介護のお役立ちコラム

老人ホームのレクリエーションって何のためにあるの?意外に知らない3つのメリット|老人ホームのコラム

老人ホームのレクリエーションって何のためにあるの?意外に知らない3つのメリット|老人ホームのコラム

更新日:2016.10.24

老人ホームやデイサービスでは、高齢者が集まって楽しみながら交流を深める「レクリエーション」が実施されており、「レクリエーション」の豊富さが老人ホームの特色になっている場合もあります。

レクリエーションは折り紙やクイズ、体を動かすようなものまでさまざまですが、単調になりがちな生活に変化を与える目的だけではなく、老人ホームでの暮らしのなかでは重要な役割を果たしています。

今回は、老人ホームのレクリエーションについて紹介していきます。

レクリエーションは、身体・脳・心の健康によい影響を与える

老人ホームがレクリエーションを取り入れている理由は、多くあります。ひとつずつ紹介していきましょう。

1. 脳機能や身体機能を活性化させる

簡単な計算など頭を使うゲームや、ことわざなど言葉を使うクイズ、折り紙などの指先を使う遊び...。こういったことに楽しんで取り組むと脳が活性化し、認知症の予防あるいは、その進行を食い止められるといわれています。

また脳だけでなく体の健康を維持する効果も、レクリエーションには期待できます。いくら身体の動きが鈍くなっているとはいえ、まったく体を動かさなければ筋力は衰える一方。過度な安静で身体機能がさらに衰えると「廃用症候群」に陥ります。

「骨折が原因で入院し、病院から出てきたらADL(日常生活動作)が低下していた」といった現象が起きるのもそのためです。高齢者の場合、1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度筋力が低下するとされています。まずは動く機会を作ること。自分でできることは極力自力で行うように促しましょう。

それができたら、徐々に身体を使うレクリエーションへいざないましょう。レクリエーションでの軽い運動や脳トレは、高齢者の脳機能・身体機能の低下を食い止めるのです。

2. コミュニケーションの促進

高齢になり、体力や身体機能が衰えると自然と外出が減ってしまいます。その結果、一人暮らしの老人などがそういった状態を続けると、引きこもりやうつ病になってしまうこともあります。そして、認知症を引き起こすことも。原因のひとつとして、他者とのコミュニケーションの減少が挙げられています。

デイサービスや老人ホームでのレクリエーションは、社会生活や他者との交流・つながりの楽しさを再度感じてもらう目的があります。コミュニケーションの量が多くなることで、脳の活性化も期待できます。

3. 高齢者のADL(日常生活の動作)とQOL(生活の質)を上げる

身体機能の向上を目指すリハビリテーションの意味も含めたレクリエーションは、ADL(日常生活の動作)を高める目的があります。そして、脳機能や身体機能が活性化し、他者とのコミュニケーションも増えていくと、毎日の生活の質も向上していきます。QOL(Quality of Life=生活の質)とは、どれだけ人間らしく、生きる喜びや楽しみを見出しているかという概念で、現在の介護では非常に重要な考え方です。

ADLとQOLを高めることは高齢者の尊厳を保ちながら、健康に楽しく長生きするために欠かせないものなのです。

頭も、体も、指先もフル活用!老人ホームのレクリエーションの種類

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では、まずはどのようなレクリエーションが各施設で実施されているか見ていきましょう。

体操・運動・身体を動かすレクリエーション

風船を落とさないようにする「風船バレー」や、鬼が出した条件に当てはまる人が席を移動する「フルーツバスケット」など、大勢で実施するものが中心ですが、お手玉など一人で出来るものもあります。

・風船バレー

・フルーツバスケット

・ラジオ体操

・お手玉

・輪投げ

・ボール運び

など

頭を使うレクリエーション

オセロや将棋などのボードゲームや、クイズ・なぞなぞです。身体の自由があまり利かない方でも楽しむことができます。50音が書かれたカードを1枚引いて、その文字が頭文字となる言葉を書き出す「頭文字さがし」や、上下左右逆さまにした文字を見てなにが書かれているか当てる「逆文字ゲーム」など趣向を凝らしたものも多くあります。

・オセロなどのボードゲーム

・しりとり

・頭文字さがし

・逆文字ゲーム

・なぞなぞ

・クロスワードパズル

など

指先を使うレクリエーション

折り紙や塗り絵、手芸など、高齢者の方が小さい頃に慣れ親しんだ遊びです。男性よりも女性に好まれる傾向があります。作ったものは家族にプレゼントすることもできます。

・折り紙

・塗り絵

・手芸

・お菓子作り

・書道

・生花

など

音楽や歌、異世代交流など

その他に代表的なものとして、音楽を使ってのレクリエーションがあります。童謡の合唱や輪唱、リズムに合わせて歌ったりとバリエーション豊富です。

また、簡単な打楽器を演奏することは脳機能・身体機能の活性化に大変有効です。施設によってはのど自慢大会や簡単な楽器の演奏をおこなうところもあります。
他にも、幼稚園の園児などと交流を行うことで触れ合いの機会を設けたり、犬や猫などの動物セラピーを行う施設もあります。

レクリエーションを楽しんでもらうために考えたいこと

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以上取り上げた通り、レクリエーションにはさまざまな種類があります。体を動かすもの、創作活動、娯楽・ゲームなど。ただし、食事の献立が毎食同じだとすぐに飽きてしまうのと同じように、変わり映えのないレクリエーションの連続では高齢者も不機嫌になってしまいます。そのため、いくつかのレクリエーションを用意し、曜日や時間ごとにメニューを変えながら提供していくことが大事です。

庭のある老人ホームでは、植物や野菜を育てるレクリエーションが盛んにおこなわれていますが、雨天時にはすぐに室内でできるレクリエーションに切り替えるなどの柔軟性も大事です。

いまの高齢者は四季の変化に敏感な人が多いのも事実です。そのため、お花見や夏祭り、もちつきなど季節を感じられるイベントの実施も喜ばれます。

どうしても個人的な好き嫌いもあるため、すべての高齢者に満足してもらうレクリエーションをおこなうことは難しいかもしれませんが、数あるレクリエーションを通じて、高齢者一人ひとりの嗜好をつかめるようになると、その後その人との接し方を改善できるようになるかもしれません。


高齢者自身が嫌がることも。レクリエーション参加の前に注意したいポイント

レクリエーションをただ退屈に感じる程度ならまだよいかもしれませんが、本気で嫌気がさし、やがて利用拒否につながるケースも考えられます。レクリエーションを実施する上で気を付けておかなければいけないこととは何でしょうか?

自尊心を傷つけない

老人ホームに入る方はそれぞれ要介護度が異なります。前述した通り、レクリエーションで折り紙や合唱などをした場合、それがまるで「幼稚園」のように感じられ、自尊心が傷つく方もいるのです。

たとえ認知症になったとしても自尊心がなくなるわけではなく、実際、レクリエーションに抵抗を感じてデイサービスの利用を拒否する方も多くいます。ある人にとっては適切な難易度のレクリエーションが、他の人にとっては非常に簡単でバカにされているように感じられたり、あるいは難しすぎてやる気を失わせたりすることもあります。

レクリエーションへの参加は、あくまで利用者本人の意思を最優先して無理に参加を促すことはやめましょう。他の利用者とのコミュニケーションが図れるようになってくると、レクリエーションへ参加することへの抵抗が徐々に薄れていくこともあります。

安全に配慮する

例えば切り絵などでハサミを使う場合、ハサミを持ったまま立ち上がり転倒すれば、大ケガにつながる可能性もあります。また、認知症で徘徊の傾向がある利用者は、何かの隙に勝手に外へ出てしまうことも考えられます。

どの介護施設でも安全には最大限配慮していることとは思いますが、見学の際など、少しでも危険と感じる箇所がある場合、遠慮なく施設側へ提言することも、レクリエーションの質の向上のためには必要なことです。

自然に輪の中に入れるよう促す

レクリエーションの内容も大切ですが、初めての利用の際、まずは人の輪の中に入っていけるかも重要なポイントです。これは比較的おしゃべり好きで社交性の高い女性よりも、男性の方が難しいと言われています。

まずは同性で、年齢の近い先輩利用者のもとへあいさつするよう促すなど、コミュニケーションの"きっかけ"を作ってあげることが大事です。加えて、趣味や共通の話題などがうまくマッチすれば、おのずと他の利用者との距離は縮まり、輪の中に入れるようになります。

施設を検討している場合、老人ホームの種類はもちろんですが、レクリエーションが入居者の好みとフィットしているかも重要です。施設を訪問する際にはレクリエーションも見学してみて、入居者と合うかどうかをしっかりとチェックしましょう。

おわりに

老人ホームは、病院ではありません。「ホーム」という名前が表すように第2の「家」でもあり、そこで寝食を共にする入居者は"家族"ともいえる存在になります。

レクリエーションはそんな人々をつなげる重要な機会。もしかすると高齢者自身もその家族も「幼稚」と感じるかもしれませんが、脳や身体機能を活性化させ、生活の質を上げる目的もあることを理解しておきましょう。

また老人ホームでは、日常的におこなわれるレクリエーションの他に、季節ごとの行事やイベントがあります。各施設によってさまざまな工夫がなされており、施設の方針もうかがえます。

レクリエーションやイベントを軽くとらえず、もし家族がここに入居したら楽しい毎日を送れるか?という視点を忘れずに、施設選びを検討してみてください。

レクリエーションに力を入れたおすすめ施設はこちら

自由が丘目の前で仕上げる美味しいスイーツ.jpg

東急ウェリナケア自由が丘(東京都世田谷区)

東急ウェリナケア自由が丘では、落語やお茶など、スタッフの特技を活かしたレクリエーションが企画、実施されています。ほかにも、フィットネスクラブで勤務経験のあるスタッフが考案した体操もレクリエーションのひとつとして取り入れられ、入居者からも人気だそうです。

また、施設内には入居者の絵画やアートが飾られているほか、防火扉にはBunkamura(東京都渋谷区)の方のアートが描かれていたりと、上質で洗練された"自由が丘"のイメージを日常的に感じられるのも特徴的な施設です。

※Bunkamura:
1989年9月開場した、東急百貨店本店に隣接する劇場を中心とする総合文化施設。東急グループの東急文化村が運営する。

「東急ウェリナケア自由が丘」の施設詳細ページはこちら

「東急ウェルネス」特設ページはこちら

ウエリスオリーブ町田中町.jpg

ウエリスオリーブ町田中町(東京都町田市)
体を大きく使ったモビパン体操や健康イス体操、介護予防や認知症の予防・改善効果があるといわれている臨床美術、指先を使ったボタニカルリースづくりなど様々なレクリエーションが楽しめる施設です。

コロナ禍でも面会ができる施設特集はこちら

https://www.sagasix.jp/theme/corona/

 

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