介護のお役立ちコラム

消費税アップでも老人ホームでの食費は軽減税率の対象に。 法改正に対する事業者側の反応は?|老人ホームのコラム

消費税アップでも老人ホームでの食費は軽減税率の対象に。 法改正に対する事業者側の反応は?|老人ホームのコラム

更新日:2019.06.19

消費税アップでも老人ホームでの食費は軽減税率の対象

ご存知のとおり2019年10月に消費税が10%に引き上げられる予定です。それに合わせ住宅やマイカーなどを増税前に購入しようとするいわゆる"駆け込み買い"が予想されますが、実は食費や光熱費などの支出の方が高額商品の購入よりも負担は大きいと言われています。こういった日常的な支出は一度に支払う金額は微々たるものですが、未来永劫払い続けなければならず、積み重なると膨大な額になるのです。

消費税の増税は有料老人ホームの日常生活費にも適用されますが、このうち「食費」については、一定の条件で据え置き8%のままになる予定となっています。ということで、今回は10月増税後の介護業界における料金体系がテーマです。

低所得者救済のための「軽減税率」

低所得者救済のための「軽減税率」

消費税が10%に引き上げられた後も、一部の生活必需品やサービス料金は消費税が据え置き8%のままになります。これは軽減税率制度と呼ばれるもので、増税後、おもに低所得者の暮らしを圧迫しないように定められる経過措置になります。

生きるために最低限必要な商品の購入やサービスを受ける際に軽減税率は適用されますが、今回の増税では、米、野菜、精肉、鮮魚、ミネラルウォーター、乳製品といった食料品購入や、出前、テイクアウトといった自宅で食べる外食については軽減税率の対象となります。また食品以外では、新聞の定期購読(ただし、週2回以上発行されているもの)も対象です。

一方で対象外となるのは、アルコール類、水道料金、レストランや屋台での食事など自宅外で食べる外食などです。新聞についても、コンビニエンスストアや駅の売店で売られているものと電子版は対象外になります。

経過措置のため、いずれはすべての商品やサービスの消費税が均一10%になるものと見られますが、今のところ軽減税率の期間は国税庁から発表されておらず、当面は8%と10%が混在することになります。一般的な食料品の消費税が維持されることは私たちにとって朗報かもしれませんが、家計簿をつけている家庭では計算が面倒に感じるかもしれません。

有料老人ホームで適用される軽減税率について

有料老人ホームで適用される軽減税率について

冒頭で述べたとおり、有料老人ホームの食費についても軽減税率の対象になり、消費税は8%のままです。出費を少しでも抑えたいと考えている家族にはありがたい措置となるでしょうが、適用には以下の条件があります。

①1食の食事代が640円以下であること
②1日3食の食事代の合計が1920円以下であること

1回の食事代が640円をオーバーした場合、その食事分にかかる消費税は10%になってしまいます。また1食を640円以内に収めたとしても、おやつや軽食もカウントされるためトータルでの費用が1920円/日を超えた時点で10%課税になってしまいます。

食費の設定については事業者ごとで異なるため、グレードの高い食事を売りにしているホームでは軽減税率が適用されない可能性は高くなります。また入居者によっては、特に栄養指導を受けておらず間食が好きな人もいるため、1日の食費に差異が出てくる可能性もあるのです。食事を提供する介護士が毎回厳密に管理できるかどうかも難しく、請求の際に用いる会計ソフトも2つの税率に対応したものにアップグレードする必要が出てくるなど、現場が混乱してしまうリスクも大いに考えられます。

軽減税率について、事業者サイドの反応は?

軽減税率について、事業者サイドの反応は?

国が定めた軽減税率のルールについて、有料老人ホームを運営する事業者はどのような対応で臨むのでしょうか?

「軽減税率の適用については、実施が数カ月先ということもあり、当社ではまだ検討している段階です」(有料老人ホームA・広報)

「本社から特に連絡を受けておらず、明確な回答はできません」(有料老人ホームB・施設長)

今年10月の開始ということもあり、いまだ検討中である事業者も多いようです。しかし、「食事の内容によって税率が変動するというのは理解しがたい。恐らく(8%または10%)どちらかの税率で固定されるのではないでしょうか?」(前出B・施設長)との声もあります。

「初めから(基準額である)1920円を超えるのか、それ以下に抑えるのか決め打ちしておくのではないでしょうか? 食事の内容には個人差があるものの、高齢者の食べる量は特別養護老人ホームでも有料老人ホームでもさほど変わらないはず」(特別養護老人ホームC・生活相談員)

事業者側の声を聞くかぎり未確定の部分は多いものの、やはり管理の面から2つの税率を導入することはあまり望ましいものではないようです。食事の内容や料金を見直した上で、どちらかの税率に固定される可能性も高そうです。

その場合、毎月の請求額が変わることが考えられます。今年10月の施行に合わせて、軽減税率の導入方法や料金体系の見直しがおこなわれるはずなので、事前に施設側に確認しておくことをお勧めします。

きちんと事業者側に確認を

医療や介護サービスの費用については完全に非課税のため、今回の消費税アップによって、毎月の負担が急増するような心配はありません。しかし、食費については増税となる可能性があり、仕組みも複雑になるため毎月の請求内容に混乱を覚えるかもしれません。食事は毎日を健康で元気に過ごすために必要な源泉です。もし、レセプトの内容に不明点があれば、きちんと事業者側に確認するようにしてみてください。

■参考記事
介護現場でも令和IT対応、10月には消費税法改正も | 日経 xTECH(クロステック)
医療をめぐる控除対象外消費税問題 | 社団法人日本医師会
【図解】軽減税率って何?いつから?対象品目は?わかりやすく解説 | Intage 知る Gallery
控除対象外消費税の仕組みと増税時の対応を巡る動き | 札医通信

 

コロナ禍でも
面会できる施設特集

コロナ禍でも面会ができる施設特集

老人ホーム・高齢者住宅
運営事業者の方へ

施設の情報を掲載しませんか?

老人ホーム検索サイト「さがしっくす」では、事業者様のご入居募集のニーズに合わせて、2つのご掲載プランからお選びいただけます。

コラムカテゴリ一覧

コロナ禍でも
面会できる施設特集

コロナ禍でも面会ができる施設特集

コラムカテゴリ一覧

ページトップ