親の介護が必要になったとき、「どんな施設が最適なのだろう？」と悩まれる方は多いのではないでしょうか。施設を探し始めると、ケアハウスや有料老人ホームなど様々な選択肢があり、その違いが分かりにくいと感じることもあるでしょう。

特にケアハウスと有料老人ホームは、一見似ているのですが、実は大きく異なります。この記事では、両者の違いを費用や入居条件、サービス内容などの面から多角的に比較し、あなたの大切な家族のために最適な選択ができるようサポートします。

【比較表】ケアハウスと有料老人ホームの違い

まずは、ケアハウスと有料老人ホームの主な違いを比較表で確認しましょう。

それでは、各施設の特徴について詳しく見ていきましょう。

参考：ケアハウス（軽費老人ホーム）の費用・料金｜老人ホーム検索【さがしっくす】

ケアハウスは大きく2種類に分けられる

ケアハウスは、軽費老人ホームC型とも呼ばれ、自治体や社会福祉法人が運営する公的な施設です。大きく分けて「一般型」と「介護型」の2種類があります。以下の表で、それぞれの特徴を比較してみましょう。

一般型ケアハウス

一般型ケアハウスは、基本的に自立した生活が可能な高齢者を対象とした施設です。食事の提供や生活相談、緊急時の対応など基本的な生活支援サービスが提供されますが、介護サービスは含まれていません。

施設の特徴としては、個室でプライバシーが確保され、共用スペースも充実しています。費用は比較的安価で、月額利用料は6万円〜十数万円程度が一般的です。低所得者向けの減額制度があるのも特徴の1つです。

介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用して、そのまま住み続けることも可能です。ただし、施設によっては重度の介護状態になると退去が必要になるケースもあります。

介護型ケアハウス

介護型ケアハウス（特定施設入居者生活介護の指定を受けたケアハウス）は、介護が必要な高齢者向けの施設です。入浴、排せつ、食事などの日常生活上の介護サービスを施設内で提供しています。

施設内には介護スタッフが24時間体制で常駐しており、安心して生活できます。看護師による健康管理や機能訓練指導員によるリハビリテーションなども行われています。

介護保険制度を活用しているため、介護サービスの利用に関しては自己負担額を抑えられます。月額利用料は約6万円〜約20万円程度ですが、介護度や所得に応じて異なります。

有料老人ホームは大きく3種類に分けられる

有料老人ホームは、民間企業や医療法人などが運営する施設で、「介護型」「住宅型」「健康型」の3つのタイプに分けられます。以下の表でそれぞれの特徴を比較してみましょう。

介護型有料老人ホーム

介護型有料老人ホームは、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、施設内で24時間体制の介護サービスを提供しています。介護スタッフが常駐しているため、食事、入浴、排せつなどの身体介護から、掃除や洗濯などの生活援助まで幅広くサポートしてくれます。

看護師も配置されており、健康管理や医療機関との連携体制も整っています。また、機能訓練指導員によるリハビリテーションなども提供している施設が多く、専門的なケアを受けられます。

介護保険が適用されるため、介護度に応じたサービスを1割〜3割の自己負担で利用できるのが大きなメリットです。 ただし、初期費用や月額利用料は比較的高額になる傾向があり、入居一時金は平均275万円、月額利用料は平均約23万円程度となっています。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスを提供する「住まい」としての側面が強い施設です。 食事の提供や生活相談、見守りなどの基本的なサービスは施設で提供されますが、介護サービスは外部の事業者を利用する形となります。

施設内では多彩なイベントやレクリエーション活動が開催されていることが多く、活動的な生活を送りたい方に適しています。自立した方から要介護者まで幅広く入居できるのが特徴です。

費用面では、入居一時金は平均約18万円と比較的低めですが、月額利用料は平均約14万円程度かかります。ただし、外部の介護サービスを利用する場合は別途費用がかかる点に注意が必要です。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームは、自立した高齢者を対象とした施設で、介護が必要になった場合は原則として退去する必要があります。ホテルのような快適な居住環境の中で、自由なライフスタイルを維持できる施設です。

食事の提供、清掃や洗濯などの家事サポート、セキュリティサービスなどが充実しており、自立した生活をサポートする体制が整っています。また、アクティブなシニアライフを楽しむためのレクリエーションや趣味活動なども盛んです。

費用面については、入居一時金と月額利用料は施設によって大きく異なりますが、サービスの内容やグレードに応じて高額になる傾向があります。ただし、介護サービスは含まれないため、その分は低く抑えられています。

ケアハウスと有料老人ホームの入居目的の違い

ケアハウスと有料老人ホームでは、想定されている入居者像や入居目的に違いがあります。それぞれの施設がどのような方に向いているのかを見ていきましょう。

ケアハウスは自宅での生活が難しい方を対象とした施設

ケアハウスは、自宅での生活が厳しくなった一方で、ある程度自立した生活を送りたい方を対象としている施設です。特に経済的な負担を抑えながら安心した住まいを確保したい方にとって、良い選択肢となるでしょう。

ケアハウスの「住まい」としての側面が強く、食事の提供や安否確認などの基本的な生活支援を受けながらも、プライバシーが確保された個室で自分らしい生活を続けられます。

また、低所得者向けの減額制度があるため、年金だけの収入でも入居できる可能性があるのも大きな特徴です。 ただし、介護サービスは基本的に含まれていないため、介護が必要になった場合は外部サービスを利用することになります。

有料老人ホームは心身の健康を保ちたい方を対象とした施設

有料老人ホームは、介護が必要となっても心身ともに健康で安心して暮らしていきたい人に向いている施設です。特に、充実したサービスやアクティビティを求める方にとって最適な環境が整っています。

介護型有料老人ホームでは、24時間の介護体制が整っているため、身体状況の変化にも柔軟に対応してもらえます。また、医療機関との連携体制も整っており、健康面での安心感も大きいでしょう。

住宅型や健康型の有料老人ホームでは、多彩なレクリエーションやイベント、趣味活動などを通じて、アクティブなシニアライフを楽しむことができます。社交的な方や新しい交流を求める方に適しています。

費用面では一般的にケアハウスよりも高額になる傾向がありますが、その分サービスの質や生活環境の快適さは高いレベルが期待できます。

ケアハウスと有料老人ホームの費用の違い

入居を検討する際に大きな判断材料となるのが費用です。ケアハウスと有料老人ホームでは、費用構造や金額に大きな違いがあります。

ケアハウスの平均費用

ケアハウスは公的な施設であるため、比較的費用が抑えられているのが特徴です。

初期費用
月額費用

ケアハウスでは所得に応じた減額制度があり、低所得者でも入居しやすい仕組みになっています。また、多くの施設では入居一時金が不要となる、あるいは少額で済むため、初期負担を抑えることができます。

月額利用料には、居室の家賃相当額、食費、管理費などが含まれています。ただし、介護サービスを外部から受ける場合は別途費用がかかります。

参考：ケアハウス（軽費老人ホーム）の費用・料金｜老人ホーム検索【さがしっくす】

有料老人ホームの平均費用

有料老人ホームは民間施設のため、サービス内容や施設のグレードによって費用に大きな幅があります。

初期費用
月額費用

有料老人ホームでは、初期費用として入居一時金が必要になるケースが多くあります。この金額は施設のグレードや立地、居室の広さなどによって大きく異なります。高級施設では数千万円に達することもあります。

月額利用料には、居室料（賃料相当額）、食費、管理費、水道光熱費などが含まれています。介護型の場合は基本的な介護サービス費も含まれていますが、介護度が上がると追加料金がかかる場合もあります。

ケアハウスと有料老人ホームの入居条件の違い

施設を選ぶ際には、入居条件も重要な検討ポイントです。ケアハウスと有料老人ホームでは、年齢や健康状態、経済状況などの入居条件に違いがあります。

ケアハウスの入居条件

ケアハウスは公的施設のため、一定の入居基準が設けられています。

一般型ケアハウス

一般型ケアハウスは、基本的に自立した生活が可能な高齢者を対象としています。入居条件は以下の通りです。

一般型ケアハウスでは、食事の提供や生活相談、緊急時の対応などの基本的なサービスが提供されます。介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用できます。

介護型ケアハウス

介護型ケアハウスは、介護が必要な高齢者を対象としています。入居条件は以下の通りです。

介護型ケアハウスでは、食事、入浴、排せつなどの日常生活上の介護サービスが提供されます。施設内で介護職員が24時間体制でケアを行うため、安心して生活することができます。

有料老人ホームの入居条件

有料老人ホームは民間施設のため、施設ごとに入居条件が異なりますが、一般的な基準は以下の通りです。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、介護が必要な高齢者を対象とし、特定施設入居者生活介護の指定を受けています。入居条件は以下の通りです。

介護付き有料老人ホームでは、施設のスタッフが直接介護サービスを提供します。介護保険が適用されるため、1割から3割の自己負担で介護サービスを受けることができます。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスは提供しますが、介護サービスは外部の事業者から受ける形態の施設です。入居条件は以下の通りです。

住宅型有料老人ホームでは、食事の提供や生活相談、見守りサービスなどが提供されます。介護が必要な場合は、外部の訪問介護サービスなどを利用することになります。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームは、自立した高齢者を対象とした施設で、介護が必要になった場合は退去することが前提です。入居条件は以下の通りです。

健康型有料老人ホームでは、食事の提供や生活相談、レクリエーション活動などのサービスが提供されますが、介護サービスは提供されません。アクティブなシニアライフを希望する方に適しています。

ケアハウスと有料老人ホームの提供サービスの違い

住み心地や生活の質に直結するのが、施設が提供するサービス内容です。ケアハウスと有料老人ホームでは、どのようなサービスが提供されているのか比較してみましょう。

ケアハウスの提供サービス

ケアハウスは、軽費老人ホームC型とも呼ばれ、低所得の高齢者でも入居しやすい公的な施設です。施設のタイプによって提供されるサービスが異なります。

一般型ケアハウスでは、主に以下のような生活支援サービスが提供されています。

自立した生活を送ることを前提としているため、介護サービスは含まれていません。介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用することになります。

介護型ケアハウスでは、一般型の生活支援サービスに加えて、以下のような介護サービスも提供しています。

介護保険制度を活用しているため、要介護認定を受けている方は、自己負担額を抑えてサービスを受けられます。

有料老人ホームの提供サービス

有料老人ホームは民間企業や社会福祉法人などが運営する施設で、タイプによってサービス内容が大きく異なります。

介護付き有料老人ホームでは、施設スタッフによる24時間体制の介護サービスが提供されています。

「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているため、介護保険が適用され、要介護度に応じたサービスを受けることができます。

住宅型有料老人ホームでは、介護サービスは外部事業者に依頼する形となりますが、生活を豊かにするための様々なサービスが充実しています。

比較的元気な高齢者が多く、アクティブなシニアライフを楽しむことができる環境が整っています。

健康型有料老人ホームは、自立した高齢者を対象としているため、介護サービスはありませんが、日常生活をより快適に過ごすための家事サポートが充実しています。

ホテルのような快適な生活環境の中で、自由なライフスタイルを維持できます。

ケアハウスと有料老人ホームのメリットとデメリット

最後に、それぞれの施設のメリットとデメリットを整理して、どの施設が自分の親に適しているのか判断する材料としましょう。

ケアハウスのメリットとデメリット

ケアハウスは公的な施設であるため、メリットとデメリットがはっきりしています。

ケアハウスの最大のメリットは、費用の安さにあります。

年金だけの生活でも入居できる施設が多く、経済的な負担を抑えながら安心して暮らせます。

一方で、ケアハウスには以下のようなデメリットもあります。

特に待機期間の長さは大きな課題で、急な住み替えが必要な場合には対応が難しいことがあります。

有料老人ホームのメリットとデメリット

民間施設である有料老人ホームは、多様な選択肢がある一方で費用面の負担が大きくなります。

有料老人ホームの最大のメリットは、多様な選択肢から自分に合った施設を選べることです。

特に近年は、趣味や嗜好に合わせた特色ある施設も増えており、自分らしい生活を続けることができるようになってきています。

一方で、有料老人ホームには以下のようなデメリットも存在します。

特に費用面では家族の経済的負担が大きく、長期的な資金計画が必要となります。

まとめ

ケアハウスと有料老人ホームは、それぞれ特徴や提供サービス、費用、入居条件などに大きな違いがあります。どちらの施設が最適かは、ご家族の状況や希望、経済状況によって異なります。

ケアハウスがおすすめな方
有料老人ホームがおすすめな方

施設選びでは、実際に見学して雰囲気を確かめることが大切です。また、契約内容や退去条件、将来的な費用の変動なども確認しておきましょう。何よりも大切なのは、親が安心して快適に過ごせる環境を選ぶことです。

親御さんの老後の住まいを選ぶことは決して簡単なことではありませんが、両施設の違いを正しく理解することで、最適な選択ができるはずです。ぜひ、この記事が施設選びの一助となれば幸いです。

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