介護のお役立ちコラム

「認知症ケア専門士」の資格取得方法とメリット|認知症のコラム

「認知症ケア専門士」の資格取得方法とメリット|認知症のコラム

更新日:2021.01.06

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介護関連の資格は実にたくさん存在します。国家資格である「介護福祉士」は多くの人が目指すところだと思いますが、民間資格でも就職や転職に有利に働くものがあります。今回取り上げる「認知症ケア専門士」もその一つ。増加の一途をたどる認知症高齢者の介護に必要な知識や心構えは何か? 資格の概要とともに触れていきたいと思います。

認知症対応のプロフェッショナルを目指す「認知症ケア専門士」

「認知症ケア専門士」は一般社団法人日本認知症ケア学会が主催する民間資格で、増え続ける認知症高齢者に対するケアの充実を目的に2005年に創設されました。認知症ケア専門士について、同学会は「認知症ケアに対する優れた学識と高度の技術、および倫理観を備えた専門技術士を養成し、わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献する」ことを目的とした資格と定義しています。

ご存じのとおり認知症という病気は、これまでに経てきた経験や境遇、その人自身の価値観によって表れる症状は千差万別です。思い出せる(思い出せない)記憶、行動や言動の変化、病気の進行具合なども一定でないため、認知症高齢者と関わる上で100%正解のマニュアルや対応策などは存在しません。それだけに、認知症に対する基本知識と、日々生活を共にしてきたことによるケーススタディが重要となります。

正しい知識と技術を得ることによって、いざ介護などの仕事に就いたときに、仕事そのものや人間関係の形成がよりスムーズに、より着実にできるようになります。一歩踏み込んだ認知症ケアを実践していくために、非常に適した資格と言えるでしょう。

認知症ケア専門士の資格取得によるメリット

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認知症ケア専門士は民間資格でありながら資格取得ための条件があります。介護施設などでの介護実務経験が必要で、「受験年の3月31日より10年以内に3年間の実務経験があること」としています。介護施設以外での仕事で認知症高齢者とかかわりがある場合でも資格取得が認められますが、ボランティアや学生の実習は除外されます。

現在、介護福祉士取得者やすでに認知症グループホームなどの施設で働いている人が、次なる資格取得を目的に受験する傾向があるようです。ほかには、看護師による資格取得も増えていますが、これには、有料老人ホームやシニア向けマンションと提携する医療機関が増えている背景があると考えられます。

資格取得によるメリットは、やはり就職や転職に有利に働く点です。認知症対応がうまくいっていない施設では、認知症への理解不足から来る職員の疲弊やストレスが蓄積し、認知症高齢者への暴力や暴言に発展するケースも考えられます。雇用者側から見れば、認知症への理解がある人を雇うことで現場に大きな安心感が生まれますし、職員を長期的に安定して確保できるメリットもあります。また働く人にとっても、資格手当によって給与面で優遇されます。

資格取得の流れについて

認知症ケア専門士の試験は毎年おこなわれ、申込み期間はその年の3~4月です。認知症ケア専門士を取得するにあたり、まずは願書と実務経験証明書を日本認知症ケア学会に提出します。

試験はマークシート方式による1次試験と、その後の論述と面接による2次試験があり、この両方に合格する必要があります。マークシート方式による1次試験は、「認知症ケアの基礎」「認知症ケアの実際(総論)」「認知症ケアの実際(各論)」「認知症ケアにおける社会資源」の4分野で構成され、各分野50問のうち、いずれも70%以上の正解で合格となり2次試験に進むことができます。

2次試験の論述では、学会から提示されたテーマ(事例問題)をもとに記入し提出します。後日実施される面接は、個人による1分間スピーチと6人1組でのグループディスカッションの構成となっています。1次・2次試験を通じ、以下5つの要件を満たしていると判断された人を合格者とします。

①適切なアセスメントの視点を有している者
②認知症を理解している者
③適切な介護計画を立てられる者
④制度および社会資源を理解している者
⑤認知症の人の倫理的課題を理解している者

合格は試験のあった翌年の1月下旬に発表されます。申込みから1年近くの長丁場となりますが、無事合格できたときには、長い時間勉強を続けた努力も報われることでしょう。

資格取得後も5年に一度更新が必要

無事に資格取得できても、ここで安堵してはいけません。認知症ケア専門士の有効期限は5年間で、資格継続のためには単位を取得し更新する必要があります。合格後、日本認知症ケア学会が主催するスキルアップのための集会やプログラムを受けて、5年間で合わせて30単位取る必要があります。単位が満たない場合でも、単位の保留を申し出ることで最長1年間資格を保留できますが、その保留期間内に単位を取らなければ、認知症ケア専門士の資格は消失します。

気になる費用はいくらかかるの?

認知症ケア専門士になるため、受験にかかる費用ですが、1次試験の受験料は12,000円(3,000円×4分野)で2次試験は8,000円になります。このほか、合格後、資格認定時の手数料が15,000円かかります。また、購入は必須ではないものの、テキスト代は各分野合計で1万円前後。後述する受験対策講座を受けるための費用は15,000円かかります。

資格取得のためのサポート体制も活用

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資格取得のため、まずは日本認知症ケア学会が監修しているテキストや専門書を読むなどして、コツコツと勉学に励むことです。現在、介護士として活躍している人は、日々認知症高齢者とふれあう中で得た気づきや反省事項を反芻して、自らの経験に落とし込むことも重要です。疑問や葛藤などがあれば、職場の上司や同僚に自分の意見をぶつけて議論するのもよいでしょう。

個人の勉強だけでは不安という人は、同学会が主催する受験対策講座を受けるとよいでしょう。テキストをもとに重要ポイントを絞った講義が進められ、覚えるべき優先事項がわかります。講座は丸2日間に及び、2019年は横浜と京都での開催となりました。日時と場所が限定されることから希望者全員の参加は難しいかもしれませんが、一発合格に懸けている人はぜひ検討してみてください。

上級資格、未経験者向け資格も用意

認知症ケア専門士の上級資格として「認知症ケア上級専門士」というものがあります。チームにおけるリーダーや地域へ情報発信していくためのアドバイザー養成を目的としています。受験資格は「認知症ケア専門士」の経験が3年以上あること。同学会の定める単位を一定数取得していることなどです。

逆に、未経験者向けの「認知症ケア准専門士」という資格もあります。一般の人たちを対象に、認知症をより深く理解する機会を広め、将来的に質の高い介護職員を育成することを目的としています。もちろん実務経験は必要なく、18歳以上ならば誰でも受験が可能です。

終わりに

認知症を正しく理解するためには、日々の介護を通じた発見が重要であること。そして資格の有効期間が5年間であることなどを踏まえ、資格取得後も「毎日が勉強」という姿勢を崩してはいけません。仮に仕事を辞めた場合でも、今後、家族介護の際に認知症ケア専門士の知識や経験は役に立ちますし、場所や相手を選ばず質の良い介護を提供できるはずです。

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