介護のお役立ちコラム

【医師監修】認知症検査の種類と費用について|認知症のコラム

【医師監修】認知症検査の種類と費用について|認知症のコラム

更新日:2017.07.05

ご家族が高齢化してくると、心配になるのが認知症の発症です。体は健康でも、もの忘れが増えてくると「もしかして認知症かな?」と不安になってしまいます。また、近年では高齢でなくても若年性認知症にかかる方も増えてきました。

ご家族が認知症なのかどうかを調べるには、どのような検査が必要なのでしょうか。検査法や費用について、また認知症と診断されたときに準備しておきたいことをまとめましたので、受診を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。


【監修者】
木村 眞樹子医師

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医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。


認知症の5つの主要な検査法とは

認知症の検査にはいくつかの種類があります。よく用いられている検査を中心に、どのようなものかを説明していきます。

長谷川式認知症簡易評価スケール <かかる費用:比較的安い>

長谷川式認知症簡易評価スケールは、国内でもっともよく使われている認知機能テスト。簡単な質問をおこない、その答えでどのくらい認知機能が低下しているかを判断し、認知症のスクリーニングをすることができます。

質問の内容は、名前や生年月日を尋ねるものや、簡単な計算、記憶力を試すものなど。答えが正確かどうかで点数が付けられます。トータルの点数が30点満点中20点以下だと、認知症である可能性が高いとされています。

ミニメンタルステート検査(MMSE) <かかる費用:比較的安い>

MMSEは長谷川式と同様に、簡単な質問で認知機能を評価するテストです。長谷川式よりも少しだけ質問項目が多く、22〜26点で軽度認知症の疑い、21点以下で認知症の疑いが強いとされています。

ウェクスラー記憶検査(WMS-R) <かかる費用:比較的安い>

WMS-Rは、世界的に使われている総合的な記憶検査のテストです。言語を使った問題と図形を使った問題が含まれており、これらに答えることで記憶力や集中力、注意力などを評価することができます。

画像検査 <かかる費用:比較的高い>

認知機能はスクリーニングとして行われるものであり、テスト結果だけでは、認知症とは診断されません。CTやMRIなどの画像検査で確認する脳の状態も判断の基準になります。脳のどの部分がどのくらい萎縮しているかによって、認知症のタイプや進行度を見ることができます。

その他の検査 <かかる費用:比較的高い>

知機能テストや画像検査以外にも、血液検査や尿検査などがおこなわれる場合もあります。認知機能の低下にほかの病気が影響している可能性もあるため認知症以外の病気がないかどうかを調べるためにおこなわれます。

どの検査をおこなうかは医療機関や医師によって異なりますが、検査をおこなうときは「長谷川式認知症簡易評価スケール」などのスクリーニングテストに、MRIなどの画像検査と血液検査を組み合わせることで診断を行うことが一般的です。あくまでも目安になりますが、費用は「約数千円〜2万円以内」と見積もっておきましょう。

次に、これらの認知症の検査はどこで受けられるのかをご紹介します。

認知症検査はどこで受けられる?

認知症の検査や診断は、病院や診療所、クリニックで受けることができます。診療科の種類は、主に精神科や心療内科、脳神経外科、神経内科など。

これらの外来がある病院やクリニックでは、基本的にどの科でも検査が受けられますが、もしかかりつけの医師がいるのなら、まずはそこで相談してみるのもひとつの方法です。

かかりつけ医は、これまでのご本人の経過をよく把握しています。そこから認知症である可能性を判断したり、必要な場合は専門の病院を紹介してもらうこともできます。 最近では、もの忘れ外来や認知症外来という専門外来を設けている病院も多くなっています。これらの専門外来では、日本認知症学会などで専門医の資格を取得した医師が診察していることが多いそうです。また、老年内科という高齢者を専門に見ている外来もあり、認知症も含めて全身を検査してもらうことが可能です。

認知機能のテストだけなら、インターネット上に内容が公開されているものもあるので、自宅や施設などでもおこなうことは可能です。しかし、あくまでも目安なので、認知症かどうかをきちんと判断するには、病院で受診することが大切です。 認知症のような症状に見えても、実はほかの病気からくる症状だったという可能性もあります。「認知症かな?」と思ったときは、自己判断せずに、病院で医師の診断を受けるようにしましょう。

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認知症検査の費用と受ける前の準備

認知症検査の費用がどのくらいかかるかは、おこなう検査の種類や、ご本人の保険の負担割合によって異なります。

あくまで目安にはなりますが、医師の診察、認知機能テスト、画像診断、血液検査などを合わせて、数千円〜2万円以内。診察時に薬が処方された場合のことも考えて、プラス数千円ほど準備しておくと安心です。

医師が診断をする際には、普段の生活のなかでご家族がどのような状態であるか?などの情報も求められます。現在どのような行動をしているのか、日常生活の中でどのように困っているのか、いつから症状が出るようになったか、ほかに病気はないかなどを尋ねられます。

本人が答えられない状態であることも多いと思いますので、受診するときには家族が付き添い、これらの質問に答えられるようにしておくとよいでしょう。その場で慌ててしまったり、話し忘れたりすることがないように、事前にメモなどにまとめておくと便利です。

ご家族が認知症だとわかったら

病院で受診し、検査を受けて、実際に認知症だと診断された場合、どんな準備をしたらよいのでしょうか。介護を始めるうえで必要なことについてまとめました。

認知症がどういうものかを知る

まず大切なことは認知症という病気がどのようなものかを知ること。原因や症状などを知っておくだけでも介護をする家族の安心感が高まります。 何も知らずにいると、これから何が起きるのか、何をしなければならないのかがわからず、不安が大きくなってしまうかもしれません。そんな不安を軽減するためにも、わからないことは医師や看護師に尋ねたり、本などを読んで病気に対する正しい知識を持つことが大切です。

介護に必要な情報を集めておく

認知症の介護を続けていくうえで、たとえば、介護保険や介護サービス、サービスの種類、利用方法など、事前に知っておくべき情報がたくさんあります。

地域独自の福祉サービスをおこなっているエリアもあるので、住んでいる市区町村の介護担当窓口や、地域包括支援センターなどに相談してみましょう。

また、食事の宅配や見守りサービスなど、民間でおこなわれている高齢者向けの事業や、家族の会などもあります。そういったサービスやコミュニティもうまく活用していきましょう。

家族で情報を共有する

本人も含めた家族全員で、情報を共有しておくことも大切です。現在の状況や今後の経過など、できるだけ全員で知っておくようにしてください。

本人が意思を自分で伝えられるうちに、これからどう過ごしていきたいのかという話もしておきましょう。本人の意向を知っておくことは、介護をしていくうえで何か選択が必要になったときにひとつの判断基準にすることができます。

また、誰が本人のキーパーソンになるかを決めておくことも必要です。キーパーソンは、治療や介護を進めていくうえで相談窓口となる人のこと。毎回違う人が話し合いの場に立つと混乱してしまう原因になるので、近くに住んでいる人や本人が信頼している人など、キーパーソンをひとり決めておくようにしましょう。

ご家族が「認知症かな?」と思ったらまずは検査を

認知症は治るものではなく、徐々に進行していくもの。しかし、治療や関わり方しだいで進行を遅らせることができます。

認知症ではないかと心配になったら、まずはお医者さんにきちんと診断してもらうことが大切です。そのうえで正しい知識を得て、サービスや制度をうまく利用しながら、無理をせずに長く介護を続けられる環境を整えていきましょう。

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