介護のお役立ちコラム

おもてなしの心と介助技術を。街のいたる所で困った人を支える「サービス介助士」とは|介護のコラム

おもてなしの心と介助技術を。街のいたる所で困った人を支える「サービス介助士」とは|介護のコラム

更新日:2020.03.25

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公共の場所ではバリアフリー化が進んでおり、障害のある人でも安心して外出できるような環境が整いつつありますが、ふとした場合に誰かの助けが必要になることも往々にして考えられます。

今回は、街中のいたる場所で高齢者や障害のある人をサポートする「サービス介助士」の資格取得について解説していきます。

企業も資格取得を推奨する「サービス介助士」について

「サービス介助士」は公益財団法人日本ケアフィット共育機構が主催する民間資格で、駅や商業施設など公共の場で、高齢者や車いす利用者、視覚障害者などに対し、移動やサービスの利用をスムーズに促す介助を提供するための資格です。

運輸業・小売業・観光業・レジャー産業といったサービス業を中心に多くの企業で導入され、各社とも現場で働く社員一人ひとりに対してサービス介助士の資格取得を推奨しています。また、大学や専門学校の講座にも取り入れられており、個人受講も含めて17万人以上(2019年9月現在)が資格を取得しています。

介護の資格と言えば国家資格である「介護福祉士」や、「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」などが思いつきますが、これらは介護業界で働くために必要な資格です。翻ってサービス介助士は、仕事を通じて不特定多数の人と接する職員に対して、正しい介助の知識や技術を身に付けてもらうための資格です。

もちろん、知識や技術ばかりでなく、介助する側にとってもっとも大切とも言える、「おもてなし」の心を育んでもらうことを念頭においた研修プログラムが組まれています。

サービス介助士の受験内容

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次にサービス介助士資格取得に向けた流れを紹介します。

日本ケアフィット共育機構のホームページでは、対象は「社会人、大学生、専門学生など」となっていますが、基本的には誰でも申し込むことができます。申し込み後、送られてくるテキストをもとに学習し、提出課題(マークシート方式。3択問題)で100問中60問正解すると、次の実技演習に進むことができます。

実技演習は2日間実施され、高齢者疑似体験や車いすなど介助器具を用いた実技、各障害に応じた接遇や、ディスカッション、ロールプレイなどをおこないます。そして最後に検定試験をおこない、これに合格すると晴れてサービス介助士の資格が授与されます。試験方法は課題提出の時と同じ3択マークシート方式ですが、今度は100点中70点以上で合格となります。

もし不合格となっても1年以内であれば再試験(有料)を受けることができます。さらに公式ホームページを通じて模擬試験を受けることができるので、万全の態勢で試験に挑むことができます。

なお、サービス介助士の資格の有効期限は3年間です。3年で失効してしまうため、更新手続きが必要となります。その際は、任意でフォローアップセミナーを受けることができるので、忘れてしまった内容の再確認やさらなるスキルアップを目指して受講してみるとよいでしょう。

受講者のニーズに合わせた資格取得

サービス介助士は、忙しくてなかなか実技に割く時間を取れないという人や、とりあえず基礎知識だけでも覚えておきたいという人、企業が一括して社員教育に導入したいケースなど、あらゆるニーズに応じて多様な講座が用意されています。

「准サービス介助士」は自宅にいながら取得できる資格で、申し込み後に送られてくるテキストと実技内容を収録したDVDをもとに個人で学習し、最後に検定試験を提出する流れです。サービス介助士との大きな違いは実技教習がないということ。そのため、後にサービス介助士へステップアップしやすくなるよう、サービス介助士カリキュラムを受ける際の一部の課題免除や受講料金の割引といった特典があります。

「サービス介助基礎研修」は2時間完結型のパッケージ型セミナーで、障害に対して気付く、知ることを念頭に置いた研修内容となっています。受講者に対して、車いすの操作や目隠しをして視覚障害者体験をしてもらうなど、介助の基礎を知ることができます。講座の最後に習った内容をおさらいするミニテストを実施し、その後修了証が授与されます。

サービス介助士が活躍できる場所

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前述のとおりサービス介助士は、サービス業に従事する企業がサービス向上や社員教育の一環として導入しているケースが目立ちます。実際にはどのような場所でサービス介助士の資格取得者が活躍しているのでしょうか。

駅、空港などの公共交通機関

点字ブロックや音声案内などだいぶバリアフリー化が進んでいるものの、ホームドア未設置の駅も依然多く、安全を徹底することは公共交通機関の使命とも言えます。また職員と利用者が一対一になる機会の多いタクシー会社業界でも、ドライバーに対して資格取得を推奨する企業が増えています。

デパート、ショッピングモールなどの小売店舗

スーパーマーケットでの日用品の買い出しから、デパートでのショッピングまでと、日常生活の中で買い物の機会は多くあります。安心かつ満足して買い物してもらえることは、リピーター獲得につながりますし、企業のイメージアップにも寄与します。

ホテル、レジャー施設

障害のある人でも、福祉施設の職員やホームヘルパー同伴で旅行を楽しむ機会が増えてきました。それでも、受け入れる側であるホテル、旅館といった宿泊施設や、遊園地、博物館といった施設にサービス介助士がいることは、利用する側としても心強いことでしょうし、旅の思い出や満足度も大きく変わってくることでしょう。

ほかにも不動産業、通信業、金融、警備業界などでもサービス介助士の資格取得推奨が目立っており、街のいたる所で障害のある人をサポートする仕組みづくりが完成しつつあります。

多様性を理解し、"見えにくい"障害にも対応したカリキュラム修正

サービス介助士の資格取得講座の内容が、2020年4月にリニューアルされます。近年「障害は社会の仕組みが作り出している」という障害の社会モデルの考えが知されるようになりましたが、単に困っている人を助けるだけでなく、"なぜその障害が生まれたのか?"という背景に気づき、行動に変えていくことが求められています。

さらなるコミュニケーション能力の強化や障害の社会モデルの理解を目的に、テキストの改編などカリキュラムが組み直されます。実際に障害のある人を講師に招き対話を通じて心構えを感じ取ることや、視覚上ではわかりにくい障害(発達障害や知的障害など)について理解を深める内容などが追加される予定です。

最後に

2020年は四年に一度の祭典が開催される予定で、世界中からハンディのある人が大勢やってくることが予想されます。誰もが安心して日本での生活を送るためには、インフラ面の整備ばかりでなく、受け入れる私たちの「おもてなし」の心と技術が必要になってきます。

サービス介助士は企業主体ばかりでなく個人でも気軽に申し込めるので、今後ボランティアなどで活躍したいという人は積極的に受講してみましょう。

 

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