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認知症高齢者の徘徊リスクと家族の対処法|認知症のコラム

認知症高齢者の徘徊リスクと家族の対処法|認知症のコラム

更新日:2020.12.01

認知症高齢者は症状が進むと、ときに家族が想像もつかないような行動をとるようになります。そのなかで最も家族を悩ませ、社会問題の一つになっているのが、"徘徊"です。

今回は、徘徊によって起こりうる危険やリスクについてご説明するとともに、これから社会全体でどう認知症高齢者と向き合っていくべきか考えていきましょう。

徘徊は認知症の周辺症状

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中核症状と周辺症状の違い

認知症高齢者に現れる症状は大きく分けて2つあります。もの忘れ、判断力低下、感情の起伏の変化などの「中核症状」と、幻覚・幻聴、不潔行為(便をいじる)、暴力といった「周辺症状」(BPSD)です。

中核症状は高齢者ならば誰にでも現れる可能性のあるもので、いわゆる加齢に伴うあらゆる機能の低下によって起こります。

一方で、周辺症状は、本人の性格、生まれ育った環境、かつて就いていた職業などによって変わるもので、現れる症状は人によって大きく異なります。"徘徊"は周辺症状に該当するため、認知症になったからといってすべての人が徘徊するようになるわけではありません。

徘徊の原因は?

認知症高齢者が徘徊をする理由ははっきりとはわかっていません。一説には若いころの外出経験が大きく左右しているとも言われています。

たとえば男性ならば平日の通勤、女性ならば商店街への買い物や主婦同士のお茶会などその人のライフスタイルや過去の習慣がどこか脳裏に浮かんでくるのでしょう。何かのタイミングでこういった外出時の記憶がよみがえり、徘徊をさせているのかもしれません。

また、これまで一人暮らしをしていた認知症高齢者を引き取った場合、急な生活環境の変化に不安を覚え、住み慣れた場所へ戻ろうとして家を飛び出した例が多く報告されています。しかし本人は行き先もわからず飛び出し、帰ろうにも自宅の場所や連絡先も思い出せないことから、多くの高齢者が行方不明となっています。このことが、徘徊が抱える大きな問題でもあるのです。

実例から考える認知症高齢者との向き合い方

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行方不明になった認知症高齢者が重大な事件や事故に巻き込まれてしまう可能性は大いに考えられます。認知症高齢者本人だけでなく、その家族が負わなければならない責任やリスクについて、実例を交えて触れてみましょう。

2016年3月、2007年に愛知県で認知症の高齢男性(当時91歳)が列車にはねられ死亡した事故をめぐり、JR東海は振替輸送などの多額の費用が発生したことで男性の家族へ損害賠償を求めた裁判が行われました。最高裁は家族(妻と息子)の監督責任を認めず、原告であるJR東海は敗訴。この裁判は一審と二審では家族の監督責任を認め賠償命令を下していただけに、最高裁での判決は世間の注目を集めました。

最高裁での判決内容は、男性と同居していた妻に一定の監督責任はあるとしたものの、事故当時、妻は85歳と高齢だったこと、息子は遠方に住んでいて常時の監督が難しかったことなどから事故を防ぐのは困難だったとして逆転勝訴となりました。

もしこの判決で遺族が敗訴となったら、高齢の家族に多額の賠償金がのしかかり、老後のための蓄財が一気に消える可能性がありました。またこの事故で被害者は亡くなりましたが、もし大きな後遺症を残しつつ命を取りとめた場合、そのあとの医療や介護に費やされる費用、労力も膨大なものになり、ますます家族の生活を疲弊させてしまったことでしょう。

最終的に認知症家族が勝訴となったのは明るいニュースのように見えるかもしれませんが、認知症高齢者が事故を起こしたときの責任の所在、そして損害が発生した場合の負担をどう分配するのかなど、多くのことがうやむやになったままで、本質的な問題の解決には至っていません。

今後増え続ける高齢者が安心して暮らせる世の中にするために、家族や社会、地域インフラなどがどのように認知症高齢者と関わり機能していくべきか、真剣に考えなくてはいけない現実を突きつけられた判例となりました。

徘徊のリスクを防ぐために家族ができること

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家族介護の場合、24時間認知症高齢者を見守るのは現実的に厳しいものです。そこで徘徊を防ぐためのアイデア、万が一行方不明になってしまったときの対処法についてご紹介します。

徘徊センサー・離床センサーの活用

「徘徊センサー」は主に玄関や部屋の入口に設置し、人がセンサーの前を通ると赤外線で感知して警報する固定タイプと、本人が子機を所持し、一定のエリア外に出てしまうとアラームで知らせてくれる携帯タイプがあります。比較的低価格で、家電量販店などでも購入できます。

介護施設などでは、監視カメラやセンサーによる遠隔感知システムといった大がかりな設備を導入しているところもありますが、現在では家庭向けにも「離床センサー」の普及が進んでいます。

これは玄関マットのように床へ敷くタイプのもので、マット表面に加重がかかることでセンサーが知らせてくれるシステムです。 この離床センサーをベッドの足元に置けば、歩行しようと床に足を着いたタイミングを即座につかむことができます。介護保険の適用が効く「福祉用具レンタル」の品目にも加えられていることもあり、有効活用したいところです。

名札を携帯させておく

また、徘徊は未然に防ぐのが一番ですが、それでも家から出て行ってしまった場合に備えて、住所、連絡先と名前を記した名札などを本人に携帯してもらいましょう。

本人が普段持ち歩くポシェットに入れたり、首からお守りのようにぶら下げるのもよいですが、途中で落としたり失くしたりする可能性もあるため、衣服や下着に縫いつけておいた方がより確実です。

地域全体で認知症に対する理解を深める活動を

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そのほかに、地域の取り組みとして、いま全国で「認知症サポーター」という取り組みが活発になっています。認知症高齢者に見られる特徴や行動パターンなど、認知症を理解するための講習を受講した人がサポーターに認定されます。

名称はその市区町村によって異なりますが、一人で辺りを徘徊している高齢者に声をかけ行方不明を防止したり、ポストに郵便物や新聞が溜まっていないかを見て安否確認をするなど、ちょっとした「声かけ」が活動のベースとなっています。

桜美林大学老年学総合研究所の調査によると、行方不明の高齢者が当日中に発見された場合その生存率は80%以上で、日が経つごとに生存率は下がり続け、翌日で約60%、3日から4日で約20%、5日目以降だと0%になると報告されています。

認知症サポーターのように地域ぐるみで活動の輪を広げてサポーター同士がネットワークを築くことで、徘徊高齢者を迅速かつ確実に家族のもとへ届ける仕組みができるのです。

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地域ぐるみで認知症高齢者の見守りを

高齢化社会の一途をたどる日本では、もはや家族だけで認知症高齢者を見守るには限界があります。今後はより地域社会全体で徘徊を未然に防ぐ取り組みが求められていくでしょう。 そのうえで家族に求められるのは、協力してもらえるよう、地域住民に理解を求めること。何かあったら捜索に協力を仰げるような良好な関係が築けることが望ましいです。

 

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