介護のお役立ちコラム

いざという時の安心・安全を徹底!  防災意識が高い介護施設とは?

いざという時の安心・安全を徹底! 防災意識が高い介護施設とは?

更新日:2023.02.10

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介護施設におけるご入居者の安心・安全は、充実した介護サービスの提供とともに、予期せぬ災害やアクシデントからご入居者を守るための人員体制、防災設備が完備されて初めて成り立つといえます。実際に災害などが発生した緊急時において適切な対応が可能な、ソフト・ハードの両面が整った老人ホームとは、どのような施設でしょうか?また、ご入居者はいざという時に備えて、普段からどのような点を心がけておくべきでしょうか?注意すべきポイントをご紹介します。

介護施設における防災への取り組み

老人ホームを選ぶ際に見落とされがちなのが、災害が発生した場合など、緊急時の対応についてです。安心・安全な入居生活を送るためには、地震や風水害などの自然災害に備えて施設側がどのような対策を取っているのか、ご入居前にチェックしておくことも忘れてはなりません。

災害時における施設側の取り組みで、基本となるポイントを以下に挙げてみました。

1.災害時の基本的な備え

多くの施設で実施されている災害時の基本的な備えは、災害マニュアルの策定、および防災訓練の実施の2点です。

・災害マニュアルの策定(食料・ミネラルウォーター・経管栄養剤・とろみ剤・その他ご入居者が必要とする品物の備蓄、非常用電源・発電機・AEDの準備、避難場所の確保・確認など)
※備蓄品は備えておくだけでなく、いざという時に使用が可能であるか、定期的に中身を確認する作業も重要です。

・防災訓練の実施
※地震、台風・水害、火災など、さまざまなケースを想定し避難訓練を重ねることで、緊急時に適切な対応がスムーズにできるように備えます。

2.個別の事前対策

個別の事前対策は、災害発生時に生じる停電、断水、浸水、ガスや通信の停止といったアクシデントに備え、ライフラインを確保するための作業が中心になります。

① 停電対策
・懐中電灯、ランタン、ケミカルライト、ヘッドライトなど照明器具を備蓄(電池切れがないように残量も確認しておく)
・発電機や蓄電池の備蓄
・入り口を施錠するための鍵やロープの備蓄(ご入居者の行方不明事故などを防ぐため)
・エレベーターの保守管理会社など緊急時の連絡先の確認
・ソーラーパネルの設置
・非常用電源となる電気自動車(EV)の導入

② 断水対策
・飲料水の備蓄(ひとり1日3ℓ、3日分以上)
・手押しくみ上げ井戸と浄水器の設置
・生活用水関係→受水槽・防火水槽の設置、簡易貯水タンクの準備、入浴できない場合の清拭用ウエットティッシュの備蓄など
・下水、汚水関係→携帯または簡易トイレ、オムツの備蓄

③ ガス停止対策
・カセットコンロ、ガスボンベの備蓄
・ガスの復旧方法の確認
・調理不要な食糧の備蓄など

④ 通信停止対策(連絡手段の確保)
・携帯電話やスマートフォンなど、通信機器のバッテリーの確保
・携帯電話、衛星電話、公衆電話、災害用トランシーバーなど、複数の通信手段の確保
・災害時に使用できるPCの確保
・緊急時の連絡リストの作成

⑤ 浸水対策
・国土交通省のハザードマップポータルサイトなどで浸水リスクを事前に確認
・土嚢の準備や止水板・防水板の設置
・救命胴衣などの準備

⑥ 防風対策
・外壁、看板、鉢植えなど、風に飛ばされる危険性があるものが設置されていないか確認し、必要に応じて撤去や室内の安全な場所に移動

⑦ 交通網マヒ対策
・職員のシフト体制を確認し、必要があれば調整

⑧ 移動手段の確保
・車で通院することも考慮に入れ、ガソリンが十分にあることを確認(必要に応じてタクシーを利用)

3.災害発生時のスタッフの行動

ご入居者の中には、災害発生時に自力で避難できない方もいらっしゃいます。ご入居者の安心・安全を確保するためには、緊急時におけるスタッフの迅速かつ適切な誘導、サポートが必要不可欠です。

以下では、緊急時の対応例を優先順位が高いものから順に記載します。

① ご入居者、職員の安否確認
→ケガ人はいないか?人数はそろっているか?

② 医療機器の使用状況を確認
→医療機器が正常に動作しているか?停電時の電力をどう確保するか?

③ 施設内の安全な場所に避難
→ナースコールが使えない場合もあるため、ご入居者をできる限り一か所に集めて、確認しやすい環境をつくる(ご入居者の不安な気持ちに寄り添う)

④ 避難経路の確保
→非常口を開ける、近隣で火災の発生がないか確認する

⑤ エレベーターの閉じ込め確認
→安全に避難できるように誘導し、エレベーターの中に閉じ込められている人がいないか確認する

⑥ 備蓄品をできる限りまとめる
→備蓄品を速やかに取り出し、すぐに使用できるようにしておく

⑦ ご家族に連絡
→ご入居者と施設内の安全が確認できたら、ご家族に連絡する
※この他にも、施設の規模や人員体制、ご入居者の状態に応じて必要なサポートは異なります。さまざまな緊急事態を想定して、施設内における災害時のルールを整備するとともに、ルールに基づいて速やかに行動できるよう、日頃から情報共有や訓練が行われていることが重要です。

防災意識の高い施設の例「東急ウェリナケア尾山台」

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介護施設においてどのような災害対策が行われているのか、一通り把握したところで、実際に厳格な防災対策を実施し、安心・安全を重視した充実の設備とサポートで注目を集める「東急ウェリナケア尾山台」の例をご紹介します。

東急株式会社が経営母体の「東急ウェリナケア尾山台」(東京都世田谷区)は、都会の雰囲気と自然豊かな環境が融合した二子玉川からもアクセスしやすい、世田谷の人気エリアに建つ介護付き有料老人ホームです。

同施設の特徴は、ご入居者2名に対して介護スタッフが1名以上で対応する手厚い人員体制。介護スタッフと看護師が24時間常駐しています。医療機関との連携もスムーズで、緊急時の対応は万全です。また、自然災害の発生に備えた取り組みにも定評があります。

同施設では、2019年に発生した大型台風による被害の経験を踏まえ、約2億円を投じて大規模な改修工事を実施しました。エントランスや窓からの浸水防止対策をさらに強化するとともに、万が一、浸水被害が発生したケースを想定し、施設内のレイアウトを変更。下層階の一部を、居室フロアからアクティビティルームなどの共有スペースや、新型コロナウイルス感染時の隔離室に改装しました。

「東急ウェリナケア尾山台」では、主要な防災対策として次の5つを掲げています。

① 飲料水・非常食・医薬品などの備蓄
② 自家発電装置の設置
③ 災害時対応型自動販売機の設置
④ 東急グループ各社で構成される防災無線の設置
⑤ 定期的な救命講習や消防訓練の実施

また、ご入居者はもちろん、相互扶助の精神をもって周辺地域にお住まいの方たちの安全確保ができるような取り組みにも力を入れており、災害への対応に優れたおすすめの施設です。

「東急ウェリナケア尾山台」の施設紹介ページはこちら

「東急ウェルネス」特設ページはこちら

ご入居者とご家族が気をつけたい防災のポイント

介護施設の防災対策は、施設の規模や、立地エリアなどによって多少異なる部分はありますが、実際に施設を見学する際は、主に以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。ご入居後も居室内の防災対策として、定期的にチェックする習慣をつけておくとより安心です。

☑施設の耐震性能を確認する
※耐震性能が建築基準を満たしていたとしても、どの程度の地震を想定しているかは施設によって異なる
☑火を使う設備の近くに燃えやすいものを置かない
☑物を置きすぎない、不要な物は捨てておく
☑大きな家具を固定して転倒を防止する
☑重い物を目線より高いところに載せない
☑出入口や通路に物を置かない
☑開き扉は中のものが飛び出さないように収納を工夫する
☑窓や戸棚のガラスに、飛び散り防止フィルムを貼る(施工済みの施設もあるので要確認)

介護事業者のBCP(事業継続計画)策定が義務化

近年、国内でも気候変動に伴う地震、台風、豪雨といった自然災害の増加や、新型コロナウイルス感染症をはじめとするさまざまな感染症のリスクが増大している状況を踏まえ、介護施設においてもご入居者や職員の安心・安全を守ることを目的として、事前に計画を策定しておくことの必要性が叫ばれるようになってきました。そこで、厚生労働省の「令和3年度介護報酬改定」により、2024年から介護事業者に対して、BCP(事業継続計画)の策定が義務づけられることになりました。現時点で罰則は設けられていませんが、これを機に、防災に力を入れる介護施設はさらに増えていくと思われます。
※BCP:Business Continuity Planの略で、災害などの緊急事態が発生した時に、企業が損害を最小限に抑え、速やかに事業の継続や復旧を図るための方針、体制、手順を示した計画のことです。

介護事業におけるBCPの主な項目・記載事項は以下の通りです。※自然災害発生時のもの

① 基本方針、災害対策の推進体制、リスクの把握(ハザードマップの確認・被災の想定)、優先する業務の想定
② 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・ガス・水道・通信・システムが止まった場合の対策、衛生面の対策、必要品の備蓄、資金の手当て)
③ 緊急時の対応(BCPの発動基準、体制・拠点、利用者・職員の安否確認方法、職員の参集基準、施設内外での避難場所・方法、重要業務の継続、職員の管理、復旧対応)
④ 他施設・地域との連携
⑤ 通所・訪問・居宅介護支援など各サービスにおける固有の記載事項

施設は一様ではないので、個々の施設の状況に即したBCPをきちんと策定することが大切です。

介護施設・事業所における業務継続ガイドライン等について

終わりに

いかがでしたか?災害やアクシデントが発生した場合には、高齢者はより多くのサポートを必要としますから、施設スタッフの対応や判断力がものをいいます。ご入居を検討する施設で、日頃から防災訓練や研修がきちんと行われているかどうか確認し、また、ご入居者自身も防災への意識をしっかり持っておくことが大切です。ここでご紹介した防災対策も、ぜひ施設選びのご参考になさってください。

 

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