介護のお役立ちコラム

【医師監修】スマホ認知症とは? 症状と対策を解説|認知症のコラム

【医師監修】スマホ認知症とは? 症状と対策を解説|認知症のコラム

更新日:2019.10.09

スマホ認知症とは

今や子どもから高齢者まで幅広い世代で必須アイテムとして普及しているスマートフォン。いつでも、どこでも気軽に調べものができて、ゲームや動画視聴、友人とのチャットなどその活用方法に限りはありません。しかし、こういったIT機器への過度な依存は脳に悪影響を与え、確実に私たちの健康をむしばんでいるのです。今回は、まさに現代病とも言えるスマートフォン依存の実態と改善策について触れてみたいと思います。


【監修者】
木村 眞樹子医師

re_faca267cb03c2f432100e18db537d2f21a481238.jpg

医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。


大人から子どもまで、脳に悪影響を与え続けるスマートフォンの危険性

スマートフォンの危険性

スマホ認知症はデジタル認知症ともいい、IT機器の長時間にわたる使用によって脳機能が低下し、人の名前が出てこなかったり、物事を思い出したりすることが難しくなる状態を指します。

寝食を忘れてインターネットにのめり込んだり,インターネットへの 接続が止められないと感じられたりなど、インターネットに精神的に依存した状態をスマートフォン依存といいますが、スマホ依存に陥るとスマホをいじる時間が長くなることからスマホ認知症のリスクといえるでしょう。

このように、スマートフォンの依存に陥った状態のひとが訴えるもの忘れが激しくなる症状を脳神経外科医でおくむらメモリークリニックの奥村歩院長は「スマホ認知症」と名付けました。同院が開設する「もの忘れ外来」に訪れる高齢者に混じって、近年は比較的若い層の患者が目立つようになり、患者の多くは日々の仕事の中で常にスマートフォンを携帯し、メールの処理やプレスリリースのチェック、インターネットサイトでの情報収集に余念がない働き盛りの世代であるようです。

スマートフォンの使用時間が長いほど脳は疲労していき、記憶する、思い出す機能が弱まっていきます。その結果、取引先の名前を思い出せない、大事な会議があるのをすっかり忘れてしまったといったミスが頻発しているようです。事実、文部科学省の研究調査によると、スマートフォンの1日の使用時間が長い児童は、学習時間が同じでありながらスマートフォンの使用時間が短い児童に比べ学習成績が悪いと報告されています。

さらに、スマートフォンの画面の光(ブルーライト)も人体に悪影響を与えます。就寝前にブルーライトを多量に浴びるとメラトニンと呼ばれる睡眠ホルモンの分泌量が落ちるため、寝つきが悪くなったり、夜中頻繁に目が覚めたりと睡眠不足の原因になるのです。その結果、起きている時間帯の情報処理能力が落ちてくるので、ますますもの忘れがひどくなるという負のスパイラルに陥ってしまうのです。

IT機器にハマる高齢者が増えている現実

子どもや働き盛りの若い世代だけでなく、高齢者がスマホ認知症になるリスクも考えられます。操作を覚えるのが億劫という理由から、IT機器はなかなか高齢者に浸透しにくいアイテムかもしれません。しかし、文字が大きく表示されるなど操作性を重視したスマートフォンも登場しており、一度操作を覚えてしまえば「こんなに便利で面白いものがあるのか」と、若者以上にハマってしまう高齢者も少なくないのです。

近くに身寄りがなく近所付き合いも薄い独居高齢者の場合、誰からも干渉されることなく好きなだけスマートフォンを使うことができるため、スマホ認知症になる可能性が高くなるのです。このままエスカレートすれば、やがて外出を控えるようになり、食事の支度や部屋の掃除などを後回しにするなど、体力の低下や生活環境の悪化を招く要因になることは明白です。

日々の生活で実践したい、スマホ認知症の対策

それではスマホ認知症から脱却するためにはどのようなことをすればよいのでしょうか?

しっかりと休息時間を設ける

スマートフォンの使用は脳や目に疲労を残します。そのためデジタル機器に触れない時間を作り、しっかりと目や体を休めましょう。

スマホを使わない、マイルールを決める

トイレにいる時間、就寝の1時間前といった具合にスマートフォンに触らない時間を作りましょう。歩行中や自転車の運転中にスマートフォンをいじるのは、もってのほかです。

すぐに検索するのを控える

パソコンの普及によって調べものの際にインターネット検索に頼ることが、もはや当たり前になってきましたが、何でもすぐに検索することは控えましょう。例えば、わからない言葉があったら、紙の辞書を使って調べることや、旅先で道に迷ったときは周囲の人に声をかけて聞いてみるなど、スマートフォンに頼らない方法はほかにもあるはずです。

人間には視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感が備わっています。スマートフォンを使う場合、ほぼ視覚だけで情報を取り入れてしまうため、疲労が溜まりやすくなるのです。普段の生活の中で、視覚を含めた五感をバランスよくフルに活用できるよう心がけたいところです。

デジタルデトックスとは?

デジタルデトックスとは

そんなスマホ認知症対策の一つに「デジタルデトックス」があります。デジタルデトックスとは、スマートフォンなどの機器に一定期間接触することを避けてストレスを軽減する取り組みを指します。また、この間に誰かと会話したり自然と触れ合ったりすることで、従来の日常生活の中で忘れかけていた五感を取り戻す訓練を無理なく行うのです。

全国各地の旅館やホテルでは、宿泊客にデジタルデトックスを体験してもらう宿泊プランを展開しています。チェックイン時にフロントで携帯電話やデジタルカメラを預けます。IT機器に触れることなく、大自然に囲まれた環境でゆっくりと流れる時間を過ごす。実際に宿泊した人からは「日々の疲れが取れた」と高い評価を得ています。

まずはスマホの使用時間を減らすこと

「認知症」と名が付いているものの、スマホ認知症はあくまでも一時的な記憶障害のため、日々の生活の中で脳を休めることを心がければスマホ認知症は脱却できます。そのためには、まずはスマートフォンの使用時間を減らすこと。最初は不便に感じるかもしれませんが、自ら使用時間を決めて使うなど工夫してみてください。また、高齢者家族と離れて暮らしているという人は、定期的に電話をかけるようにして、会話を通じて生のコミュニケーションを図るのが良いでしょう。

■参考文献
「スマホ認知症」知的職業経験者が危ないワケ (1_5) 〈週刊朝日〉|AERA dot.
夏休みには注意!「スマホ認知症」使い過ぎで脳はゴミ屋敷状態_J-CASTテレビウォッチ
働き盛り世代を襲う「スマホ認知症」の恐怖 _ デイリー新潮
「すぐに検索」やめてみる、「ナビ」になるべく頼らない...スマホ認知症を防ぐ10の心得_デイリー新潮
デジタルデトックスとは? _ DIGITAL DETOX JAPAN
デジタルデトックスができる宿

全国の認知症ケア充実の施設特集はこちら

全国の有料老人ホームを探す

 

コロナ禍でも
面会できる施設特集

コロナ禍でも面会ができる施設特集

老人ホーム・高齢者住宅
運営事業者の方へ

施設の情報を掲載しませんか?

老人ホーム検索サイト「さがしっくす」では、事業者様のご入居募集のニーズに合わせて、2つのご掲載プランからお選びいただけます。

コラムカテゴリ一覧

コロナ禍でも
面会できる施設特集

コロナ禍でも面会ができる施設特集

コラムカテゴリ一覧

ページトップ