があり、それぞれサービス内容や費用は様々です。以下のポイントについて家族間で認識を合わせておくことが重要です。

    • ・月額費用の上限
    • ・希望するエリア
    • ・必要なケアのレベル
    • ・重視するサービス(医療連携、レクリエーション、食事など)
    • ・個室か相部屋か
    • ・入居期間(短期・長期)

    特に本人の意向を尊重しつつ、現実的な選択肢を検討することが大切です。可能であれば本人も交えた話し合いを行い、納得できる決断を目指しましょう。


    Step 2.施設に関する情報収集

    施設の種類と概要について理解したうえで情報を収集し、どの施設が良いのか、候補を絞り込んでいきましょう。

    情報収集の方法には以下のようなものがあります。

    • ・インターネットでの検索
    • ・市区町村の高齢者福祉課への相談
    • ・地域包括支援センターへの相談
    • ・ケアマネジャーからの紹介
    • ・老人ホーム紹介センターの利用
    • ・資料請求(複数施設から一括資料請求できるサービスもあります)

    集めた情報をもとに、先ほどの話し合いで決めた条件に合う施設を3〜5ヶ所程度リストアップしましょう。施設のタイプ、立地、サービス内容、費用などを一覧表にしてまとめると比較しやすくなります。


    Step 3.見学や相談

    入居候補となる施設が決まれば、見学や相談の予約をしましょう。可能であれば本人も一緒に見学し、実際の雰囲気を確かめることが大切です。

    見学の際には、以下のポイントを特に注意深くチェックしましょう。

    • ・施設の雰囲気と清潔さ:臭いや清掃状態、明るさなど
    • ・スタッフの対応:笑顔があるか、入居者への声かけや接し方は適切か
    • ・入居者の様子:表情が明るいか、活気があるか
    • ・居室の広さと設備:プライバシーは確保されているか、使いやすそうか
    • ・食事内容と選択肢:試食ができれば理想的
    • ・アクティビティの種類と頻度:どのような余暇活動があるか
    • ・医療連携体制:協力医療機関、看護師の配置状況
    • ・面会や外出のルール:家族との交流はどの程度可能か

    また、多くの施設では体験入居(ショートステイ)のサービスを提供しています。入居意向が固まったら、最終確認の意味で体験入居することをお勧めします。実際に数日間生活してみることで、入居後のミスマッチを防げます。


    Step 4.入居申し込み

    入居申し込みを行う際は、主に以下の書類を求められることが多いので、事前に準備しておきましょう。

    • ・住民票
    • ・介護保険被保険者証
    • ・介護認定通知書
    • ・健康診断書
    • ・年金証書(収入証明)
    • ・身元引受人の情報

    申し込みの後に、入居審査が実施されます。審査内容は施設によって異なりますが、主に以下の点がチェックされます。

    • ・介護度と施設の受け入れ基準が合致しているか
    • ・医療的ケアの必要度と施設の対応能力が合っているか
    • ・感染症や重度の認知症など、特別なケアが必要かどうか
    • ・費用の支払い能力があるか

    審査に通過すれば、契約へと進みます。


    Step 5.契約や入居準備

    契約の際は、以下の点を特に注意深く確認すべきです。

    • ・重要事項説明書の内容:サービス内容、費用、退去条件など
    • ・契約書の内容:特に解約条件や返還金
    • ・費用体系:月額費用の内訳、追加料金が発生するケースなど
    • ・退去条件:どういった場合に退去を求められるか

    契約後にトラブルにならないように細かくチェックし、自分の認識と齟齬がないかを確認することが重要です。不明点があれば必ず質問し、納得してから契約書にサインしましょう。

    また、入居日までに、以下の準備を進めておきましょう。

    • ・持ち込み品や荷物の整理(施設から指定されたもの以外は最小限に)
    • ・衣類への記名
    • ・住所変更の手続き(市区町村、郵便局、各種サービス)
    • ・介護保険の住所変更
    • ・医療情報の整理(かかりつけ医、服薬情報など)

    入居日が決まったら、できるだけスムーズに新しい環境に慣れるために、本人の好みの物や思い出の品など、心の支えとなるものも数点持参すると良いでしょう。


    老人ホームへの入居を拒否された場合の対処法

    老人ホームへの入居を拒否された場合の対処法について解説

    老人ホームへの入居を親に提案しても、本人が拒否するケースは少なくありません。それには様々な心理的要因があり、適切な対応が必要です。


    入居を拒否する本当の理由を聞く

    入居を拒否する理由は表面的なものでなく、心理的に深い要因があることが多いものです。そのため、じっくりと話し合いを重ねて、なぜ拒否するのか本当の理由を確認することが大切です。

    よくある拒否の理由とその背景にある心理

    • 「家を離れたくない」:長年住み慣れた家への愛着、見知らぬ環境への不安
    • 「施設の生活がつまらなそう」:自由が制限されるという誤解、活気ある生活がイメージできない
    • 「まだ自分でできる」:自立心を失いたくない、依存することへの抵抗感
    • 「お金がもったいない」:経済的な不安、子どもに負担をかけたくない
    • 「死ぬ場所だと思う」:老人ホームは終の棲家であるという恐怖、死を意識させられる

    これらの本音を聞き出せれば、それに対して具体的な解決策や安心材料を提示することが可能になります。 例えば、「自由がない」と心配している場合は、外出可能な施設を選んだり、「つまらない」と思っている場合は、アクティビティが充実した施設を紹介したりすることで不安を和らげられるかもしれません。


    入居者本人の希望を聞く

    老人ホームでの生活にネガティブなイメージを持っている方も多いものです。「家で過ごすよりも良い生活ができそうにない」と先入観を持っていることが原因となる場合があります。

    できる限り本人の希望する立地や生活環境に合致した施設を一緒に探すことで、納得してもらえる可能性が高まります。

    よくある希望条件の例

    • ・馴染みのある地域にある施設
    • ・趣味や特技を活かせるアクティビティがある施設
    • ・自分のペースで生活できる個室タイプの施設
    • ・家族が頻繁に訪問しやすい立地の施設
    • ・従来の生活リズムを尊重してくれる施設

    本人の意向を最大限尊重する姿勢を示すことで、「自分の意見は無視されている」という不満や不安を軽減できます。


    介護サービスの利用から始める

    初めから老人ホームに入居することに抵抗がある場合は、訪問介護やショートステイなどの介護サービスを利用し、徐々に慣らしていくことも有効です。

    段階的なアプローチとしては以下があります。

    • デイサービス(通所介護):中数時間を施設で過ごし、夕方に自宅に戻る
    • ショートステイ(短期入所):数日〜2週間程度施設に滞在する
    • 小規模多機能型居宅介護:通い、訪問、宿泊を組み合わせたサービスを利用する

    これらのサービスを利用する中で、施設での生活に対するポジティブなイメージが形成されていけば、入居に対する抵抗感も次第に薄まっていくでしょう。また、スタッフとの信頼関係も構築され、安心感につながります。




    第三者に相談する

    家族だけでの説得に行き詰まった場合、第三者の介入が有効な場合があります。かかりつけ医、ケアマネジャー、社会福祉士など、専門家の意見は説得力を持つことが多いです。

    地域包括支援センターや自治体の高齢者相談窓口などの公的機関への相談も有効です。専門家による客観的な判断や助言は、家族間の感情的な対立を緩和し、冷静な決断を促すことができます。

    また、同様の経験をした家族の体験談を聞くことも参考になることが多いでしょう。成功事例や失敗から学んだ教訓は、自分たちの状況に置き換えて考える良いきっかけとなります。

    最終手段として強制的に入居させる

    介護による共倒れを防ぐために、強制的に入居させることも最終手段として考慮せざるを得ないケースもあります。ただし、これは本当に最後の選択肢として検討すべきものです。

    強制的な入居が検討される典型的なケース

    • ・認知症が進行し、在宅での安全が確保できない
    • ・医療的ケアが必要で、家族では対応しきれない
    • ・介護者の健康状態が深刻に悪化している
    • ・高齢者虐待のリスクが高まっている

    強制的な入居を選択する場合も、できる限り本人の尊厳を尊重する姿勢を忘れないようにしましょう。また、入居後もこまめに面会に行き、新しい環境への適応をサポートすることが大切です。


    老人ホームへ入居させる際に罪悪感を抱く必要はない

    親を老人ホームに入居させることに罪悪感を抱く方も多いですが、適切な判断であれば負担に感じる必要はありません。むしろ、適切なケアを受けられる環境を整えることは、親に対する愛情表現の1つと考えるべきです。

    以下のような考え方が助けになるかもしれません。

    • ・専門的なケアにより、親の生活の質が向上する可能性がある
    • ・安全な環境で過ごすことで、事故や孤独死などのリスクが減少する
    • ・介護の共倒れを防ぐことは、結果的に親のためにもなる
    • ・施設での新たな人間関係や活動が、生きがいにつながることもある
    • ・家族との関係が介護者と被介護者ではなく、純粋な親子関係に戻れる

    介護の負担を抱えすぎることや、無理を続けることは誰のためにもなりません。適切なタイミングで専門的なケアを受けられる環境に移行することは、本人にとっても家族にとっても前向きな選択となり得ます。


    まとめ

    老人ホームへの入居を検討するタイミングは、入居者(親)と介護者(子)の双方の状況を踏まえて総合的に判断することが重要です。単に「まだ自立できているから大丈夫」と判断するのではなく、将来を見据えた計画的な決断が求められます。

    入居を検討すべき明確なサイン

    • ・自立した日常生活が困難になってきた
    • ・認知症の症状の進行が見られる
    • ・生活環境に適応できなくなってきた
    • ・介護負担が限界に近づいている
    • ・家族の介護力で対応しきれなくなった

    それぞれの状況に合わせて、最適なタイミングで決断することが大切です。老人ホームへの入居は「親を見捨てる」ことではなく、より専門的なケアを受けられる環境に移行することで、親の安全と尊厳を守る選択肢といえます。

    入居のタイミングを見極めるためには、本記事で紹介した身体状況のチェックリストを定期的に確認し、家族間でオープンなコミュニケーションを取ることが重要です。また、入居を検討し始めたら早めに情報収集を始め、希望に合った施設を見つけるための十分な時間を確保しましょう。

    最後に忘れてはならないのは、この決断は親のためであり、同時に家族全体の生活の質を守るためでもあるということです。適切なタイミングで適切な判断を下すことで、親と自分双方にとって負担のかからない良好な関係が築けるでしょう。



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