介護のお役立ちコラム

増加する「都市型軽費老人ホーム」とは?|老人ホームのコラム

増加する「都市型軽費老人ホーム」とは?|老人ホームのコラム

更新日:2018.04.11

特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、高齢者本人の健康状態、要介護度、家庭の経済事情などによって入所できる施設にはさまざまなタイプのものがあることは当コラムでも取り上げてきました。

その中でも家庭環境、経済的事情などにより、自宅で生活を送ることが困難な高齢者の受け入れ先として「軽費老人ホーム」という施設があります。

入居するにはいくつかの条件を満たす必要がありますが、昨今の高齢化社会に合わせ、この条件を緩和させた「都市型軽費老人ホーム」が東京都を中心に広がりを見せています。

今回はこの都市型軽費老人ホームについてどのような人が入居できるのか、その特徴についてご説明します。

都市型軽費老人ホームが登場したその背景

都市型軽費老人ホームが誕生した背景.jpg

軽費老人ホーム自体は、老人福祉法が制定された1963年あたりから存在する施設で、経済的な事情などにより自宅で生活を送ることが難しい高齢者を対象に、文字どおりリーズナブルな価格で入所できる施設としてこれまでその数を増やしてきました。

軽費老人ホームでは施設長や生活相談員などが常駐し、生活相談と日常的な生活支援といったサポートを行います。1日3食の提供がある施設をAタイプ、ない施設をBタイプと区分され、介護を必要とする高齢者の受け入れに対応した施設をケアハウスと呼んでいます。

現在は介護の必要のある高齢者が増えていることもあり、A・B両タイプは減少傾向を見せており、将来的にはケアハウスに統一されることになっています。

しかし、地価が高く高齢者人口の多い都心部では、このような施設の数は逼迫気味であり、特に身寄りのない低所得者の受け入れ先として機能しているとは言い難い状況でした。

こうした中、東京都は従来の軽費老人ホームで定められた居住面積や人員配置の基準を緩和させ、利用料金をより低額に抑えた「都市型軽費老人ホーム」の整備を2010年より進めてきました。生活相談や日常生活支援はもちろんのこと、介護サービスの受け入れも想定しているため、高齢者にとって大きな安心を与えてくれる施設でもあるのです。

都市型軽費老人ホームはこれまでの軽費老人ホームとなにが違うのか?

それでは次に、都市型軽費老人ホームの特徴を見てみましょう。


  • 入居一時金(敷金・礼金)が不要
  • 月額利用料が低額(10~12万円)
  • 専用の個室がある
  • 食事が1日3食提供される
  • 24時間365日の見守り体制
  • 防災機器(スプリンクラー)が設置されている


東京都の条例で各施設とも定員は最大20名(最少5名)に定められています。従来の軽費老人ホーム(ケアハウス)の場合、入居一時金が発生しますが、都市型軽費老人ホームにはありません。また入居者の収入に応じて減免措置が取られるため月額利用料も安価に抑えられます。

規制緩和によって、最大20名の入居者に対し人員配置が施設長、生活相談員の2名(施設長が生活相談員と兼務の場合もあります)と介護職員が常勤1名と、他の介護施設と比べるとやや手薄な印象があります。しかし24時間体制での見守りが約束されていることや、入居者の多くは外部の介護サービスを利用していることを考えれば、安全面で大きな支障が出るとは考えにくいでしょう。

都内にあるすべての都市型軽費老人ホームが2010年以降新設されたこともあり、比較的新しい建物で生活が送れるのもメリットの一つでしょう。しかし、各個室の居住面積は、ケアハウスの規定面積(21.6㎡)を大幅に緩和した7.43㎡(約4畳半)に設定されています。

原則ホームのある市区町村に住民票のある人しか入居できない

軽費老人ホームには住民票が必須.jpg

規制緩和されたとはいえ、入居できる条件はいくつかあります。従来の軽費老人ホームは利用者が希望のホームを探し、直接申し込むことが可能でしたが、都市型軽費老人ホームの場合、住民票のある市区町村のホームにしか入居が認められません。

2018年4月1日現在、都内にある都市型軽費老人ホームは71か所あり、前年(2017年5月)の62か所と比べても約1年間で9か所増えました。しかし23区を含めたすべての市区町村に存在するとは限らず、さらなる整備が期待されます。

また特別な事情を除き身元保証人は必須で、重度の要介護や高度な医療が必要となった場合は退去しなくてはならないケースも出てきます。

誕生してまだ日が浅いこともあり、施設の数も十分とは言えません。1ホームの最大定員も20名であることから、入居希望者が殺到した場合、多数の入居待機者が出る可能性もあります。

終わりに

少子高齢化や晩婚化が進む現在、独居高齢者の数は今後も増える見通しで、介護を必要とする高齢者のケアをどのように実践していくかは国としても大きな課題です。加えて、都市部が抱える人口の多さと住宅事情も深刻な問題で、今後このような都市型軽費老人ホームの需要はますます増えることでしょう。

しかし、少ない個人負担と要介護状態でも入居できることを考えると、将来に不安を抱える高齢者にとっては非常に心強い存在であると言えます。軽費老人ホーム自体、社会福祉法人以外の民間企業の参入も認められていることから、今後その数が順調に増えていき、多くの高齢者の受け皿として機能していくことが期待されます。

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