介護のお役立ちコラム

ユニットケアとは?尊厳のある個別ケアの実現|老人ホームのコラム

ユニットケアとは?尊厳のある個別ケアの実現|老人ホームのコラム

更新日:2016.12.14

【最終更新日:2019年2月8日】

病院のような部屋で一日中ベッドに寝かされ、流れ作業の介護処置......。そんなイメージから、「老人ホーム」という言葉に、ネガティブな印象を持つ人も少なからずいるでしょう。

しかし、そのイメージは徐々に払拭されつつあります。高齢者一人ひとりに画一的なケアではなく、「尊厳のある個別ケア」を目指す「ユニットケア」の推進が図られています。従来の多床型(相部屋タイプの居室)の施設とは一線を画すこの「ユニットケア」とは一体どのようなものなのでしょうか?

ユニットケアとは?

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ユニットケアとは、一人ひとりの生活リズムやライフスタイルに合わせたサービスを提供していくケアの手法を指します。つまり効率を優先した集団ケアから個別ケアへ。このユニットケアの考え方は、福祉先進国である欧州諸国が始めたものですが、日本でも2002年度より政府がユニットケアをおこなう特別養護老人ホームに対して補助金を支給するなどして、その拡大が進められてきました。ユニットケアを実現するには、ハードとソフトの両面からの整備が必要となります。

●ハード......個性や生活のリズムを保つための個室と、ほかの利用者や地域との関係を築くためのリビングやパブリックスペース

●ユニットごとに配置された職員による、利用者一人ひとりによる個性や生活のリズムに沿ったケアの提供

高齢者それぞれに個室で居住し、10人以下の少人数で1つのユニット単位を構成。介護や生活援助をするスタッフもユニット単位で配置されるため、入所者の動向や体調の変化に敏感に気づきやすくなります。このような施設の在り方をユニットケア型といい、従来型の多床室と明確な違いがあります。

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単純に個室にするだけではなく、供用スペースを設けることで、交流が生まれやすくなります。居住空間は個室のため、一人でリラックスできる時間を確保できるうえ、脱着衣、おむつの交換なども他の入所者の視線を気にせずおこなうことができます。

厚生労働省のデータによると、ユニットケア型の施設だとベッド上の滞在率が67.7%から40.2%まで下がったというデータがあります。つまりユニットケア型だと、高齢者に起こりがちな運動不足や寝たきりや認知症を改善できる効果もあります。

ユニットケアのメリット・デメリット

では、より具体的にユニットケアのメリットとデメリットを紹介します。

【ユニットケアのメリット】
●個室であるため一人ひとりの状況に合わせた個別ケアが実現できる

●リビングや供用スペースがあるため、他の入居者とコミュニケーションが取れる

●個室のためプライベートを確保できる

●感染症など、施設内での感染リスクを低減できる

【ユニットケアのデメリット】
●従来型と比較して費用が高くなる

●人によっては孤立を感じることがある

ユニットケアはメリットを大きく期待できることがわかります。しかし、施設入居を検討している方が懸念されるのは、費用ではないでしょうか。利用額の差は、利用者負担段階の1〜4によって異なります。



ユニットケア型と従来型(多床室)の利用者負担
ユニットケア型個室 従来型(多床室)
第1段階 約4.9万円 約2.4万円
第2段階 約5.2万円 約3.8万円
第3段階 約8.4万円 約5.5万円
第4段階 約12.8万円 約9.2万円

<厚生労働省「介護老人保健施設」より表を作成>

グループケアとユニットケアの違い

ユニットケアに近いものとして、グループケアというものがあります。どちらも少人数グループに分かれ、グループ単位で生活するスタイルですが、グループケアがユニットケアと異なるのは、グループケアのほうが建物の構造・設備に関わらず、グループ分けして介護サービスを行う点です。

また、グループケアのメリットは、比較的入居しやすいという点です。さらに、ユニットケアと比べて入居費用が抑えられる点も魅力と言えます。反対にデメリットは、それぞれの入居者に個室があるわけではないので、プライバシー的に守られていないという点が挙げられます。

ユニットケアの浸透に向けた、これからの課題点

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ユニットケアは国を挙げて推進されています。実現に向けた課題点も多くあります。 まず、従来の特別養護老人ホームがユニットケアに移行する場合、間取りや設備を改修する必要があります。場合によってはリフォームでは不可能で、建て替えが求められるケースも。そのため、なかなか普及には至っていないのが現状です。

また、複数人で住居費用や光熱費を割っていた多床室と比べ、それらの費用が個室になることで割高になるため、月々の出費も多くなります。収入や年金の受給額によって一部減免措置はあるものの、これら諸費用は介護保険の適用範囲外のため、家族にとっては大きな負担になりかねません。

さらに、担当する介護職員に対しても、顔なじみのスタッフによる、少人数ならではの手厚いケアが望める傾向にありますが、職員が限定されることによって、逆にローテーション勤務がうまく回らなくなるケースや、経験の浅い職員がユニットリーダーに就いた場合に介護の質の低下を招く恐れもあります。

ユニットケアは、今後さらなる普及が求められる

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全国の特別養護老人ホームのうち、ユニットケアを導入している施設は、全体の3割程度と言われています。施設改修にかかる費用が大きなネックとなっているようです。 しかし、自宅と遜色ない暮らしの実現のために、国が主導してのインフラ整備補助や人材教育は着実に進んでいます。人が人としての尊厳を保つためのユニットケアがさらなる拡大されていくことを期待したいですね。

参考文献

個室が特徴!ユニットケアとは?従来型とのちがいやメリット・デメリット _ 介護のお仕事研究所
ユニットケアについて(一般社団法人ユニットケア推進センター)
ユニットケアについて(厚生労働省)
ユニットケアに係る研修のあり方に関する研究(三菱総研)
 

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