介護のお役立ちコラム

介護業界の行く末と在宅介護の現状-介護の未来は明るくない-|介護のコラム

介護業界の行く末と在宅介護の現状-介護の未来は明るくない-|介護のコラム

更新日:2016.08.18

介護業界の現状について、あなたはどのように認識していますか? 慢性的な人手不足、特養(特別養護老人ホーム)入居待ちの長い列、そして、施設での虐待や介護殺人などの痛ましい事件。明るい話題は聞こえず、いま介護に携わられている方にとっては重苦しい現状と未来ばかりが見えているのではないでしょうか。 今回、さがしっくす(旧:介護サポーターズ)編集部は、高齢者向け関連事業に携わる相談員の相原さんにお話をうかがってきました。相原さんは介護業界で10年以上働いてきた、いわば"介護のプロ"。介護のプロの目から見て、いまの介護業界はどのように映っているのでしょうか。

スタッフの賃金が安すぎる。若手が次々と流出していく業界

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ーまずは相原さんの経歴を簡単にお聞きしてもよろしいでしょうか。

新卒で入った介護運営会社で、デイサービスやショートステイ、有料老人ホームの新規立ち上げ事業に取り組んでいました。管理だけではなく、現場での経験も積んでいます。 5年ほどその会社で勤務を続けたのですが、ただ、やはりこの仕事をやっているとどうしても夜勤が入ってきます。生活が不規則になってしまい「現場で働く仕事をずっと続けていくのは厳しいのでは?」と思って転職を決意しました。 現在は老人ホーム検索サイト「さがしっくす」の運営に携わっています。今でも現場に行くことはあります。

ー相原さんは、介護従事者の慢性的な人手不足についてはどのようにお考えですか?

人手不足は、ずっと前から毎年のように言われている問題ですね。解決するのが難しい一番の理由は、やはり賃金の問題です。医療の現場と同様、ひとつのミスが最悪の場合、死につながるというリスクが高い業界にも関わらず、働いている人はそれに見合った賃金がもらえていません。

ー確かにそうですね。同じ"命のリスク"を背負っている医療現場とは、平均賃金は大きく異なります。

海外から人を呼んで働いてもらったりはしているものの、すぐに解決できる問題ではありません。いま、ヘルパーとして新しく現場に入ってくる人も、会社を早期退職した40代、50代の方など。本当に若い人が入ってこない業界になっています。また、施設内でスタッフ同士の意見がぶつかったりすることもあり、複数の施設を渡り歩く介護スタッフもいます。

ーなるほど。賃金が安いということもあり、若者が介護職に対して希望を抱けない状況となっているのですね。

老人ホームに入らない、入れない。高い老人ホームへのハードル

ーでは次に、介護サービスを提供する側でなく、介護サービスを受ける側......つまり、現在介護をされている方やそのご家族についてはどのようにお考えですか。

端的に言うと、「老人ホームに入らない人・入れない人」が多く、在宅介護の負担が大きくなっているのが問題だと私は思っています。

ー「入れない」というと、やはり経済的な負担が大きいためでしょうか?

そうですね。やはり有料老人ホームは月々20万以上かかる施設も多く、決して負担が小さいわけではありません。実際、私自身も払うことができるかどうか......。 そのため、金銭面での折り合いがつかず、有料老人ホームへの入居を断念される方もいらっしゃいます。

ーやはり、利用する側としては「どうしてこれほど高いのか」と疑問を持たれると思います。

私は、費用が高くなってしまう理由として、「人件費が大きい」と説明します。それこそ、老人ホームは24時間体制で利用者を見ているので、月20万円は高いと思われがちですが、現場の職員からは「十分安い」と言う意見も出ています。また、多くの老人ホーム運営事業者は地主に賃料を払うので、その分高くなりがちです。

ー金銭的問題のほかには、介護施設の利用の妨げとなるようなことはありますか?

やはり、「施設は嫌だ」という高齢者の方は多いです。もちろん、みんなそうだと思うんです。「最後まで家で、家族と一緒に暮らしたい」というのは誰もが望む願いでしょう。 また、老人ホーム自体にあまり良いイメージを持たれていない方もまだまだ多いですね。山奥に位置していて大勢の高齢者がすし詰めにされているような、古いタイプの施設を想像される方もいます。まだ、「姥捨山」のようなイメージを持たれているのかもしれませんね。

ーなるほど。単純に、老人ホームが持つ「イメージ」の問題もあるのですね。

ただその一方で、介護が必要になる前、元気なうちから老人ホームに入ろうとする方も最近は増えています。「まだ平気だけれど、いつかは介護が必要になるから」と。子供世代と離れて暮らしていて、気づかないうちに「老老介護」や「認認介護」になっているというのが一番危険ですから。

介護の未来は明るくない。もっと情報を集めてほしい

では最後に、これから先、介護業界の未来についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

正直に言えば、介護の未来は明るくはないと思っています。人口が減少していく中で高齢者の割合は増え、国が在宅介護を推奨する一方で老人ホームは増えていく。アンバランスな状態ですよね。特養も、1000人待ちのところもあれば、逆に空きがあるところもある。介護スタッフを増やさなくてはならないけれど、若い方はどんどん減っていく。

ー全体的に、アンバランスな関係ができてしまっているという印象ですね。これから先、老人ホームはどのような役割を果たしていくのでしょうか。

老人ホームは「生活の場」なので、入所前と同じクオリティの生活を提供するべきだと、個人的には思います。老人ホームはお酒や外出、入浴などいろいろと制限も多いですが、ただ、そこを自宅と変わらないクオリティで暮らしの質を保っていけるといいですね。そのためには、やはり何よりも人手が必要です。 実は、「ショートステイ」などのサービスのほうがニーズはあるのではないかと考えています。前職でも、ショートステイは高いニーズがありました。ショートステイの利用後、ADL(日常生活動作)が落ちてしまう可能性もあるのですが、「入居する」よりも「利用する」と言うほうが心理的抵抗も少ないのでしょう。

ー結局、すべての問題について、国が動かないと変わらないという印象を受けます。

そうですね。ただ単にそれだけが要因というわけではありませんが、毎年言われているにもかかわらず、「介護者の支援不足」などの課題がなかなか解決しないのは、政策が進むスピードが遅い、的を得ていないからだという声もあります。 また、介護サービスを提供する事業者も介護報酬の減額など年々厳しい状況に置かれています。事業者が安定した運営、介護サービスの提供ができるような仕組みづくりも必要かと思います。 ただ、ひとつ私がはっきりと言えるのは、介護をする家族には情報が不足しているということ。役所に行って相談できることを知らずに、両親の介護を一人で抱え込んでしまう方や、安い費用でサービスを利用できる方法を知らずに介護サービスを使うのを諦めてしまう方もいる。 そうならないためにも、情報をしっかりと集めてほしいし、辛い時は周りに相談してほしい。それが長い介護でくじけないために必要なことではないでしょうか。

編集後記

低賃金やイメージの悪さが原因で、介護職は常に人手が不足しています。また、サービス料がまだまだ高いこともあり介護施設へのハードルが高いことも問題です。相原さんが言った通り、「介護の未来は明るくない」ように思われます。 しかし、だからこそ介護者自身ができることから自発的に動いていくことが求められているのです。最後に相原さんが語ったように、情報を集め、周りを頼ることが介護の未来を作る第一歩なのかもしれません。

 

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