介護のお役立ちコラム

【医師監修】息が苦しいのはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)? 代表的な症状や原因などを解説|介護のコラム

【医師監修】息が苦しいのはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)? 代表的な症状や原因などを解説|介護のコラム

更新日:2019.09.18

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親が高齢になると、急にせき込んだり、たんを頻繁に吐くようになったりと体調の変化に気付く人も多いことかと思います。このような状態の場合、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」を患っている可能性があります。慢性閉塞性肺疾患は、病院に行かず長期間放置しておくと死に直結する病気となりうるため、早めの対処が必要です。


【監修者】
伊藤メディカルクリニック院長 伊藤 幹彦医師

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東京医科大学卒業後、東京医科大学第2外科(心臓血管外科)入局。東京医科大学八王子医療センター心臓血管外科や東京警察病院外科医長などを経歴し、現在は伊藤メディカルクリニックの院長を務める。これまでの術者としての経験をもとに、全身管理の大切さをモットーとし、健康維持への貢献を目指している。


呼吸困難から死に至る可能性もあるCOPD

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慢性閉塞性肺疾患(通称:COPD)とは、気管支や肺に何らかの障害が発生し、呼吸が困難になる生活習慣病の一つです。病気としては、以前は「慢性気管支炎」と「肺気腫」に分類されていましたが、現在は一つの病気の総称としてCOPDと呼ばれるようになりました。

気管に炎症が発生した場合、気管の壁が厚く腫れ上がり酸素の通り道を塞いでしまうため呼吸が苦しくなります。同時にたんの分泌量も増えるので、せきの回数も増え、ますます体への負担は大きくなるのです。

また、肺の中には肺胞と呼ばれる空気の袋が存在し、無数の肺胞壁によって肺が構成されています。この肺胞がいったん破壊されてしまうと、肺自体が持つ弾力性と伸縮性が失われてしまい呼吸困難を引き起こしてしまうのです。一度壊れた肺胞は再生しないため、呼吸の苦しさはずっと続くことになります。

2001年に発表された、学識者らによる大規模な疫学研究「NICEスタディ」の報告によれば、日本では40歳以上でCOPDに罹患している人は530万人いると報告されています。

厚生労働省が発表する日本人の死因の順位では、男性の場合第8位(1万5266人・2017年調査)にランクインしており、極めて危険性の高い病気と言えます。しかし、同省が発表したCOPDの患者数は24万人と、NICEスタディで発表された数字を大きく下回るのです。これはCOPDを発症しているにもかかわらず、病院に行かなかった人の多さを指すものであり、実際にCOPDで亡くなった人はさらに多いことが予想されます。

男性喫煙者に多く発症するCOPD

COPDを発症する最大の要因。それはずばり喫煙で、喫煙者全体の15~20%がCOPDを発症すると考えられています。また、死因のランキングで男性のみが10位以内に入っていることからも、比較的喫煙者の多い男性に多く見られる病気だとわかります。

タバコの煙を吸入すると気管支に炎症が起き、空気の流れが低下します。また、煙が肺に入り肺胞が破壊された状態(肺気腫)になると、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能も低下してしまうのです。

高齢になるほど発症率も高くなります。NICEスタディの報告によると、70歳以上の高齢者の有病率は17.4%で、40~49歳がわずか3.1%であることから、高齢者のいる世帯では特に注意しなくてはなりません。

COPDの治療法

COPDの治療には気管支拡張薬(抗コリン薬、β2刺激薬など)が用いられます。ぜんそくの治療と同様に、吸入器を使い空気として吸い込む治療が一般的です。重度の炎症が見られる場合にはステロイド剤を用いることもあります。この場合、吐き気や悪心などの副作用も考えられるため、医師の適切な処置が必要です。

一方で、薬に頼らない治療法もあります。一般的に「呼吸リハビリテーション」と呼ばれており、鼻から息を吸い、時間をかけてゆっくり息を吐き出す「口すぼめ呼吸」や、寝そべった状態で腹筋を意識しながら呼吸する「腹式呼吸」などがあります。

それでも酸素不足に陥ってしまう場合、酸素ボンベを用いた酸素療法を実践します。これは器材さえそろえば在宅でも可能な処置のため、頻繁に通院する必要もありません。

老人ホームに入居する際の注意点

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このように在宅酸素療法が可能なことから、有料老人ホームなどでもCOPD患者の受け入れが可能な施設もあります。酸素ボンベの取り扱いは医療行為に該当するため、医師か看護師が常駐しているホームに限定されます。

酸素ボンベの配達・回収は入居者が契約した業者がおこないます。酸素ボンベはかさばる上に重量もあり、引火の危険性もあるため取り扱いには注意が必要です。そのためボンベの持ちこみ本数に制限があったり、設置・使用できる場所が制限されたりする場合もあります。

また、入居者に認知症が見られる場合、酸素ボンベの管を勝手に抜いてしまうなど予期せぬことが起こる可能性があります。こういった場合、医師の診断書の内容確認や本人・家族との面談を経た後でも、最終的に入居を断られてしまうケースもあるため留意しておいてください。

老人ホーム探しのポータルサイトや事業者のパンフレット、ホームぺージからも在宅酸素医療の受け入れ可否を調べられるため、入居を考えている方はあらかじめ目星を付けておきましょう。どうしても不明点がある場合、電話やメールなどで相談することをお勧めします。

家族一丸となって高齢者の禁煙のサポートを

重度のCOPDになった場合、酸素ボンベが不可欠になり行動できる時間や範囲が限られるなど毎日の生活に大きな支障をきたします。いくつかの対症療法はあるものの、基本的に完治が難しい病気です。そのため、呼吸が苦しいと感じた場合、禁煙を徹底して少しでも病状の進行を遅らせる努力が必要となります。

現在、ニコチン成分を含んだガムやパッチなど禁煙を手助けするアイテムがそろっています。こういった物を活用しながら、家族一丸で高齢者の禁煙をサポートしてあげてください。

禁煙外来など、今はニコチンなど含まない薬で治療することが多く、保険で禁煙もできるので上手に活用するようにしましょう。ただし、1回失敗すると1年は再度治療ができないのでしっかりと継続加療する事が基本です。

 

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