介護のお役立ちコラム

認知症・介護をテーマにした映画10選! 〜改めて認知症と向き合うために〜|認知症のコラム

認知症・介護をテーマにした映画10選! 〜改めて認知症と向き合うために〜|認知症のコラム

更新日:2018.02.08

高齢化社会が進行する日本社会にとって、認知症や介護はどなたにとっても無関係ではいられないものになってきています。認知症や介護を社会全体の問題として捉える動きが増えてきていますが、そんな中でも、認知症・介護をテーマとした映画が数多くあるのはご存知でしょうか?

直接的に認知症・介護と関わっていない層への理解度を深める意義がある他、実際に介護を行っている方、両親やパートナーが認知症にかかった方への共感を得る、人間の尊厳の問題提起など多様なテーマを持っています。
今回は、認知症・介護をテーマにした映画を10本ピックアップして、ご紹介したいと思います

書籍が原作となった映画作品

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認知症をテーマにしたパイオニア的作品『恍惚の人』


高齢者の認知症や介護を扱う映画、本のパイオニアとして挙げることができるのが、『恍惚の人』(有吉佐和子著/新潮文庫)です。1972年に出版され、年間売上で194万部を記録して、ベストセラーとなりました。1973年に森繁久彌、高峰秀子、田村高廣をキャストに映画化され、大ヒット。その後、何度もテレビドラマ化されていますので、視聴された方もいらっしゃるのではないでしょうか。まだ「認知症」という言葉がない時代に描かれた物語は、高齢化社会を抱える現代だからこそ刺さります。

あらすじ
妻を亡くしてしまってから84歳の立花茂造(森繁久彌)は、認知症の症状が見られるようになり、息子(田村高廣)のこともわからなくなってしまう。息子の嫁である昭子(高峰秀子)は、苦しみながらも茂造の介護をするなかで、誰よりも茂造に対して、人間の尊厳と愛情を感じるようになっていきます。

切なくも笑える認知症の母と息子の物語


岡野雄一氏によるエッセイ漫画作品『ペコロスの母に会いに行く』(2012年/西日本新聞社)。認知症介護の苦労や辛さを、優しいタッチでユーモアと温かみを交えながら伝えてくれます。2013年に岩松 了、赤木春恵、原田貴和子、加瀬 亮、大和田健介、竹中直人ら豪華キャストで映画化され大ヒットを記録しました。また監督は当時85歳の森﨑 東氏だったことも大きな話題となりました。

〜あらすじ〜
主人公は、62歳の漫画家であるゆういち(ペコロス)。89歳の母みつえは、徐々に認知症の症状が顕著になり、グループホームを利用するようになります。徐々にゆういちのことも忘れ始めるみつえ。"ボケるのも悪いことばかりじゃない"というメッセージとともに、認知症の母とハゲた息子の切なくも笑える日常が描かれます。

若年性アルツハイマー病の妻を介護した4000日の記録



若年性アルツハイマー病となった妻を約12年間介護した様子を、約80首の短歌とともに綴った『八重子のハミング』(陽 信孝著/小学館文庫/2002年)。著者である陽 信孝氏自身も4度のガン宣告を受けた身でありながら、徐々に記憶を失くしていく妻の介護をしなくいけない環境は、現在の日本の介護問題の根の深さを改めて考えさせてくれます。

〜あらすじ〜
白髪の老人・石崎誠吾が語る若年性アルツハイマーを発症した妻・八重子を介護した12年間の物語。誠吾と八重子はともに教員であり、八重子は音楽教師でした。大好きだった歌を口ずさむと笑顔を見せる八重子ですが、少しずつ確実に記憶を失っていきます。誠吾はそんな八重子を介護していく過程で、その1日1日をかけがいのない思い出にしていくことを誓います。

真実に迫るドキュメンタリー映画

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介護の現実を伝える手法として、もっとも真に迫るものにドキュメンタリーがあります。過剰な演出や効果を入れずストレートに訴えかけるドキュメンタリーにはそのリアルさゆえに、介護の現実を知ることができます。

娘が認知症の母を撮りつづけた2年半の記録

関口祐加監督が、アルツハイマーにかかった母との暮らしを撮りつづけた2年半。2009年よりYouTube上で公開されたこの記録は、記憶を失うことで徐々に喜怒哀楽がはっきりし、楽しむ母や怒る母の姿をユーモアと愛情があふれています。YouTubeで話題となり映画化され、その後の母娘の姿は『毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスへ行く編』、『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』(2018年公開予定)と順次作品化。YouTubeでの公開もつづけられている現在進行系のドキュメンタリーです。

〜あらすじ〜
映画監督である関口祐加さんは、母に認知症の症状が現れ始めたため、29年間住んでいたオーストラリアから帰国します。2009年より母との日々をあくまでユーモアをたっぷりに記録。母が記憶を失っていく過程を通して、認知症介護と向き合う姿を収めています。『毎日がアルツハイマー2』では、関口監督は認知症ケアを学ぶためにイギリスへ。そして、『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』では、介護者として母の命を預かる責任の重さと向き合い、ハッピーエンディングを求める姿が描き出されます。

認知症介護に希望を与えるアメリカで行われた挑戦を描く

数々の映画賞を受賞・ノミネートされた2013年のアメリカ映画。いまだ根本的な治療法がない認知症に対し、本作を通して日本国内で1万人以上が実践している「学習療法」を通じて、認知症患者の症状が改善されていく様子は、多くの人に希望を与えるはずです。

〜あらすじ〜
平均年齢80歳以上、多くの認知症患者が暮らすアメリカ・オハイオ州の高齢者介護施設。スタッフのジョンはこの施設に毎日通い高齢者に接していきます。ジョンは「僕の名前を知っていますか?」と尋ねますが、返ってくる答えは「いいえ」ばかり。しかし、日本で生まれた認知症改善プログラム「学習療法」に取り組み始めると、徐々に反応に変化が生まれていきます。

愛する人が認知症になったら、あなたはどうしますか?

2014年の日本のドキュメンタリー映画。石本浩市さんとレビー小体型認知症を発症した妻・弥生さんとの介護の10年間を追った記録。精神的負担から浩市さんはうつ病となってしまいますが、家族や親戚、地域の人々の助けを借りながら、よりいっそう絆を深めていきます。誰にも起こりうる認知症介護。人間の尊厳、愛情とはなんなのか?深く突き刺さります。

〜あらすじ〜
医師である石本浩市さんは、妻の弥生さんが統合失調症と診断された3年後に若年性レビー小体型認知症となりました。浩市さんは医師ならではの観察眼で、弥生さんの日常を記録していきますが、精神的な負担も大きく本人もうつ病となってしまいます。決して綺麗事だけでは語れない認知症ケアの問題を、夫妻の日々から訴えかけます。

認知症介護から見えてきた新しい家族の形

介護を通して家族の絆や愛を取り戻す物語は、介護の在り方自体をみつめ直す機会になるかもしれません。様々な概念や倫理を失っていく母には、直接的に愛情を示したり、触れ合うことでしかこちらの感情を伝える術がありません。そういった愛情表現をすることで、息子も父も新たな家族の絆を育んでいきます。

〜あらすじ〜
ドイツのドキュメンタリー作家・ダーヴィッド・ジーヴェキングは、母であるグレーテルが認知症の介護のため、実家に戻ることに。記憶を失うことで、解き放たれたように奔放に振る舞う母と介護に疲れてしまった息子。そんな介護の日々から、家族は新たな愛の形を取り戻していきます。

日本だけではない!海外の認知症映画3本!

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ラブラブ老夫婦が老人ホームに入居したことで別れの危機が!?

2008年のカナダ映画で、第65回ゴールデングローブ賞主演女優賞など、数多くの映画賞を獲得した名作。40年以上連れ添った夫婦にも関わらず、いまだにみずみずしい関係を持っている2人がとてもいじらしく、老人ホーム内の恋愛も描かれるなど、ちょっと異なる視点で認知症を描いています。

〜あらすじ〜 40年以上連れ添った老夫婦であるグラントとフィオナ。妻であるフィオナは、認知症を発症し自ら介護施設に入居することを決心。その施設は入居当初の30日間は、誰とも面会できないという規則があり、30日後に訪問するとすでにフィオナはグラントのことを忘れてしまっていた。しかも、入居者のオーブリーという男性に好意を寄せ始めたフィオナ。2人はどのような結末を迎えるのでしょうか?

誰にも等しく訪れる"老い"の現実をアニメで描く

なかなか「自分ごと化」するのが難しい介護や認知症。無関心でいることはできませんが、正面から向き合うことも難しい問題をアニメーションの手法をとることで、温かくコミカルに描き出します。スペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞で「最優秀アニメーション賞」と「最優秀脚本賞」を受賞。

〜あらすじ〜
主人公である元銀行員のエミリオは、認知症の兆候がみられるようになり、養護老人ホームで暮らすようになります。施設で暮らすのは、それぞれ個性が強く、思い出を持つ老人たち。彼らは症状が進行し、完全に介護が必要な入居者が済む施設の「2階」に移動させられることを恐れています。ひょんなことから、自身がアルツハイマーで2階送りが近いと感じたエミリオはある行動に出ます。

夫婦の変わらない愛......感涙必至のラスト!

認知症を発症しても、恋をすることで心に大きな希望を持つことができというメッセージが込められた優しくも切ないラブストーリー。名優、マーティン・ランドーとエレン・バースティンが主演の豪華キャストとラストの感動は、変わらない夫婦の愛の深さを感じられ、認知症の問題も考えさせられます。

〜あらすじ〜
認知症を発症し、小さな町で1人で暮らすロバート。孤独で寂しい毎日を過ごしていたロバートは、ある日美しい女性・メアリーに出会ったことで、日々が一変していきます。周囲の協力もありながら、少しずつ愛を育んでいくロバートとメアリー。しかし、実はメアリーは......。

まとめ

高齢化社会が叫ばれる日本社会ですが、介護や認知症は世界各国の共通の問題でもあります。デリケートなトピックだからこそ目を背けがちですし、なかなか周りに相談できずに孤独を感じていらっしゃる人も多いかと思います。

そんなとき映画や本はあなたに寄り添ってくれるかもしれません。真正面から問題に切り込む作品から、できるだけ悲観的にならずにポジティブに描いた作品など実に多様で、同じ悩みや苦労、経験をしている人がいる、というのは大きな勇気を与えてくれます。また他の方がどのように問題に対処し、乗り越えていったのかを知ることで、現状の問題のヒントになるかもしれません。

気になる作品がありましたら、ぜひ作品を視聴してみてくだい。

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