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【医師監修】今後患者が急増する可能性も!? 「混合型認知症」とはなにか解説|認知症のコラム

【医師監修】今後患者が急増する可能性も!? 「混合型認知症」とはなにか解説|認知症のコラム

更新日:2019.12.11

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「認知症」にはおもに、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭葉変性症の4タイプがあります。発症の原因や現れる症状などもそれぞれ異なるものですが、高齢になるほどアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症を同時併発するケースも増えているようです。今回は「混合型認知症」と呼ばれるこの2つの併発型認知症について触れていきます。


【監修者】
木村 眞樹子医師

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医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。


混合型認知症とは?

混合型認知症とは、異なる種類が併発した認知症を指します。一般的にはアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の組み合わせを指しますが、総じて加齢による新陳代謝や身体能力の衰えから来るもので、知らぬ間に両方の認知症を罹患している可能性もあります。

異なる2つの認知症の発症原因

アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の発症原因はまったく異なるものです。

アルツハイマー型認知症は脳から分泌されるタンパク質(アミロイドβタンパク)が加齢とともに分解されにくくなり、脳に蓄積されることで起きる、いわば自然現象的な要因と言えます。

一方、脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血に代表されるように、不健全な生活環境や外的要因(事故、けが)が主な原因になります。

あるアメリカの調査では、アルツハイマー型認知症と診断された80歳以上の高齢者の30%が脳血管性認知症の要素も持っていると報告されています。

さらに、軽い脳血管疾患まで含めると、アルツハイマー型認知症患者の80%は何かしらの血管障害を合併していると見られています。

両者はまったく別の病気とは言い切れず、高齢者は常に混合型認知症になるリスクを抱えていると認識したほうがよいでしょう。

混合型認知症で現れる症状

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アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症では現れる症状も異なります。アルツハイマー型認知症患者の平均余命は約10年と言われていますが、その間に症状はゆっくり進行していきます。

発症前期

軽度認知障害(MCI)

初期(発症から1~3年)

直近に起きたことを覚えることが難しくなる記憶障害
日時がわからなくなる見当識障害

中期(発症から5~9年)

数年前のことが思い出せなくなる記憶障害
自分がいる場所と人物が特定できなくなる見当識障害
日常生活の簡単な動作ができなくなる
言葉が思い出せなくなる
徘徊、迷子、興奮、多動

後期(発症から10年超)

完全な記憶障害
寝たきり
意思疎通の完全欠如
不潔行為

脳血管性認知症の場合、血栓や梗塞ができた場所によって現れる症状にばらつきがあります。

脳機能が時間をかけて全体的に低下していくアルツハイマー型認知症に対し、脳血管性認知症は部分的に障害されるため、記憶障害は激しくても判断力や理解力は保たれているなど、低下する機能としない機能に差が生じます。

また、日や体調によって症状に波があるケースもあり、このような症状を総じて「まだら認知症」と呼びます。

しかし、脳血管性認知症の場合でも適切な処置や投薬を怠れば、最終的には言語障害や寝たきり、人格の変化により感情のコントロールが利かなくなるなど、アルツハイマー型と同じような末期症状に行きつく可能性も高まります。認知症そのものが、個人の性格やこれまでの生活環境などに大きく左右される個人差の大きい病気と言えるでしょう。

そのため混合型認知症になると、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症、両者の視点でより個人の病状に応じた専門性の高い処置が求められるので、信頼できる医師の指導のもと、正しいケアに努める必要があります。

生活習慣病の予防が混合型認知症回避につながる

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混合型認知症を予防するためには、生活習慣の見直しが重要です。

脳血管性認知症の場合、血栓や梗塞を防ぐために脂肪や塩分の高い食事を避け栄養バランスの取れた食生活を心がけること。禁煙や酒量を控えること。適度に運動し生活リズムを一定にすることなどが挙げられます。

こうした動脈硬化予防の取り組みは、アルツハイマー予防にも効果があることが証明されており、規則正しい生活を続けることで病気の進行を少しでも防げるのです。

アルツハイマーと生活習慣病を別物と捉えず、健康第一に生活習慣を整えることが混合型認知症を防ぎ、進行を遅らせるカギとなります。

終わりに

混合型認知症に限らず、複数の病気の併発は誰にでも起こり得ることではありますが、とくにそれが顕著に現れます。

認知症には「多因子説」があり、高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病とも密接な関係にあるとも言われています。若いうちから生活習慣を見直すことが、混合型を含む認知症予防につながるのです。

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