介護のお役立ちコラム

「地域包括支援センター」とは? 高齢者の困り事に対して一括相談できる施設|介護のコラム

「地域包括支援センター」とは? 高齢者の困り事に対して一括相談できる施設|介護のコラム

更新日:2021.07.07

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「住み慣れた自宅で最期を迎えたい......」。多くの高齢者がそう願うところですが、介護や通院と並行して自宅に住み続けるには、地域コミュニティによる強力なサポート体制が欠かせないものとなります。今回は、地域住まいの高齢者の困り事を解決し、安全、安心に暮らしていけるための支援をおこなう「地域包括支援センター」の役割について解説していきます。

高齢者にかかわる最初の相談窓口として機能

介護や生活支援を必要とする高齢者の生活を守るために、地域包括支援センターでは、まずは相談に始まり具体的な支援内容を決定、提供を行います。また、要支援・要介護認定を受けていない高齢者に対しても、将来、介護を必要とするときのための助言を行うほか、虐待防止、財産管理、高齢者を狙った詐欺から身を守るといった範囲にまで支援を広げており、地域に住まう高齢者が安心して暮らしていけるための基盤づくりを担っています。

地域包括支援センターは市区町村といった地方自治体により運営されている公的な機関ですが、自治体から委託された社会福祉法人、医療法人などが運営している場合もあります。高齢者と暮らす家族が「介護」という言葉が頭をよぎったとき、または高齢者自身が家族と離れ独り身となったとき、まずは地域包括支援センターに相談するようにしてください。

居宅介護支援事業所との違い

実際に介護サービスを受けようとしている人によくみられる間違いとして、「居宅介護支援事業所」と混同してしまうケースがあります。

居宅介護支援事業所は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属している事業所を指すもので、訪問介護やリハビリ、入浴介護といったサービスを利用している人は、基本的にこの「居宅介護支援事業所」に常駐しているケアマネジャーのお世話になります。

一方で地域包括支援センターは、介護の有無を問わず、介護サービスを受ける手前の高齢者も含めた相談窓口として機能しています。ただし、地域包括支援センターにはケアマネジャーも常駐しているため、介護に関する申込みや手続きをここでおこなう場合もあります。

地域包括支援センターにおける業務の4本柱

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それでは、地域包括支援センターが行う業務を詳しく見てみましょう。おおまかには以下の4つを基本としています。

1.総合相談窓口

地域で暮らす高齢者の実態調査に努め、医療や介護の現状を把握しながら最適な解決策を提案できるよう、来訪者に対してアドバイスを行います。何より地域に精通した知識や情報網が重要なため、自治体職員(公務員)が担います。

2.権利擁護(アドボカシー)

人間は加齢や認知症により自身の意思を明確に示すことが難しくなり、これにより虐待を受けたり、振り込め詐欺や悪徳訪問販売に引っかかったりするリスクが高くなります。早期発見、防止策を講じることで、これら悪の手から高齢者を守るのも地域包括支援センターの役割です。また、高齢者の財産管理を引き受ける「成年後見制度」に対する支援も担います。

3.介護予防マネジメント

主に「要支援1・2」認定の高齢者に対して、介護予防ケアプランの作成をおこないます。また、「自立」(介護認定非該当)の高齢者に対しても、体操教室の開催や栄養指導、手指や体を動かすレクリエーションの実施といった、将来認知症や寝たきりなどにならないための予防を早い段階から講じていきます。

4.ケアマネジャーに対する支援

地域で活躍するケアマネジャーに対する支援も地域包括支援センターの役割です。地域包括支援センターの助言によって、利用者は居宅介護支援事業所を選ぶことになります。そのため、親的な立場である地域包括支援センターは、地域のケアマネジャーが安心して滞りなく仕事ができるよう、勉強会や研修の実施、ケアマネジャー同士が情報交換できる場の提供といったコミュニティづくりに注力します。

地域包括支援センターで働く専門家たち

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地域包括支援センターで働く専門家は、社会福祉士(ソーシャルワーカー)、保健師、ケアマネジャーや社会福祉主事(ケースワーカー)です。それでは各専門家が具体的にどのような役割を担うのか見ていきましょう。

社会福祉士

社会福祉士は上項で取り上げた「総合相談窓口」と「権利擁護」を担います。介護や生活困窮、心の病気などさまざまな問題を抱えている高齢者に対して、安心して生活を送れるよう助言や指導をおこなう、まさに司令塔とも言える立場です。

保健師

健康面で大きな不安を抱えている高齢者に対して、医療の側面から助言するほか、地域の病院と連携するなど、医療機関と利用者とのパイプ役を担います。また介護の面においても、「介護予防マネジメント」の計画をケアマネジャーと相談しながら決めるなど、活躍の範囲は幅広いものです。事業所によっては看護師が担当する場合もあります。

ケアマネジャー

介護サービスを行う介護事業者とのパイプ役となるケアマネジャーは、介護に関わるすべてを決定する権利があります。介護期間が長くなるほど、利用者本人の健康や精神状態を深く把握しているのはやはりケアマネジャーとなるため、利用者一人ひとりに対する包括的、継続的なマネジメントが求められます。

社会福祉主事

社会福祉主事は、社会福祉事務所に配属され業務のサポートをおこなう公務員を指します。社会福祉士や保健師とは異なり任用資格となりますが、地域に精通しているという意味では、あらゆる課題解決を図る上で欠かせない存在となります。

地域包括支援センターの利用手続きについて

地域包括支援センターは、その地域に暮らす65歳以上の高齢者、またはその家族など支援をおこなう立場の人が利用できます。自治体によって異なりますが、全国の各市区町村に最低1か所は設置されているため、利用を希望する場合、まずは住まいのある市役所などに電話で問い合わせるかインターネットで検索してみてください。

終わりに

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介護サービスを開始するにあたり、手続きから認定、数ある介護サービスの選択とそれにともなう費用の算段など、実にさまざまな要素が横断的に絡むため、全く知識がない状態では利用希望者は困惑することばかりのはずです。しかし、地域包括支援センターにはさまざまなプロフェッショナルが常駐していて、すべての悩み事に対してワンストップで解決してくれます。まずは扉を叩いて、些細なことからでも相談するようにしてみてください。

 

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