介護のお役立ちコラム

【医師監修】時間・場所・人がわからなくなる。「見当識障害」が起こったらどうすればいい?|認知症のコラム

【医師監修】時間・場所・人がわからなくなる。「見当識障害」が起こったらどうすればいい?|認知症のコラム

更新日:2017.03.01

認知症が進行していき、時間や場所、人などの判断がつかなくなる「見当識障害」が発症すると、介護する側が想像もしていないようなことが起こることが増えていきます。 夏なのに厚着をしたり、食事をしたばかりなのに食事の準備を始めたり、外出したまま家に戻ることができなくなったり、人が誰か突然わからなくなることも......。 このような症状に対して家族がいくら説明しても改善されないことでイライラして怒ってしまったりした方もいるでしょう。そんなやっかいな見当識障害とどのようにして付き合っていけばいいのか、解説していきます。

それでは、胃ろうの仕組みや生活、介護を続けていく上での注意点などについて説明していきます。


【監修者】
木村 眞樹子医師

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医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。


見当識障害とは何か (時間・場所・人の見当識障害について)

pixta_18344431_M.jpg 見当識とは、現在の時刻、日付、場所、人物、周囲の状況などを総合的に判断して自分が今置かれている状況を理解する能力を意味し、これらの理解能力が欠如することを見当識障害と言います。 見当識障害は大きく次の3種類に分けられます。 認知症の種類によっても特徴があり、アルツハイマー型認知症の場合は、物忘れに続いて、見当識障害も起こしやすいです。また、レビー小体型認知症の場合は、物忘れよりも見当識障害が目立つことがあります。

時間の見当識障害

まず現れる見当識障害としては、時間感覚がわからなくなる症状が多く現れます。それも日付や時間を間違えるだけでなく、夏や冬などの季節や1日の朝・昼・夜の認識がわからなくなり、朝食をとったかどうかもあやふやになってしまうケースもあります。

場所の見当識障害

 場所の見当識障害として、「街並失認」と「道順障害」が見られます。街並失認とは建物や風景の識別ができなくなることで、外出すると家まで戻ってくることが困難になります。道順障害は、目的地を識別はできるものの、見慣れた道であってもどの方角に曲がればよいかなどわからなくなる症状です。

人の見当識障害

症状が進行し、過去の記憶が失われはじめると人間関係についての見当識障害がでてきます。自分の名前や生まれ育った場所に関する認識を失い、家族や友人などの人間関係のつながりもわからなくなってしまいます。完全にその人のことがわからないというわけではなく、見覚えがある顔だと思っていても、相手と自分がどんな関係なのか思い出せないのです。

見当識障害はどのようなトラブルにつながるか

pixta_15708822_M.jpg 見当識障害をわずらうと、生活に少しずつ支障をきたしてしまいます。 たとえば ・夏なのに暖房をつける、冬なのに冷房をつける ・夜中なのに朝だと思い、起きて新聞を取りに行く ・家の中で場所がわからなくなり、トイレやバスルームに行けなくなる ・外出すると自分の家に戻ることができない ・毎日会っている家族は認識できても、家族ではない親戚や友人が認識できない これらが悪化していくと、自分の状況が理解できなくなりコミュニケーションが困難になっていきます。自分が一体何者なのかわからないストレスで悩んでしまうことも少なくありません。見当識障害の方には、介護者の助けが必要になります。介護者の方が、そばにいて安心させてあげることが大切です。

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見当識障害が起こったときの3つの対処法

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季節感の喪失による体調不良に気をつかう

季節の感覚を感じにくくなっているので、介護者のほうでしっかりと服装の管理をして、暑い日の脱水症や寒い日の体の冷えに気をつけましょう。また、自然など季節を感じる景色を見せたり、日の光を積極的に浴びて昼夜がわかるようにしてあげることも大切です。

日付、時間、場所などの簡単な質問をしてみる

介護者の方がなにげなく「今日って何月何日だったっけ?」「今何時?」「今日、何時にどこへ行く予定だっけ?」のように簡単な質問をして答えるといった練習をしましょう。たとえ答えられなくても責めるようなことはせず、すぐに答えを教えてあげて脳で意識させることも大切です。また、頻繁に人に会って会話することで脳が活性化して見当識が少しずつ回復することもあります。

外に出て歩き、環境を変える

外出をして迷子になったら困るという理由で、じっと家にこもっていると脳への刺激が減り、さらに認知症の進行を早めてしまう場合があります。介助者の方と一緒に外に出て、散歩をすることで足の刺激が脳に良い効果をもたらし、見当識の回復をうながします。また、行く先々でいろいろな景色を見たり、風を感じたりすることで季節感を感じることもできるはずです。目を離さない程度に定期的に一緒に外に出て見守ってあげましょう。

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終わりに

見当識障害の方といると想像もしていないような行動をすることがあります。また、時には介助者の心を傷つけるようなことを言うかもしれません。しかしそんな状況で、介護者がイライラして怒鳴ってしまっても、何の意味もありません。できるだけ寛大な気持ちで相手に合わせて行動してあげるように意識しましょう。

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