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「要支援」と「要介護」の違いとは? 2つの違いを徹底解説|介護のコラム

「要支援」と「要介護」の違いとは? 2つの違いを徹底解説|介護のコラム

更新日:2019.05.22

要介護と要支援の違い

高齢者が介護サービスを受けるためには、住まいのある市区町村から介護保険の認定を受ける必要があります。認定は介護を必要とするレベルによって7段階に分けられますが、「要支援」か「要介護」のどちらに認定されるかで、受けられる介護サービスの内容や個人負担額などが大きく変わってくるのです。今回は、この「要支援」と「要介護」の違いにスポットを当て、その違いを解説します。

提供できるサービスは、介護を必要とする度合いによって異なる

要介護認定の7段階は、要介護度の低い(=自立に近い)順から「要支援1~2」「要介護1~5」に分類されています。

要介護度の決定方法については、介護保険の申請をした後、自治体の職員が直接高齢者の自宅に出向きます。その場で基本的なコミュニケーション能力の確認をして、現在の健康状態や既往歴などのヒアリングをもとに査定する一次判定と、医師によって作成される「主治医意見書」をもとにした二次判定を通じて要介護度が決められます。申請から認定の通知まで、おおよそ1か月ほど。以下で各々の介護度を見ていきましょう。

要支援1

部分的な介助を必要としながらも基本的には独力で生活できる状態。適切な運動や生活習慣の見直しによって要介護状態の予防が見込まれる
参考:「要介護2」ならデイサービスは週何回?要介護度(1~5)別の利用サービスまとめ

要支援2

基本的には独力で生活できるが、日常生活動作にやや衰えが見られる状態。適切な運動や生活習慣の見直しによって要介護状態の予防が見込まれる
参考:「要介護2」ならデイサービスは週何回?要介護度(1~5)別の利用サービスまとめ

要介護1

歩行が不安定で、食事や排せつなどの生活動作に部分的な介助が必要である状態
参考:介護保険のサービスが受けられる「要介護1」とは?

要介護2

歩行が不安定で、食事や排せつなどの生活動作に軽度の介助が必要である状態
参考:「要介護2」ならデイサービスは週何回?要介護度(1~5)別の利用サービスまとめ

要介護3

立ち上がりや歩行、食事、排せつ、入浴の際に全面的な介助が必要である状態
参考:特養への入居条件を満たす「要介護3」とは?

要介護4

食事、排せつ、入浴といった日常生活全般において全面的な介助が必要である状態。要介護3と比べ、よりADL(日常生活動作)の低下が見られる
参考:「要介護4」とは?日常生活のどのくらいにサポートが必要?

要介護5

日常生活全般において全面的な介助が必要であり、加えて完全に寝たきりで普段の意思の疎通も困難な状態
参考:最も手厚い介護を必要とする「要介護5」とは?

上記はあくまで一例で、自治体職員がまとめたデータと医師の診断で最初の要介護度が決定します。身体にまったく不自由がなく、すぐに介護や身の回りの支援を必要としないと判断された人は「非該当(自立)」となり、介護保険サービスを利用することはできません。

介護保険サービスの利用が必須となる「要介護」

介護保険サービスの利用が必須となる「要介護」

上記のとおり「要介護」の状態は、日常的に誰かの支援なくしては生活が困難です。家族が24時間、見守りや身の回りの世話ができるのならば問題ありませんが、ケアをする家族の自由時間が奪われ介護疲れに陥ってしまうという、なかなか難しい現実があります。さらに、要介護度が高くなるほど家族介護だけは限界が生じてきます。

しかし、要介護認定を受けると以下のようなサービスが利用できるようになります。

通所介護(デイサービス)

日中の間、高齢者を預かってくれるサービスです。デイサービスでは食事や入浴の提供のほか、利用者同士で楽しめるレクリエーション、マッサージやリハビリといったメニューもあります。自宅までの送迎もサービス内容に含まれているので、仕事や学校などで昼間家を空けがちな家族でも安心です。

訪問介護

ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事の用意や掃除、洗濯、買い物代行などの日常支援をおこなうサービスです。利用時間は大体1日1時間程度ですが、要介護度が高いほど週に利用できる日数が多くなります。主に独居高齢者に重宝されるサービスです。

入居・居住系介護

認知症の進行などで、家族と同居することが難しくなった高齢者に対し、住まいを提供し24時間体制で介護にあたるサービスです。医療法人や社会福祉法人によって運営される「特別養護老人ホーム(特養)」と、一般企業が運営する「有料老人ホーム」に大別できます。特養は費用の安さで人気を博していますが、入居条件が原則「要介護3」以上であること、また入居希望者が増えすぎて、地域によっては待機人数が数百人を超えることもめずらしくありません。

有料老人ホームの場合は、施設数に余裕はあるものの、入居一時金(敷金)があり、月々にかかる費用(居住費や光熱費など)も特養に比べ高額になります。また、事業者自体が介護サービスを提供しない「住宅型有料老人ホーム」の場合、外部の訪問介護サービスを利用しホームヘルパーに居住先まで来てもらうことになります。

短期滞在型介護

決まった期間、家族を預かってくれる介護サービスで「ショートステイ」と呼ばれています。一般的に施設(個室)を保有している特養や有料老人ホームが提供しており、例えば冠婚葬祭などで数日間家を留守にしなくてはいけない場合や、家族が一時的に介護から解放されリフレッシュするための「レスパイトケア」などに役立っています。

介護に疲れたときに利用したい、「レスパイト・ケア」というサービス|介護のコラム

その他

自宅で暮らす高齢者のために、車いすや杖、電動ベッドなどを貸与する福祉器具レンタルや、寝たきり高齢者が入浴できる訪問入浴といったサービスもあります。

上記のサービスをすべて自費でまかなうとかなりの高額になりますが、介護保険の適用によって、利用者は1割負担(利用者が高額所得者の場合は2~3割負担)で済むのです。要介護度が高くなるにつれ、サービス利用の上限額が上がり、介護保険でまかなえる金額も増えるため、より手厚く柔軟なサービスの利用が可能になります。もちろん、初めて介護サービスを利用するという人は、どういったサービスがあってどの程度利用可能なのかは見当もつかないはずです。しかし、担当する介護支援専門員(ケアマネジャー)がしっかりとアドバイスをしてくれるので、利用者も家族も納得のいくまで相談するようにしてください。

日々の努力と心がけで介護が必要な状態を防げる「要支援」

日々の努力と心がけで介護が必要な状態を防げる「要支援」

「要支援」は日常的な介護の必要はないものの、近い将来、加齢とともに要介護になる可能性を含んだ状態と言えます。そのため、深刻な要介護状態にならないよう今から予防に努めていくことが求められており、さまざまな介護予防サービスを受けることができます。

要支援者は要介護の被保険者と同様の介護予防サービスを受けることが可能です。しかし「通所介護サービス」と「訪問介護サービス」に関しては、前回(2015年)の介護保険法改正で介護保険の適用外となり、「介護予防・日常生活支援総合事業(以下:総合事業)」として新たなスタートを切ることになりました(参考記事「平成27年度介護保険制度改正。従来と比べてどう変わったか徹底解説」)。この総合事業は各自治体による管轄となったため、サービス内容の決定や料金体系、利用できる頻度などは、その自治体の財源や、高齢者福祉に対する理解度によって地域格差が生まれてきているのが現状です。

また総合事業は、従来から市区町村が独自で取り組んでいた介護予防事業と統合されたため、介護保険認定で「非該当」だった高齢者もサービスを受けることが可能です。具体的には、介護予防に向けたエクササイズや認知症予防のための脳トレーニング教室、栄養バランスを重視した料理教室や試食会、喫茶サロンや囲碁教室といった定期的に集えるコミュニティの形成、有志による安否確認や見守りなどがあります。

総合事業を機能させていくには、NPOやボランティア、地域住民などの協力が必要不可欠です。財源が介護保険から切り離されこれまでどおりの手厚いサービスは望めなくなった面はあるものの、高齢者が住み慣れた町で生活を続けていくには、地域コミュニティとの連携を深化させていくことが今後求められているのです。

「要支援」と「要介護」では利用開始手続きが異なる

「要介護」と「要支援」では利用開始手続きが異なる

介護認定を受けるにあたり、「要介護」と「要支援」どちらに認定されるかによって、利用できるサービスに大きな差があります。一般的に認知症の有無と、心身の衰弱が予見できるかが分かれ目となりそうです。というのも、認知症の場合は完治が難しく独力での生活が困難となることはほぼ確実であり、病状などの悪化が予見できる場合も、近い将来、周囲の定期的なサポートが必要になるからです。

なお、「要支援」と「要介護」とでは、サービス利用開始に向けた手続き方法に違いがあります。

要支援の場合は、「地域包括支援センター」へ連絡をして、介護予防サービスの内容を決めることになります。地域包括支援センターはケアマネジャーのほか社会福祉士や看護師といった専門家が多く在籍し、高齢者に対する生活相談や虐待防止といった幅広い相談に乗ってくれる機関でもあります。

要介護の場合は、役所の窓口などで「居宅介護支援事業者」を紹介してもらいます。そこで要介護度に応じた介護計画書(ケアプラン)を所属するケアマネジャーに作成してもらい、そこから介護サービスの提供がスタートします。

1か月あたりの支給限度額について

1か月あたりの支給限度額は以下のとおりです(2019年10月1日改正)。

要支援1:50,320円
要支援2:105,310円
要介護1:167,650円
要介護2:197,050円
要介護3:270,480円
要介護4:309,380円
要介護5:362,170円

利用者の希望を聞いた上で、担当のケアマネジャーが上記金額の範囲内でどういった介護サービスを受けられるのか、提案してくれます。また、限度額を超えて介護サービスを利用したい場合は、全額自己負担でサービスを利用することが可能です。

「要支援2」と「要介護1」の判定基準について

「要支援」と「要介護」の大きな違いは、介助が部分的に必要なのか、それとも全面で必要なのかというところです。聞き取り調査の後、専門家による判定が実施されてはいるものの、アセスメントをした担当者の主観によるところも大きく、明確な境界線があいまいな部分もあります。

それでも、「要支援」と「要介護」では利用できる介護サービスの種類や回数も変わってくるため、利用者としては気になるところです。判定の区分については12か月単位で見直しされますが、判定内容に意義がある場合、申請すれば6か月ごとに見直しすることが可能です。

ケアマネジャーと相談しながら適切な介護を

「要介護」に認定されるのか、それとも「要支援」に落ち着くのか。そこは専門家たちの判断になります。しかし、健康状態や認知症の進行具合などによって要介護度は定期的に見直すことが可能です。介護保険が適用できる範囲でどういった介護が望ましいのか、それはケアマネジャーと適宜相談をしながら決めることになりますが、まずは「要支援」「要介護」の分類や簡単な内容だけでも覚えておくようにしたいところです。

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