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高齢になった親の運転を止めさせたい!免許返納の説得方法と運転時のチェックポイント|介護のコラム

高齢になった親の運転を止めさせたい!免許返納の説得方法と運転時のチェックポイント|介護のコラム

更新日:2021.12.28

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2019年に池袋で発生して世間の注目を集めた高齢ドライバーによる事故から、2年以上が経過しました。反射神経の衰えによる操作の遅れやアクセルとブレーキの踏み間違え、赤信号の見落としなどが要因の事故が多く、国は高齢者に対して運転免許の自主返納を促しています。しかし、現在でも高齢者による事故は多発しています。今回の記事では、高齢者の運転への意識を変えてもらうため、家族ができることについて考えてみましょう。

高齢ドライバーによる事故は年間1,195万件も

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高齢ドライバーによる事故は、以前から多く発生しています。とくに2019年に池袋(東京都・豊島区)で起きた高齢ドライバーによる交通事故では、母子2人の尊い命が奪われました。この事故は被害が大きかったことに加えて、容疑者がすぐに逮捕されなかったことで世間の注目を集めました。以降、高齢者による運転事故は、たびたびテレビや新聞で報道されるようになりました。

内閣府によると、70歳以上高齢者の運転免許保有者は増加傾向にあり、2019年には約1,195万人になりました。この人数は運転免許保有者の約14.5%を占め、1986年の80万人の15倍近くにおよびます。

また、近年の75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故は年間で400~460件。80歳以上でみると200~260件前後となります。高齢化が進む日本では、この数が増えることはあっても減少する可能性は低いと考えられるでしょう。

事故を防ぐために親の運転時にチェックすべきポイント

高齢者の事故を未然に防ぐには、家族の支援が必要です。次では、親の運転に同乗した際に危険かどうかをチェックするポイントについて解説します。
注意力や判断力、反射神経が低下している場合には、以下のような行動が見られます。

  • ・急発進または急ブレーキ、急ハンドル
  • ・ウインカーの出し忘れ
  • ・後方確認を十分に行わないまま車線変更をする
  • ・一時停止を怠る、または停止線を大きく越えて止まる
  • ・走行速度が極端に遅い
  • ・車庫入れの際、何度も切り返すなどして時間がかかる
  • ・知っている道で迷う

そのほか、運転中以外でもチェックできるポイントがあります。

  • ・クルマのカギの保管場所を記憶できているか(カギの管理ができているか)
  • ・車体に目立った傷やへこみがないか

車への同乗が難しい場合には、このような点を意識して確認するようにしましょう。

運転を止めてもらうために家族にできること

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家族にできること1|家族(孫)が説得する

こちらの思いを誠意をもって伝えるには、やはり面と向かっての説得が重要です。とはいえ、息子や娘からの意見には素直になれない方もいるでしょう。「孫に弱い」という心理をうまく使って、孫から自主返納をさりげなく勧めてもらうのも有効な手段です。

家族にできること2|かかりつけ医から説得してもらう

家族が説得してもダメな場合、かかりつけの主治医から免許返納を促してもらいましょう。医者の意見は「しっかりとした根拠がある」と信じられやすいため、素直に受けとめる可能性が高いでしょう。

家族にできること3|事故の現状(悲惨さ)を伝える

冒頭で述べた通り、高齢ドライバーによる事故は多発しています。第三者の命を奪うことによる責任や損害を与えた物に対する賠償、社会的制裁が、事故を起こした本人だけでなく同居する家族にも影響することを伝えましょう。

家族にできること4|費用対効果を説得材料にする

損得勘定を説得材料にするのも一つの方法です。自動車は本体の購入費のほかに、ガソリン代、車検代、保険料、駐車場代、そのほかの維持費が発生します。クルマを手放すことで節約できる金額を算出し、アピールしてみましょう。浮いたお金を趣味に使ったり、家族との旅行の費用に充てたりする提案などもおすすめです。

家族にできること5|高齢者教習を受けてもらう

2017年(平成29年)より、75歳を迎えるドライバーは、免許更新時に「認知機能検査」を受講することが義務付けられるようになりました。検査の結果は、以下の3段階で評価されます。

  • ・「記憶力・判断力に心配がない」(認知機能低下の恐れなし)
  • ・「記憶力・判断力が少し低くなっている」(認知機能低下の恐れあり)
  • ・「記憶力・判断力が低くなっている」(認知症の恐れあり)

75歳以上の高齢者は例外なく「高齢者教習」を受けた後に免許の更新になります。検査の結果、「記憶力・判断力が低くなっている」とされた場合、臨時適性検査もしくは医師の診断書の提出を経てからの更新となります。

さらに2022年5月からは「運転技能検査」の導入も決定しており、逆走や信号無視をすると一発で不合格となることもわかっています。

こういった検査は自分の状態を知る機会となるので、その結果をもとに自主返納を促してみるもの良いでしょう。

家族にできること6|周囲の人に協力してもらう

家族だけでなく、信頼関係のある近所の人に協力をお願いしましょう。たとえば親が「運転はもう止めた」と言いながら家族の目を盗んで車に乗っているような場合、近所の人からその事実を教えてもらうようにします。遠距離介護の場合には、クルマに傷やへこみがないかなど、わずかな変化でも気づいたことを報告してもらうようにお願いしてみましょう。

免許を返納すると受けられる特典がある

運転免許を返納すると、様々な特典が受けられます。自治体や企業によって異なりますが、多いのは以下のような内容です。

返納特典1|公共交通機関の割引

電車、バス、タクシーを利用する際に運賃に割引が適用されます。また無料で利用できるチケット(回数券)を配布している自治体もあります。

返納特典2|レジャー施設や商業施設での割引

美術館、遊園地、映画館などの施設で割引が受けられます。また、デパートで商品を購入した際に自宅までの配送費が無料になるなどの特典もあります。

上記特典は、免許返納した際に交付される「運転経歴証明書」を見せて利用します。また、これは運転免許証の代わりに身分証明書として使うことも可能です。

【関連記事】

地方に住む高齢者の問題と自動運転について

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買い物や移動に便利な都心部では、クルマの必要性を感じる人が少ないかもしれませんが、公共交通機関の使い勝手が悪い地方で生活している人にとっては免許の返納は大きな問題です。

そうした高齢者の移動をサポートできるよう、クルマの技術革新や法整備も進んでいます。2022年5月からは「安全運転サポート車」の限定免許が導入されることになりました。自動ブレーキを搭載する新型車などが対象になる方針で、詳細は警察庁のホームページなどで公表されるようです。

一方、AI(人工知能)による車の自動運転においては、実証実験の段階でいくつものトラブルが報告されており、なかなか実用化に至っていません。高齢者が安心してクルマに乗り続けるために、克服が必要な課題の一つと言えるでしょう。

交通事故のない未来を目指して

運転免許の返納は、移動手段を奪うことにもつながる可能性があるため、極めて難しい問題です。それでも事故を起こしてしまうと、本人だけでなく家族にも大きな責任が発生します。悲惨な交通事故をなくすために、まずは家族で話し合うなどのできることから始めてみましょう。

 

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